■京都ブライトンホテルのアラン・パッサールさん招聘デジュネ |
■先月のことですが、7月22、23日に京都ブライトンホテルで「アルページュ」のアラン・パッサールさんを招いてのデジュネとディネが開催されました。「ヴィ・ザ・ヴィ」のシェフである滝本将博さんの修業先が「アルページュ」であったことから実現した、京都ブライトンホテル20周年記念イヴェントです。わたしは2日目のデジュネに伺いました。勉強熱心なハルナちゃんもちょうど定休日だったので一緒に。
■いつもの卵で始まります。●大原・山田農園の卵 ショーフロア メープルシロップ風味。けれど正直、「あれ?」と思います。あえてできる限り卵の味を生かそうとするあまり? いつもよりぐぐーっと味が控えめです。「いつも」って、「ヴィ・ザ・ヴィ」のいつものと較べているわけだけど。
●京都近郊 彩り地場野菜 アルルカン風 エーグル・ドゥー 蜂蜜とライムの香り。頑張って集められた大原や静原の野菜の美しい取り合わせです。彩りも香りもよく、繊細な甘味と酸味が味わいを引き出して見事でした。これだけ集めるのにこちらのシェフやスタッフの大変なご苦労があったと思います。
●野菜のラヴィオリ パルミジャーノ・レッジャーノ風味 トマトのコンソメ。これは圧倒的に香りのいいお皿でした。トマトの透明なジュのコンソメが、温製でここまで香りを生かせるのがすごいと思いました。(ジュレならよくあるけれど。)ラヴィオリの中はアスパラガスやらハーブやらの緑の野菜が詰められ、本当いい香りでうっとり。
●北丹波農園 高坂鶏のココット・ロティ。鶏の3時間低温グリヤードです。いったいどれだけ大きな鶏なんか? っていうくらい分厚い身です。食べても食べても減ってかないような感じ。(後からの注:ヴォライユは1羽約2kgほどのもので大きい部類とのこと。)ソースは、玉葱をベースにしたものに白味噌を加え、少し胡麻油で香りづけをしています。付け合わせの根セロリのムースリーヌの上には、生姜のすり下ろしたのが入った根キャベツとにんにくのムースリーヌ、刻んだピーナッツとハーブオイルです。鶏を堪能できるお皿、あくまで素材の香味を生かすためのひと皿のようです。「ヴィ・ザ・ヴィ」料理と思って食べたらいかんのです。だっていつもの「ヴィ・ザ・ヴィ」のメイン料理はもっともっとたくさんの要素が盛り込まれ、がつーんとアグレッシヴだもの。
●ベルナール・アントニのフロマージュセレクション:エポワス、フルムダンベール、フージュリュ、ルブロション、コンテ。フロマージュはめちゃくちゃにおいしかったです。いつもの「ヴィ・ザ・ヴィ」の品揃えとセレクションだってすばらしいけれど、それでも際立っていました。全種類いただきました。とりわけコンテは今回のために丸ごとを入れたとかで、やわらかしっとり夢のよう。
●トマトの詰め物 コンフィ 12種の香り。デセール2皿目。12種類のエピスやフルーツの香りが響き合って、エグゾティックな香味です。オレンジやレモンの皮、ミント、くるみ、クローヴ、シナモン、レーズン、りんごなどなど。カラメリゼされたソースはオレンジ風味で、後を引くようなおいしさ。
●アラン・パッサールさん。なんだかおっとりした風情になられて、やっぱりそれがお料理にも映っているのかなあと思いました。パリでお会いした時、日本にいらしてインタヴューした時・・・もう10年近く前なのだけど、もっとエッジの立った印象だったから。フェアだから100%この方のエスプリを味わえたことには全然なってないだろうけれど、ずいぶん優しくなられたんだなあと思いました。●さらに思ったこと。「ヴィ・ザ・ヴィ」の料理ってすごいところまで来ているのだということ。このフェア料理と「ヴィ・ザ・ヴィ」料理を較べても仕方ないんだろうけれど、わたしが正直思ったことは「弟子はもしかして師匠を凌駕しているんじゃないか?」ということ。(←これについて、滝本シェフ本人は「とんでもない!」と激しく否定しているけれど。「料理のすべてのベースを形成してもらった上、いまだに刺激を受けているし、厨房の中では昔の通りの厳しさだった」と言っているけれど。)上り調子でパワーが漲っている今、秋のドイツ・エアフルトでのオリンピックも絶対勝ってきてよと思ったのでした。ともあれ準備期間1年以上の大変なイヴェント終えて、スタッフの皆さまもお疲れさまでございました。
2008年8月 21日, dans 京都 フレンチ京都 ホテル | lien permanent