
■ 10月に入ってすぐの夜に、秋の気配濃い「祇園にしむら」さんです。温習会で賑わう祇園で、カウンターを囲んだのはお茶屋さん関係のややご高齢の女性客の皆さんに、わたしの方は3人(女性ふたりに男性ひとり)。前回と同様、ほぼ女性という状態でした。多分そんな年齢層とか女が多いといったことを考えて組み立てられた献立だったと思います。すーっと食べやすくてしみじみおいしかった。最近に至るまで長年「にしむら」さんに持っていた印象=「がつんとしたたんぱく質料理」というのとは違って、優しくて疲れず食べられて、それでいて確実においしいという、非常にいいものになっています。ただしこれは本当に好みで、昔のように「どうだ!」の料理の方がいいという人もいるはずだし、もうほんと、人とのお付き合いと同じです。自分も変わるし相手も変わる。人生は、その時々で必要な人、同じ波長の人に必ず会えるようになっているわけだけど、料理屋さんも同じことです。合わなかった料理屋さんは行って気が済んだことをよしとして、悪口を言うことなく、合うお店を見つけて通いましょうということです。いや、人生においては、必要な人=常にいい人とは限らなくて、すごく必要な人なのにイケズで困るとかいうことも時々あるから(大笑)、料理屋さんの方がよほど楽です。うまいもんで幸せにしてくれるんだもん♪


●いつもの胡麻豆腐でスタートです。●秋草模様のお椀が出てきて・・・


●鯛の潮汁。小ぶりのお椀で、「もうひとつお椀出します」と。だからこれはお椀その①なわけ。●お造りが剣先いか、鯛、とろ。半七の器、と。永楽より高い、と。よくわかんないのだけどきれいです。このお造り、どれもものすごくおいしい。「ねっとり」とか「じゅわじゅわ」とか「とろっ」とか、そんな食感を楽しみます。わたしお造りはできるだけ最小限、ほとんど何もつけずに、ほぼナチュールのままいただきます。

●定番鯖寿司。おいしいですこれも。このかそけき鯖の締め加減。芸術的と思います。


●まながつおの味噌漬け焼き。身はむっちりと、味噌の香りほんのりと。器もきれい。

●お椀その② 鱧と松茸の小さなお椀。これひとつでぱーっと華麗なお椀に仕立てることもできたのに、風味の違うお椀を小さめで、コースの初めと終わりに持ってきたというパターンです。少し湯気っとした写真です。

●里芋、万願寺とうがらし、(見えないけれど)茄子の炊き合わせ。だしの繊細優美な味わいと共に楽しむ野菜のひと皿です。


●二十世紀なしにマロンのクレーム、ピオーネに白ワインのジュレ。●ざぶざぶ飲む玉露で締め。
★しみじみおいしくて、ごちそうさまでございました。この日は「
永末書店」の華麗なマダム・永末摩美さんと、カメラマンの久保田康夫さんというゴージャスな方々とご一緒させていただいたのです。たくさんお話聞けて楽しかったです。皆さまに御礼たくさん。<(_ _)>