■ 「ヴィ・ザ・ヴィ」で待望のベカス |
■ 京都ブライトンホテルの「ヴィ・ザ・ヴィ」で、ジビエシーズン始まって以来お願いしていたベカス(山しぎ)がやっと入ったということで、わくわくと出かけました。もう悲願というくらいに、わたしはここでベカスを食べたかったのです。入ったら即教えてねとお願いして、こんなに待ち望んだこともありませんでした。夜より軽いお昼のコース(お昼は6名以上で予約可能)にベカス料理をメインとして組み込んでもらうことにして、何でも詳しくて食べ好きのMちゃん、祇園の和食店のご主人Dさんなど、きっと喜んでくれるに違いない人たちを誘って訪れたのです。
ガルビュール・ベアルヌ風 ミレジム2010 いつもの野菜たっぷりのお皿です。本来野菜ごった煮スープの意味だったものを分解した料理・・・野菜は野菜で香りと食感を最大限生かした美しいお皿として出され、そしてスープは別立てで、根菜の香りが豊かです。
●30種類とか40種類とか使われているのですが、時季によって野菜が違うから印象も毎回違います。オイルと塩で野菜の香味が引き立てられ、さらに泡立ってふわふわにからんだソースが香りと味わいを添えて、いろいろな味が口の中で同時にくっきり浮かび上がり広がって、万華鏡を見ているような気分になります。つまり陶然・・・やばいですね~(-_-;)
●まず脳みそからいただきます。長いくちばしについた頭の中をほじくり出すわけだけど、これはひらめとか、かわはぎの肝みたいな味です。スプーンで取りきれず、肉用の先のとがったナイフ突っ込んでおいしいところを逃すまいと頑張りました。●パイ包みになっているのは、腿肉です。腿肉はコンフィにした後ばらされて、フォアグラと共にほうれん草で巻かれた後、パイ包みにされています。
●手前の胸肉は、実際には90分くらいの低温グリヤードとのこと。じわじわじわじわ、「肉にも火を入れていることを気づかれないように」火を入れていったもので、だからものすごくしっとり柔らか、そして、本当に比類なく高雅な香りをたたえていました。野趣、とも表現できるんだろうけれど、わたしにはやはり優美とか高雅とか、そういう言葉で言うしかない香味でした。ベカスのよさを100%生かしきった火入れだったと思います。ほんと食べてしまうのが惜しいと思いつつ、絶対にこの味を覚えておこうと思いつついただきました。ベカス胸肉だけで十分過ぎるほどの美味だったけれど、トリュフも香りを添えていました。そしてソースはジュに内臓をピュレにしたもの、そして少し血も入っているそう。軽やかで品のいいものでした。後から聞いたことですが、シェフの滝本将博さんいわく、焼いていても、ソースを作っていても、本当に上質な香りが立ちのぼったと。作っていて気持ちのいいお皿だったということです。
●内臓で作った、こちらは濃いめのソースは、トーストしたパンに塗って供されました。これは強い香味で、強烈に旨いものでした。関西に入荷したのがこの時10羽あったかなかったかとのこと。その中でここに来たベカスはとても運がよかったと思います(笑)。確かな技で調理されてわたしたちの前に供され、較べることのできない味わいで、本当に幸せにしてくれました。少し燻製のような、少しアンチョヴィのような、ごくわずかへしこみたいな独特の香りが、臭みに転ばず、ただその通りにクリアに立ちのぼって、繊細な香味がストレートに伝わってきました。ジビエって、素材のよさとかどういう風に運ばれたかももちろんあると思うけれど、多分届いてからのこと・・・9割が料理人によって決まってしまうものなのではないかと思います。どれだけ熟成させるかとか、処理とか、当然火入れとか。今までどんな肉だろうが、絶妙な火入れで食べさせてくれたこのシェフだから、ベカスも、どれほどジャストな料理をしてくれるかと期待したのですが、本当にやっぱり最高の味を引き出してくれたと思います。わたし生きててよかった。シェフにもサーヴィスの方にも一緒に食べてくださった方々にも、すごく感謝します。<(_ _)>
●お願いしたのはこれだけの種類です。しかし撮影する人は、スプーンに映り込まないようにいたしましょう(-_-;) ほんと一生懸命写真撮ってるのだけど、「料理をおいしそうに撮れるようになりたい!」というのはほとんど思い詰めるくらいの悲願なのだけど(笑)、まだまだじぇんじぇんあかんのです(嘆)。
●で、撮り直し! このアングルにしたら、さっきのより、ちょっと料理写真みたい?(笑) デタイユいきます。●12時の方向から時計回りに、かつお節みたいにひらひらしているのがコンテ、三角がブルードーヴェルニュ、スプーンにずりっとエポワス、手前がシャウルス(牛乳)、ウオッシュとろりんのニュイドール、黄色いのがミモレット。
●カライブショコラキャレ プラリネ エピス。いつもの(アヴァン)デセールです。これさえ与えれば、わたしがダマることを知ってるシェフ、「いちごのお菓子を出してみて~」って頼んでみたけれど、やっぱりショコラで来たぞ。特大のいちごはお正月用で、すでになかったと。畑まで行って摘んできてなんてゴネてみたけれど、ないもんはないと一蹴された。(当たり前だ。)それよりベカスをゲットしてくれたことに御礼を言わねばならんのに、わたしったら。(-_-;) この後、普通のコースならシャリオでデセールのサーヴィスがありますが、それはパスした軽いコースです。
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(2010-01-16掲載)
2010年1月 16日, dans 京都 ホテル京都 フレンチ 2010~ | lien permanent