
■ 「ぎをん か波羅」のお料理をいただくことも今回の東京行きの目的のひとつでした。昨年5月14日に京都の粋を結集して西麻布に華麗にデビュー。オープン当初は広報のお手伝いをしたお店でもあります。早くも1年と少し経ちました。京都からコンスタントに送られる食材でコースを組まれていると伺っていましたが、夏のコースはどんなでしょう? 今や京都で有名・東京の京都好き、
立命次郎さん=菅野聡之さんにお付き合いいただくことにして、
京賀茂茄子コース 10000円(税サ別)です。●お通しです。○豆乳のすり流し、○ポンデケージョ(中におじゃこ)、○お揚げ(上にブランダード、オレンジピール)。するりと雅なすり流しに、ふがっとした食感が楽しいポンデケージョ、香ばしいお揚げというバランスのよい組み合わせです。

●ここからコースで、
京野菜のひと皿。保温されたバーニャカウダソースが各々セットされて、京都からの野菜をたっぷりのソースと共にいただきます。このソースが後を引きます。野菜がなくなっても、犬になってなめたいと思います。

●
賀茂茄子黒焼き。丸いままで、真っ黒に焼かれているのです。皮自体が全体をくるむ役をして蒸し焼き状態になっているのです。もうほくほく。

●お箸で持ち上げるとこんなです。湯気湯気状態で、はふはふといただきます。塩が添えられますが、とにかく茄子自体の味を大切に味わってみましょう。舌ざわりなめらか、きめ細やか、熱々でふんわりしっとりで、いやいやいや、これは旨いです! わたしはごくわずか塩をつけつついただきましたが、とにかく茄子自体の味を十全に味わいたいあまり、押し黙って食べたほど。これがコースのメインですね。(実際にはまだまだ盛り上がりが用意されていたのですが。)

●
「京豆腐 服部」のおぼろ豆腐です。それが、野菜のジュレに覆われ、サマートリュフがわさわさっとかかっています。いや~ん、これもおいしかった。豆腐自体がこの上なくなめらかなのですが、優美なジュレがからんで品のいい香味を足していて、それにトリュフよ~(T_T) ちょっとずるいようなおいしさでした。

●わたしはあまり飲まない方ですが、こちらの雰囲気の中、このお料理ではシャンパーニュを飲まずにはいられません。グラスにこれ何杯めでしょうか。そこへ出てきたのがまたシャンパーニュやワインによく合うお皿でした。

●
天然鮎の鉄板焼 万願寺とうがらしのぬか漬と。鮎がばりっと鉄板で焼いてあるのです。薄いトーストが貼りついていて、これがパリパリと食感を与えてすてきです。内臓のソースもちょっとずるいおいしさ。万願寺とうがらしはぬか漬ですよ~!鮎によく合って、発酵のおいしさがアクセントになっていました。

●ここで口の中をすっきりと、
「林孝太郎」の黒酢のソルベです。

●そして・・・メイン料理は賀茂茄子と思っていたら、どどーんと京都肉の登場です。
京都肉、賀茂茄子と生麩、二度熟成フォンドボー。黄金のお皿にのって出てくるプレゼンの仕方も派手なら、わさわさと目の前でわさびをおろしてくださるのもすごい。ぱーーーっとわさびが香り立つのです。脂分強すぎず、肉質柔らかでさすがに洗練された京都肉に、じゅわっと味が濃い賀茂茄子の旨み、生麩のもっちりした食感がたたみかけるように旨さを増幅させて、なんともたまらないひと皿でした。

●すりおろしではなく、「ひらひら」のわさびがわかるでしょうか。肉厚の賀茂茄子も。ソースに、二度熟成の醤油を使っているのです。とにかく濃い、明確なお皿です。さらに黄金の皿に即席ライティングしたものだから、なんだかえらくハデハデになりました(笑)。

●旬野菜の九条ねぎ焼きで締めです。薄い、クレープ状の生地の上にびっしりとねぎやら香りの強い葉っぱやらが載せられて、最後の粉ものながら爽やかです。アラカルトでなら、ご飯ものかこれか迷うところです。そして次はデセールに突入、のはずですが・・・

●せっかくです。アラカルトのお料理も何品かいただきましょう。(立命次郎さんの胃袋が本当に助かりました。感謝。)オールドバカラで華麗なイメージで供された
天草のこちの昆布締め。レモンとオリーヴオイルでシンプルに。白ワインが合います。

●
甘鯛の鉄板焼。甘鯛はタプナードで風味づけされています。枝豆、トマト、キャヴィア。ぺルノーソース。

●
フォアグラのコンフィ 金山寺味噌で。フォアグラ好きにはたまらんひと皿だと思います。パリパリに焼いたお揚げが香りと食感を添えます。

●
美山ズッキーニのカルパッチョ ブルーチーズと黒蜜のヴィネグレットソース。これはズッキーニをひらひらとリボン状にしたものを少し甘みのあるヴィネグレットソースで和えたものです。ゴルゴンゾーラがビリッと効いて、これもワインを呼びます。

●
万願寺とうがらしの鉄板焼 ラルド添え。京の夏野菜の代表・万願寺とうがらしをシンプルに焼いたものです。ラルドが風味を添えますが、なしでもおいしい・・・けれどやっぱり一品としてこくが出ますね。

●
京都牛ロースの炙りおにぎり 削り山葵と。これがすごかったです。肉のかたまりに見えるでしょう? これを切ると、

●こんな感じです。おにぎりが牛肉で包まれていたのです。ゴージャスな味です。先と同じくひらひらにおろされたわさびがさわやかな香りを添えて、充実のおにぎりながら、食後の余韻は軽やかです。

●ここまでいただくとさすがに満腹状態です。アヴァンデセールという感じで、つるりと
麦茶風味の葛きりです。「一保堂茶舗」のお茶です。

●立命次郎さんは
水羊羹とコーヒーゼリーを選択。小豆ジュレ(=水羊羹)にカフェのジュレ、そこにヴァニラアイスクリームです。香りのいいデセールです。

●わたしは
凍ったチョコラータ。ショコラものがあれば当然いただきます。「一保堂茶舗」の抹茶のクレームがついています。タテ位置で供されます。

●これがしっとり香りよく、ひんやり冷たくていい感じ。満腹といいつつ、するりするりといただき、幸福感に包まれました。
久しぶりに「ぎをん か波羅」のお料理を満喫しました。ひとつひとつのお皿がきちんと作られているし、何より食材の出所が明確なのがいいと思いました。創作料理と言われたらわたしは引いちゃう方ですが、「ところどころ遊び心のある、オリジナリテが光る料理」という感じかしらん。できればお料理に合わせてワインをたくさん飲めたらすてきです。
「ぎをん か波羅」http://www.kahala.in/