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2010年5月20日 (木)

■ 新しい割烹、「祇園つじや」のご紹介


001_3■ 久しぶりに若くて明るい割烹の新店のご紹介ができてうれしいです。新橋通の、花見小路東入ル・・・というか、東大路から西入ルの方が早いですが、白いのれんをかけた「祇園つじや」さんが2月27日に開店しました。ご案内をいただいたのはひと月以上前だったのですが、ほんと~にヒマなしで伺えず、遅くなって悪かったです。<(_ _)> 先日やっと訪問かない、楽しみだったお料理をいただきました。
002●店内はこんなです。「お座敷カウンター」9席。靴を脱がねばなりませんが、掘りごたつ式。もとは和風ラウンジだったということです。お昼も夜もコース1本です。
1●昼のコース4200円、夜のコース8400円。以下、5月の夜のコースをいただきました。先付から盛りだくさんで、たっぷりたっぷりなのです。うすいえんどう豆と生湯葉のすり流し(かつおだし)が下に敷かれて、その上に新じゃがいもを大根と炊いたのが、小ぶりながら丸ひとつ分(円形に見えているの)。正面にすずきの、たれ漬にして焼いたもの、その後ろに、きんぴらごぼう。トマト、揚げた海老。あしらいに、ラディッシュ、木の芽、おかひじき。ひと皿めから、すごい意気込みを感じさせます。
2●牛肉たたき、梅肉と新玉ねぎのドレッシング。群馬の上州牛の、ミスジに近い部位とのことです。2皿めから牛肉がどーんと出てきて大喜びになりました。ドレッシングは新玉ねぎの甘さとすりおろしたざくっとした食感がすてきで、酸味鮮やか。肉がさわやかにするっといただけました。一応酢の物ってことになるのかな(笑)。
3●お造りは鯛、焼き目をつけたもんごいか、まぐろの赤身。もんごいかのねっとり具合がものすごく美味と思いました。わたしは食感として、あわびや蛸のムニムニは好きじゃないのに、いかのねっとりは大好きで、好みとは勝手なもんです。この八つ橋形のお皿は陶磁器作家の石田磁圭さんに5月用に注文して作ってもらったそうで、独立を目指して以前から器も少しずつ集めていたということでした。
4●煮物椀もたっぷりたっぷりです。葛打ちしたあぶらめ、自家製ひろうす2個、上に青梗菜、大根、にんじん、木の芽。自家製ひろうすの中が、にんじん、筍、椎茸と、また具材ぎっしりでにこにこしちゃいました。おだしもおいし。和食食べているぞーという喜びに包まれました。
5●お椀の蓋がきれいだったのです。修業したお店、「大神」さんのご主人から贈られたものだそうで、とても大切に使われていることがわかりました。
6●焼き物はうなぎの西京焼きです。一度白焼きにしてから2日間味噌漬けにして、かりっと焼いたのだと。酢取り茗荷、万願寺とうがらしと。
7●八寸です。5月の意匠で、菖蒲が添えられています。ちまきが穴子寿司。/木の葉形の器に、がさ海老(白海老の大きいようなの)のひと口のお寿司、鯉せんべい。/お湯のみ形の器に、稚鮎の南蛮漬、新玉ねぎスライス、パプリカ。上にセルフイユ。/丸いつぼつぼに、筍、いんげん、よもぎ麩、にんじんの玉味噌和え。上に菜の花、紅たで。
8●鱧の酒蒸し。8400円でこれだけ出てくるのってすごくないかしらん? がんばるがんばる辻さん。コースが進むほどにすごいぞすごいぞと思います。ちり酢が一応つきますが、つけるの全く忘れてました。ほのかに味がついていてちょうどよくて。豆腐、椎茸、春菊、木の芽。
9●お酒リストを見せてもらったら、「フランスの梅酒」というのがあって、興味を引かれました。一口試飲・・・プルシアという商品名で、本当にフランス産のプリュンヌ酒みたい・・・ボトルがきれいで、祇園で人気のお酒だそうです。知らなかった。\(゜o゜)/ 他は、ビール400円、日本酒1合700円~。
10_211●ご飯の準備がされて、お漬物とお味噌汁が供されます。京都イメージを大切に、白味噌にしていると。季節的にそろそろやめるってことでしたが。お漬物も、しば漬以外全部自家製と。何でもやる辻さんです。
12●雲井窯ですね~。炊きたてのご飯がプレゼンされました。選択肢が3つあり、筍ご飯をお願いしたのです。筍が大量に入っていて、客が大喜びするように作っていることがわかります。
13●おこげを入れてよそってくださいました。うまうまうま(T_T)
14●「これはお昼にお出ししているものですが」と、撮影用に出してくださったもので、鯛ご飯のおにぎり、焼き目をつけたものを、煮え立つぐらぐらのおだし(かつおだし)で出してくださるのです。これもまたやみつきのおいしさで、はふはふと熱々をいただきました。いやん、お昼4200円でこれが食べられちゃうなんて。
15●デセールも手作りで徹底しています。抹茶アイスクリームは食後のお抹茶代わり、ということで、これを後にいただくべきだったのだけど、溶けちゃいけないから先に。濃い濃い濃いです。たくさん上質な抹茶を使われたことが如実にわかります。そして甘夏とはちみつジュレはさわやか~で食後にするりと流れ込んでいい感じでした。いや~、若さみなぎる明るいコースでした。ものすごくお腹いっぱいになりました。まとめるとこういう感じです。①ボリュームたっぷり ②肉や魚に添えられる野菜もたっぷり ③値段に対する質が十分によくて、お値打ち感がある。わたしに料理を出しながら、辻さんは、「特に撮影用だからというのではなくて、いつもこれくらいの量だし、すべてがいつもこんな感じです」と強調していました(笑)。
16●ご主人の辻 宏樹さんと女将の実穂さん。もうほんと若さ充溢という感じで、わたしは食べながら、がんばれがんばれモードになりました。辻さんは岐阜出身、生家が料理屋さん。岐阜で4年ほど修業の後、京都に出てきて「大神」さんで5年余り修業、その後「ぎおん楽楽」に3年弱いらして、この「楽楽」時代に女将の実穂さんと出会われたのだそうです。実穂さんがまた感じがよくて、かわいらしいのです。唯一、「これがばちっと、(飲み屋さん風ではなく)白木カウンターの割烹然としたお店だったらどんなにいいでしょう~」とわたしなんかは思っちゃうのだけど、でもこの若き店主の意気込み、はじけるような明るさ、お客さまにたっぷり食べていただこうという良心的なお皿の連なり・・・この時世に新店を開いたのは本当に勇気の要ることだったと思うし、これはみんなで盛り上げてゆきましょう!調理をすべておひとりでされているので、必ず前日までに要予約です。月替わりの1コースのみですが、食材に関してアレルギーなどあれば聞いてくださいます。予約の電話は、営業時間を少しはずしてかけるようにしたら優しいと思います。
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「祇園つじや」 電話 075-551-5557
京都市東山区新橋通り花見小路東入ル北側
12:00~13:00LO・15:00閉店、18:00~20:30LO・23:00閉店
水曜休み
座敷カウンター9席(堀ごたつ式) ★靴を脱ぎます
2010年2月27日開店
昼4200円(税込)夜8400円(税込)1コースのみ、月替わりhttp://www4.ocn.ne.jp/~tsuzi/index.html
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(2010-05-20掲載)

2010年5月 20日, dans 京都 和食10前半 |