■本日は「遊形サロン・ド・テ」(
最初の紹介記事)で、7月18日にデビューしたばかりの新しいデセール、白桃のジュレをご紹介します。器の蓋を開ければミルクティのような色合いのクレーム、中には、大ぶりにカットされた白桃がごろごろと入っています。これがキルシュ風味のシロップでコンポートにされた桃で、優しい甘味、そして実に粋な香りなのです。このコンポート液のジュレと、生クリームと合わせたカラメルソースが柔らかな桃にからむわけです。桃とキルシュとカラメルが、こんなに絶妙に響き合うとは・・・。シンプルにしてこの上なく美味、感動を呼ぶデセールです。
■白桃のジュレはこんな丸い器で供されます。この器はこのデセールのために村田森さんに特注して作られたもので、形は愛らしく、手のひらによく馴染み、そして色みも柔らかで目に心地よい。無駄がなくて美しいのです。
■メニューはこんなです。白桃のジュレ・・・実は初めて世に出るものではありません。憶えておられる方も多数いらっしゃると思いますが、これはかつて木屋町三条にあった稀代のカフェ、「リドル」(2004年1月に閉店)で出されていたものなのです。あの頃はローゼンタールの「魔笛」の器で出されていました。真っ白な器はよく冷えて、蓋に触れた時に指先が冷やっとしたのを今でもリアルに思い出します。この時季限定のものなので、「白桃はまだ?」なんて楽しみにしたものです。わたしは「リドル」で必食だったショコラのムースと、白桃のジュレと両方食べたくて選びかねて、結局両方食べちゃったことも何度もあります。実は今回も5年ぶりの白桃のジュレにメロメロ、18日19日とわたし連日食べに行っちゃいました。確かわたし病み上がりだったはずなんだけど、おかげで回復? 「食べるの早くない?」と2日目一緒に行った友人に呆れられました(-_-;)
■こちらがいつものショコラのムース。このサイトでもすでに何度も騒いだ(笑)名作です。光を受けて輝くポルト酒のジュレの下に、濃くて風味よいショコラのムース・・・もう桃源郷っていうか、これ食べられたら生き天国だとわたしは思う。「リドル」閉店の時は喪失感から長く立ち直れなかったけれど、こうして今「俵屋」さんの手になる格別美しい空間であの時の稀有なデセールが甦って、本当にうれしいと思うのです。当主の佐藤年さんがこんこんと「新しいカフェでは、デセール監修をどうかお願い」とかつての「リドル」店主の中島研一さんに頼まれた結果の快挙。異彩を放つ人はやっぱり放ってはおかれないということです。
■その中島さんは「リドル」時代から、カフェとはまた違う、こんなお店を持っていらっしゃいました。「THE WRITING SHOP」、ヨーロッパの洗練されたステーショナリーを扱うお店です。これがまた凝り性のかたまりみたいなお店なのです。ご自分でなさる活版印刷によるレターペーパーやらカードやら名刺などの販売に、額装もする専門店。シックですてきです。「遊形サロン・ド・テ」のメニューも、中島さんの手になるものなのです。そしてあのメニュー、実は革製だとのこと・・・わたしは言われるまで(言われても)わかりませんでした<(_ _)>
■こんなきれいな紙も多彩に扱われています。イタリアのマーブル模様の紙なんか、別に使うあてがなくても、なんだか欲しいなあなんて思います。実際の販売には、中島さんではなくて、花恵(かえ)さんという優しい方がいつもお店にいらっしゃいます。非常に客を選ぶお店だと思うのだけど、いつもお客さまがいらっしゃいますから、固定ファンが多いのだと思います。「リドル」の時と同じように。
THE WRITING SHOP、場所は蛸薬師富小路東入ルです。