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2010年2月 1日 (月)

■ ワインバー「ヴィオラ」でフロマージュ勉強会 その③


1a■ ワインバー「ヴィオラ」で2か月に一度の食べ塾=フロマージュの勉強会が1月最後の日曜日に開かれました。講師は和泉夕加里さんチーズプロフェッショナル協会です。今回は3回目。(昨年9月1回目)(昨年11月2回目) 今回は、ジパングチーズ見聞録 というタイトルで、日本で作られているフロマージュを特集した会でした。毎回すごく充実しているのですが、今回もまた、とても価値ある講座だったのです。切られる前の状態でプレゼンされた日本産のフロマージュの数々です。
2a●これは沖縄の山羊乳のもの。箱の山羊の絵もかわいくて、
3a●箱を開くと、生産者の思いのたけが記されているという具合です。熱いです!
4a●これは水牛のモッツァレッラですね。イタリアから宮崎県に水牛を連れてきて、ごく新鮮なものを即日提供しているというすごい工房・・・わたし自身は、この日登場した8種類の中で、最もしばしばイタリアンのお店でいただいていると思います。ちぎった跡があるのが、手作りの証拠なのです。
5a●この日フロマージュに合わせたワインです。「ヴィオラ」店主の石井龍さんが選んだのは、白がシチリアの「アルタヴィラ」2008年。とてもすっきりフルーティで、日本のフロマージュ(軽やかめ)に合うだろう・・・という意図通りのものだったと思います。赤はピエモンテの「グリニョリーノ ダスティ」2005年。色がきれい、こちらも軽やか系で、それでもやっぱりウォッシュタイプなどには白よりこちらがよく調和したのでした。
6b●8種類を試食しました。時計で言うと、4時くらいの場所にある、紫蘇の葉がくるりとついたものが、牛乳製の「なっち」で、梅酢に漬け込み紫蘇の葉で巻いたもの。
うらけん由布院チーズ工房(大分県)
次に5時半くらい(笑)のところにあるのが牛乳製の「マットネロッソ」、ウォッシュタイプで、風味よく、とろとろと旨い~~! こちらも上と同様のうらけん由布院チーズ工房のもの。
●ブルーも日本で作られていました。力強い風味です。
アトリエ・ド・フロマージュ(長野県)
●9時の場所にあるのが、宮崎県で作られている、水牛のモッツァレッラ、その上が水牛のリコッタです。いずれもできたてのフレッシュ感とほどよい塩気、そしてすっと噛み切れる食感と広がる旨みがたまらないです。
カゼイフィーチョ チーロ エスポージト(宮崎県)
●その上が牛乳製の「フロマージュ・ド・みらさか」、柏の葉で包まれた、なんとも風味豊かでやわらかなフロマージュです。これは相当香りも口当たりもよく、印象に残りました。
三良坂フロマージュ(広島県)
●いちばん上にあるのが、山羊乳の「ピンザブラン」。日本で山羊乳のフロマージュなのです。白かびに覆われた、4品種山羊乳ブレンドによるもので、なかなか美味です。
はごろも牧場(沖縄県)
7a●最後に供されたのがこの2種類でした。左側が牛乳製の「笹雪」、北海道に自生する熊笹の葉を粉末にしたものを混ぜ込んだ笹塩を使い、仕上げに熊笹の葉で巻いたものです。独特の清涼感があります。
共働学舎(北海道)
●右側が、「飛鳥の蘇」。古代の記録から復元した、万葉の味? というものです。「草喰なかひがし」さんでの食事の終わりに、お茶と共に、金平糖と一緒にひと口供されるものですね。
西井生乳加工販売所(奈良県)
8a_2■ そして今回のサプライズがこれでした。とろとろずるりんと、見るからにおいしそうなフロマージュ・・・これは、古株牧場(滋賀県)http://www.kokabu.co.jp/
のもので、現在これを開発中であるフロマージュ研究家、古株つや子さんがお持ちくださったのです。
9a●手前が熟成5日目のもので、フレッシュ感あふれます。酸味が心地いいです。スプーンの方が熟成ひと月ほどのもの。ウオッシュタイプか? と思うほど熟成感がありとろみがたまらんおいしかったです。もう本当に、ウマウマのうっとり状態になりました。すばらしい。まだ販売されていないそうですが、早く売れる体勢になってねと思いました。いただきつつ、あちこちこのフロマージュを売り込みたいレストランが思い浮かんでしょうがなかったのです。古株つや子さんは、牧場を経営するお家に生まれて、2年来、自分でフロマージュを作れるようになろうと研究を重ねていらしたそうです。サンマルスランのようなフロマージュを目指しているということでした。
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(この日、教えていただいたこと)
●日本にフロマージュが伝わったのは、飛鳥時代、仏教の伝来と同時期。牛乳を煮詰めた「蘇」というもので、宮廷で珍重された。
●江戸時代、インドから牛が輸入されるようになり、酪農が奨励された。
●明治時代に北海道開拓で酪農が盛んになり、国内での生産が本格化。
●栄養価が高いことから、戦後、学校給食に取り入れられるようになった。
●海外旅行ブームにより日本人がフロマージュの味を覚える機会も増えた。
●さらにワインブーム、ティラミスのようなドルチェのブームなどがあり、日本におけるフロマージュの消費量が飛躍的に伸びた。
●初めはカマンベールのような食べやすいものから普及していったが、それもだんだん多種類本格的なものが求められるようになった。
●今ではテロワール=その土地ならではの独自の持ち味を生かしたフロマージュが各地で作られるようになっている。
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以上のような内容で2時間、とても充実していました。ワインもおかわりをいただけたりして、かなり幸せな勉強会でした。夕加里さん、龍さん、お疲れさま、ありがとう。次はどんなテーマでしょうか。またとても楽しみです。
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(2010-02-01掲載)

2010年2月 1日, dans 京都 フロマージュセミナー |