
■ 「レストランUSAGI」、行きたいと思いつつものすごくご無沙汰していました。本当においしいと思うし、京都ならではの稀有なフレンチなのに、なんだかタイミングが合わなくて・・・。それに本サイト開設後も伺ってはいたのですが、写真が暗すぎて載せられなかったということもあります。あ~ごめんなさい<(_ _)> 「USAGI」さんは、ふらっと入る、なんてことが(とりわけ夜は)あり得ないお店です。聖護院の静かな通りにひっそりあって、まわりはほとんどぬばたまの闇ね。店内もシンプル過ぎるほどで、白いクロスのかかったテーブルがある以外、余計な飾りは何もないという感じです。けれどここで出てくるのは、和食での修業経験が長いシェフの高松義史さんによる、ものすごく新鮮な魚介+たっぷりの野菜の鮮烈なフレンチです。焼いてから浸して味を染みこませるとか、ソテするよりできるだけ蒸すとか炊くとか、だいたいどのお皿も和の技法によって作られています。1週間ほど前の、夜の8500円のコースです。

●前菜ひと皿目に、蒸したきす、下に炊いた淀大根。ふきのとうバターソース。

●これぞ高松さんの料理という感じ。野菜たっぷりの魚介の前菜です。グリエしてから、燻製にしてから、だしでマリネして(=お浸しにして)味を含ませるというやり方。だしの染みた帆立に、ブロッコリー、さつま芋、菜種、赤玉ねぎ、京にんじんなどそれぞれ別々に味をつけられた野菜が添えられ、ひとつずつの素材の味が鮮やかに感じられるお皿になっています。ちなみに冒頭の写真と同じだけど、即席無理矢理ライティングしたのとしてないのと。う~無理があるう(-_-;)

●添えられた、新ほたるいかです。こちらは燻製→お浸しかしらん。菊菜と合わされています。ほたるいかはめちゃくちゃに好き。今年初でうれし♪

●赤穂の牡蠣にシェリーヴィネガーといしる(魚醤)のジュレ。新海苔と。牡蠣ふっくらしていておいし~。

●鱈の昆布締めを蒸したもの。白子豆腐の焼霜。九条ねぎ炒め。ごぼうのフリット。ソースブルギニョン。(パセリとにんにく、魚だしベース。) パセリとにんにく=すなわちエスカルゴのブルゴーニュ風ということで、ブルギニョンのソース?と解釈。ソースブルギニョンヌ(sauce bourguignonne)といえば、赤ワインベースのソースかな?と思うので、多分。繊細な魚介の味に他にないソースがからんでおいし過ぎです。ソースなしなら割烹で通用するお皿です。

●うずらのロースト。やっとフレンチっぽいお皿ですが(笑)、添えられているのは百合根のピュレと白菜のブレゼ。うずらの骨でとったソース。最後に肉っけを楽しめて、フレンチ気分になれて、これもやっぱりいいかも。

●デセールは3種類から選べたのだけど、満場一致でりんごのタルト。添えられているのはナッツのアイスクリームです。

●紅茶をナチュールで。
★どこにもないフレンチらしからぬフレンチ、もうすぐ10年になるお店です。世の中がやっと真空調理などの普及でフレンチでも素材そのものの食感を大事にすることやら味を含ませる技法やらがメジャーになってきて、「でもそんなの前からやってたよーん」って、高松さんにとってはまわりが追いついてきたような感じかしらん? いやそんなことも考えていないと思います。ほんとご自分がいいと思うやり方で、新鮮な魚介を日本海まで週に2度も買いに行ったりなんかして、全く変わらずマイペースでわが道を進まれている様子です。もっと街なかにあればとか、お商売っ気があればとか、(クオリティを至上とする)わたしですら思うのだけど、高松さんはこのスタイルがいいのだ~! 以前お昼はビストロっぽいデジュネだけでしたが、今はお昼も夜のような魚介&野菜たっぷりのコースを出していらっしゃるとのことだったので、また伺える時に必ず。<(_ _)>
「レストランUSAGI」
電話 075-761-0700
京都市左京区聖護院東町14 第2豊苑1F
12:00~14:00LO、18:00~21:00LO 月曜休み
テーブル20席 全席禁煙◎
予約が望ましい
昼2100円、4800円、6800円 夜6800円、8500円
(以上税込み・サなし)
グラスワイン確か945円~。
2000年10月開店
(2009‐02‐15)