■ 本のご紹介:「ジョエル・ロブションのすべて」 |

●先日東京で開催された「フードジャーナリスト会議」にも来てくれたてし、学生時代からほとんど、というか全く変わっていません。ひょうひょうとおもしろく、まったく物怖じせず屈託なく誰とでもしゃべれるというのが、すごく仕事をやりやすくしているんだと思う。
●このてしが、本文824ページ、別冊資料64ページというロブションさんのルセットを集めた大作を1年以上かかって訳したというのだから、すごいことです。どれだけ机に張り付いて頑張ったのでしょう。
●まず、本じたいが、フランス料理の体系的なものでありながら、家庭料理を作る人にもわかるように、プロにも参考になるように作られているのがいいと思います。ルセットは食材ごとに分類され、その食材の解説があります。
●日本語版は、「ソテする」の上に「炒める」、「アシェする」の上に「みじん切りする」、「アセゾネする」の上に「味を調える」などルビをふってあって誰にでもわかるようになっているのもすてきな工夫です。「ソテーする」じゃなくて「ソテする」とちゃんとフランス語に近い表記で書いてあるのも心地いいことです。ついでにもちろん、「ミルフィーユ」なんて表記はなく、ちゃんと「ミルフイユ」となってるしね。(安堵。)
●700ルセット・・・90点に及ぶ食材の解説、さらに引きやすい別冊資料など、網羅的なフランス料理の知識と情報が詰め込まれながらも(本編だけで824ページ、B5判変形で厚さ65mm=枕になるほど!)この本が6720円というのは信じられないお得さだと思います。ロブションさんのルセットとその翻訳に、紙代とか印刷代とか莫大な手間賃とかかかっているのに、1ページ10円しないってことでしょう・・・\(゜o゜)/
●フランス料理を作る人にはもちろん即使えて便利な本だし、レストラン巡りが好きな人にも食材や調理法の知識を与える本だし、ただ見ているだけでも味が想像できたり食べてみたくなったりして、幸せを運ぶ本です。
●フランスの料理本やレストランガイドに関して、今でもテクストのみでヴィジュアルなし、って本は多いのですが、この本も原書のフランス語版はテクストのみの本。けれど日本ではやはりヴィジュアル重視ゆえ、東京で30ルセットに限って撮影をしたそうです。
●というような話は、てし本人がこちらに記していますので、どうぞ一読を。
●訳し進めるほどに、以前のものと違う訳語を当ててみたくなったり、表現がこなれてきて、前に戻って直したり、全体終えてから統一を取ったりと、この量を考えただけで倒れそうなほど大変だったはずです。わたしは職業柄、いくつか統一しきれてないのに気づいちゃったりもしたんだけど(笑・ごめんね~<(_ _)>)、これ、すぐに増刷になったそうで(祝祝祝!)、きっとそちらでは直っていると思います。いい本だから、考えられないお得さだから、フランス料理にかかわる人、フランス料理が好きな人は絶対1冊持ちましょう!
●全14章の構成は、(カッコ内はルセット数)
フォンとソース(39)、スープ、ブイヨンとポタージュ(56)、オードヴル(40)、サラダと前菜(51)、卵(26)、魚と魚介類(100)、内臓肉とファルス(11)、肉類(83)、家禽類とウサギ(48)、ジビエ(19)、野菜(109)、パスタ、米、グラタン(24)、一品料理と地方料理(23)、デザート(96)、
●別冊の内容は、
解説、調理の技術、食材のシーズン表、調理用具(イラスト付)
用語解説(イラスト付)、索引(日仏バイリンガル表記)
●別冊の内容は、
解説、調理の技術、食材のシーズン表、調理用具(イラスト付)
用語解説(イラスト付)、索引(日仏バイリンガル表記)
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「ジョエル・ロブションのすべて」
「ジョエル・ロブションのすべて」
ジョエル・ロブション著/「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」日本語版監修
勅使河原加奈子翻訳
勅使河原加奈子翻訳
ランダムハウス講談社 6720円 2009年10月刊
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(2010-02-24掲載)
2010年2月 24日, dans ★本のご紹介 | lien permanent