
■ 高倉六角のワインバー「
ヴィオラ」で昨日29日15~17時、フロマージュの勉強会の2回目が開かれました。(1回目の模様は
こちら。)正しい名称は「食べ塾」で、飲み塾とか見る塾などある中のひとつ、食部門の勉強会なわけです。「ヴィオラ」に入るなりフロマージュの香りむんむん、夢のようにおいしいモンドールやトム・ドゥ・サヴォワをいただきました。この日のテーマは「
ジュラからアルプスへ 山の恵みをいただく」。イタリア、スイス、フランスが国境を接するこの山岳地方で作られる7種類のフロマージュを、イタリアの赤/白ワインと共に、食べ較べながら勉強したわけです。

●お話を伺いながら、カットされる前のフロマージュが回ってくるので、眺めたり匂いをかいだり写真を撮ったりします。表皮がついた少し珍しいタイプのブルー、ブルー・ドゥ・ジェックスです。

●ワインは、カンパーニャ州のもので、白はちょっとナッツのような香り、赤はわりとすうすう軽やかに飲めるものでした。詳しい解説は
店主におまかせしま~す。

●ひと切れずつ供されます。
フォンティーナ。イタリア産、牛乳(無殺菌乳)、半加熱圧搾タイプです。アルプスを挟んだフランス側ではボーフォールやアボンダンスが作られます。イタリアのチーズフォンデュはこのフォンティーナに、牛乳、卵、バターを入れて作るそう。(濃そう。)イタリアではそれぞれのフロマージュにマークがあるということです。

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トム・ドゥ・サヴォワ。ごつごつの皮に包まれています。フランス産、牛乳、圧搾タイプ。サヴォワ地方で作られるトムのこと。トムとは大型フロマージュに対して農家が作る小さいサイズのものを指して言う。これは非常にこくがあって濃厚で熟成感があり、格別の美味でした。

●(向こう側)
コンテ・エクストラ・アルパージュ。フランス産、牛乳、加熱圧搾タイプ。これは18か月熟成。エクストラとは、6ヶ月以上熟成した、最高級のものにだけ許される呼称。なかでも夏のアルプスに牛を放牧して夏のハーブや花を食べさせた時のミルクだけで作られたものを「アルパージュ」と呼ぶ。香りや味が特別によいが、生産量も少ない。ナッツのようなこくのある風味が特徴。●(手前・黒い線が入ったの)
モルビエ。フランス産、牛乳、圧搾タイプ。軽いウォッシュタイプのフロマージュで、黒い線が特徴。昔、コンテ(大型フロマージュ)を作った後に残ったカード(ミルクを固めたもの)で作られ、虫除けのためになべ底の黒いススを表面に塗って、翌日そこにまたカードを重ねて作られたことに由来する。いまやこの黒い線がトレードマーク。

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ブルー・ドゥ・ジェックス。フランス産、牛乳、青かびタイプ。ブルーながらとても穏やかな風味。スイスとの国境サヴォワ地方のジュラの山で作られている。ほんとおいしー♪ 店主のRR龍さんはブルーは食べられないっていう方だけど、これなら大丈夫と思うんだけど。(その後召し上がったでしょうか? ダメかな?)

●モンド~~~~~ル♪の登場です。こんなおいしいものあるかと思うフロマージュのひとつです。エピセア(樅の木の一種)の樹皮を巻きつけて熟成もエピセアの板の上でなされるということです。モンドール(mont d'or=黄金の山)とは、フランスとスイスの国境ジュラ山脈にある山、標高1463m。その渓谷一帯で作られるものだが、国境をまたいでフランスが先だ、いやスイスだ~~と両者が主張するとのこと。トロトロで犯罪的に旨いのだけど、期間限定であるということも、ありがたみを増す要素です。毎年8月15日から翌年3月15日までの期間中だけ作られる季節ものなのです。

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ヴァシュラン・モンドール。こちらはスイス産の方です。牛乳(殺菌乳)、ウォッシュタイプ。塩気もかなり明確です。何度も洗うので、少し黄色みがかるのだと。

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モンドール。フランス産、牛乳(無殺菌乳)、ウオッシュタイプ。フランス印をつけてくださってわかりやすいことです。スイスより少しまろやかな感じがします。色も白い。これからの季節、もっとおいしくなります。ちなみにモンドールと共に供されたパンは「
進々堂」さんのものです。

●そしてパンはまた別の種類もあって、これは人気の吉田祐治さんによるスペシャルなパンです。 クミン入りで、すごく香りがいいのです。フロマージュの濃厚な香味に負けない強いパンでした。

●モンドール2種を、オーヴンで焼いたものです。これはもう犯罪的にいい香りでした。

●こんな風にスプーンでひとすくいずつ供されて、ワインと共にうっとりといただいたのです。
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■ 他に、メモしたのは以下のようなことです。
●表皮は食べても食べなくてもお好みで。ごつごつしたのはトルにしても。
●表皮をそぎとって、保管時のフタとして使うといい。
●保管は、木箱のまま冷蔵庫に入れず、乾燥しないようにポリ袋に入れて。
●ワインとのマリアージュ・・・産地同じものどうしならまずうまくいく。
●今回のフロマージュのセレクションにはこくのある濃いめのものの方が合うでしょう。
●あるいは甘いもの×塩気強いものという組み合わせ。ソーテルヌと青かびタイプという感じで。ゴージャス感あります。
●ブルーチーズを甘いお酒で練ると別物に。リキュールで練っても。
●オリーヴオイルに浸けても。
●はちみつの合わせ方。今回のフロマージュには、濃い物が合うはず。たとえば栗のはちみつなど。(アカシアなんかは薄め。)
●フロマージュは栄養たっぷりの食べものだけど、ヴィタミンCと繊維質にだけは欠ける。なのでドライフルーツをあわせると栄養的には完璧になる。
●また、フロマージュの塩気にフルーツの甘みは必ず合うもの。
●レーズンはフロマージュに必ず合う。ワインのもと=ぶどうだから。
●シェーヴル(山羊)にもよく合う。酸味に甘味を足すから。まわりにまぶしたりなども。
●シェーヴルは酸味が強いというイメージだが、十分熟成させると酸味なしに。トロトロになるか、旨みとこくのある硬いものになるか、どちらかの道をたどる。
●フロマージュの栄養価は非常に高い。カルシウムもたくさん摂取できる。
今回もわかりやすいお話とすばらしいフロマージュを用意してくださった和泉夕加里さん、お疲れさまでございました。店主のRR龍さんもありがとう。大変充実しておりました。<(_ _)>
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(2009-11-30掲載)