
■ 2月11日に開店した「祇園 末友」の夜のコースです。オープン翌週の週末に訪問しました。初日のお昼(記事11日と12日付であります)に伺った時は、ご主人の末友久史さん自身が緊張していて、客の反応を伺いつつのお仕事だったのだけど、10日ほどたって場にも馴染まれたのかしらん? カウンターのお客さま方も以前から知り合いの方々ばかりだったからか、くつろいで、とまではいかないでも、緊張は解けて随分自然にお仕事なさっているように感じられました。わたしも仕事の必要からとはいえ、立てこもり入稿仕事からひと時抜け出しての訪問。「後は野となろう」の気持ちで心置きなくおしゃべりできる女友達と一緒に、以下の食事、とても楽しんだのです。●葛湯でしばしゆったりしたら、●先付に、どーんと蓋付きの鉢が運ばれます。先付なのにえらい大層な~。何ごとぞ~\(゜o゜)/

●ふたを取ると湯気湯気です。そしてふわーっと柚子のいい香り。柚子の香り焼きです。そしてお湯の張られた鉢の中をよく見てください。あっ! と思うでしょ? 「花霞」時代もハデにくつくつやるのに使っていた熱い石を、今回はこんな風に使っているのです。


●上からと、●寄って。柚子釜に、鱈の白子 菜種、紅白梅形にんじんと大根。ふつふつに沸き立って温かさの演出としては最高。「湯気がごちそうですから」って。けれど、この石の仕掛けは2月中のみで、以前の「花霞」の時のように毎月出しはしない、ということです。今回の店では、月ごと、趣向をぐぐっと変えるとのことで。

●「立春大吉」、八寸です。この紙は、蓋がわりに載せられているのだけど、おみやげに持って帰るようにとのこと。

●市松の器に、ひらめの子造り/つぼつぼに、いくらと、長いもたたき/いわし/いなり寿司。そして、蓋付の器がありますね・・・

●蓋がされた器は、ふきのとうの形とのこと。(ということは、これまた期間限定の器ではないの!)蓋を取ると、中には貝柱とふきのとう味噌。

●お椀はどんなでしょう? 大根と蕪の蒔絵が施されて、これも寒い間にだけ楽しめる器というわけですね。

●若狭ぐじと蕪です。味があるかなきかというほどなのだけど、2口、3口といただくうちに舌が慣れて旨みがぱーっと感じられます。あの「マジカルアイ」みたいな感じ。じっと見てると見える瞬間があるでしょう? あれよりもっと簡単だけど、じわじわと旨みが舌の上に開けていく感じ。ぐじがまたしっとり旨みたっぷりで、ほんとーーーにおいしかった♪

●お造りが段取りよく出せるようにこんなに整然と準備されています。この器も作ってもらったと。

●お造りは、紀州のまぐろ。独自の包丁の入れ方で、しゅわっと口で溶けます。まぐろ味のエスプーマだったのか~?って思ったくらい。そしてひらめ、ひらめえんがわのたたき。えんがわ大きいです。

●何だかハデなものが出てきました。つんつんして、動いていることを示す末友さん。

●伊勢の伊勢海老です。まだ生きているの。ひとりで半身。これを、

●カウンター前で、客の目の前で炭火で焼くのです。

●見てよ~~、お部屋じゅういい香りでもうダメ♪

●こうしてひとりずつ供されて、熱々を無言でいただきます。もう、うんまーいの!!


●伊勢海老の後は野菜で、堀川ごぼうを焼いたの。●器はこんな。


●湯豆腐かしらん? というようなセットが供されて、●湯葉が見えています。

●みぞれ仕立てで、湯葉と蟹の身、粟麩です。温かいあんをからめつつ。海老の後で、おっとりゆったりとした味です。

●こんなお皿。うさぎ? 鹿?? アルパカ???

●さきほどの伊勢海老のガラで、伊勢海老のスープ。海老味噌たくさん、生姜がきいて、お酒も入ってると。また犯罪的に旨い。

●珍味3種。強肴っていうのかしら? もっと飲めよと。またこんな大きなハデな器で、

●ふたり分です。

●海老芋に白味噌/しびまぐろ ぽん酢/あおりいか、わかめ、水菜。お味噌とかぽん酢とか、いちいちおいしい。

●ご飯をいただく態勢に。18:30の一斉スタートで、この時点で20:40くらい。

●お漬物もめいめいにではなくて、お鉢取り分けスタイルで盛り込まれています。


●ご飯がプレゼンされて、●氷魚のごはんです。薄いピンク色のは生姜です。なめこの味噌汁がつきました。

●アヴァンデセールに、マンゴー、いちごのソルベ。パパイヤのソースはエスプーマでしゅわしゅわ仕立て!

●とにかく器を揃えた、建物と同じくらいにお金かけた、陶磁器だけではなくガラス器も、って言って見せてくださったもの。器のほとんどは特注もので、ありものを買ってきたのではないと。器も毎月変えて楽しんでいただきたいと。


●お抹茶に、●織部の(=緑色の)薯蕷饅頭。蒸したてほかほかです。

●こんな湯気湯気で、ほんと~にふわふわおいしかった! コースはこれでおしまい。ごちそうさまでございました<(_ _)>

●中を少しお見せすると・・・まず椅子が座り心地いいのです。たたみに合うように「浜野」さんに作ってもらったと。下鴨本通、すてきなカフェもあるところですね。末友さんはまず、「椅子とは何か?」とインテリアの本まで読んで勉強したと。

●エアコン隠し技は師匠の「丸山」さんと同じですね。

●天井はこんな風です。数寄屋造りでこういうの、初めて見たかもよ。他もみどころたくさんです。食材厳選、コースはメリハリ効いて、お料理おいしい、器が華やか、居心地もいい。さらに末友さんは以前と同じようにキャッキャ笑って愛想抜群で・・・2万円のお料理=2万5000円のお支払いだったけれど、3時間しんそこ楽しめて満足できました。これから毎月こんな風に、その月らしく楽しませるとのことで、リピートせずにいられない仕掛けを作っていくみたいです。今はまだ、ほとんどカウンターのみの営業で「料理屋」だけど、ゆくゆくは「料亭」にしてゆきたいんですって。今の段階でもよくこれだけやったと思うし、そしてきっともっとやっていくんだろうなあこの人は。熱気のかたまりみたい、とにかくハンパではないですから。全国100万人の読者の皆さま、どうぞ京都へ! こういう人が育っちゃうってやっぱり京都の和食はすごいのです。どうぞ京都の割烹に食べにいらしてください!
(2009-02-24)