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2008年4月26日 (土)

●フードフランス: 青山「BENOIT」で、祇園「匠 奥村」のコース


1日本での開催3年目を迎えるフードフランス(FOU DE/FOOD FRANCE)の、「2008/2009」の第1回目が東京・青山のフレンチレストラン&カフェ「BENOIT(ブノワ)」で開かれています。フードフランスとは、フランス料理界の未来を担う若き才能あるシェフたちを紹介し、フランス料理の奥深さをアピールするために、アラン・デュカスさんの発案により2003年にパリの「プラザ・アテネ」で始まったイヴェントです。フランス全土から選出されたシェフの料理が披露されてきましたが、今回初めて、「フランス料理の世界に国境はない」として、日本人シェフが選ばれたのです。京都で独自の世界を展開されてきた祇園の「匠 奥村」の奥村直樹さんがその人です。25日(金)~28日(月)の4日間の昼と夜の開催。2日目のデジュネに伺いました。サポートしているのは「シャトー&ホテル・コレクション」(旧「シャトー&ホテル・ド・フランス」)。現在こちらのジェネラルマネージャーで、わたしはフランス政府観光局にいらした頃からのお付き合いである伊藤宏和さんがアレンジしてくださいました。
1112まずシャンパーニュ(Laurent Perrier)をいただきながら、アミューズです。○筍のスープ ○ホワイトアスパラガス 黒ごまソース ○焼き茄子、海老、おくらに生姜、土佐酢ジュレ ○ごま豆腐に生うに ○ずいきの白ごま和え。くるりと囲んでいるのは木の芽ソース。春の和素材がたっぷり、優しい味わいに仕上げられて、ひのきカウンターで和食器で供されたら、割烹のお料理、少しおしゃれな先付にもなりそうです。どれも香り豊かで組み合わせの妙を感じさせました。
2122鯛のクリュ キウイフルーツと彩り野菜のバトネ。真鯛のマリネにたっぷりの野菜が合わされています。葉っぱはトレヴィスやマーシュなど、そして均一なバトネに切り揃えられているのはきゅうり、にんじん、キウイなどで、タテ切りにしたキウイの酸味ではっとさせられます。色鮮やかなソースはきゅうりとわさびで作られていて、吉野葛でとろみをつけたもの。これが目が醒めるような端麗な味わい。美しくて、さわやかそのものの前菜でした。
3132赤座海老のじゃがいも包み。にんにくピュレが下に敷いてあり、さらりと優美なようで、ぐぐっと迫力ある味になっています。ソースは海老からとっただしでカレー風味に仕上げてあり、強すぎず、けれどそこはかとなくスパイシーな香味がたまらず、どんどん食べ進んでしまいます。クスクスにもこのソースを絡めつつ。水菜のサラダだけは「下界のスパイシー騒ぎとは関係ないのよ~」って感じでひとり孤高にシャリシャリしていて、皿全体をきゅっと引き締める役割を果たしています。粋なお皿です!
4142すずきのパイ包み焼き。メイン料理も魚です。全部を魚で通すのだな。ふんわりほくほくちゃんとフランス料理で、ソースは赤ワイン風味のヴルーテに、うすい豆のピュレ、バターソース。中にきのこが詰められたシュガートマトのパン粉焼きが添えられていいバランスです。
5152フロマージュも奥村さんのアレンジで、ブルードーヴェルニュ、ブリ・ド・モーに木の芽、もうひとつは大徳寺納豆をはさんだものです。林孝太郎造酢の「桜みつ」といちごのコンフィチュールが添えられます。オリジナルのお酒「深き心」を合わせるのです。
61デセールはフルーツのグラタン サバイヨンソースに、黒ごまのパウンドケーキ、大葉のソルベ。ソースはいちご、マンゴー、ショコラです。熱々のグラタンにはりんごやバナナなどがぎっしり入っていて甘く優しく食後にいたわられるようなお皿でした。
7172ミニャルディーズまで抜かりなく美味。黒ごまのサブレ、きな粉のラングドシャ、抹茶の生ショコラ。ヴェルヴェーヌのアンフュージョンで締め。完璧なコースでした。
81奥村直樹さんです。「フランスの地方料理のひとつ」というとらえ方でアラン・デュカスさんに認められ、今回のフードフランスに参加できたことはとてもうれしいことだったとおっしゃいます。京都のお店では華麗な器使い、お箸も出すサーヴィスも含めての「奥村」料理だと思いますが、今回は「ブノワ」という枠組みの中で、食器も「ブノワ」のものを使い、料理のみで奥村さんらしさを表現したとのこと。一応お箸も100膳ほど持っていらしたし、一部でも「奥村」の器を運び込んで使うことも考えられたということです。柔軟に「ブノワ」に溶け込むことを決めて挑まれた今回のお料理は、本当にフレンチとして破綻なくいいものでしたし、京都のお店が選ばれたことを、わたしもとても誇らしく思いました。青山の「ブノワ」の瀟洒な空間もいいし、祇園の「匠 奥村」のしっとりした佇まいもすてきです。東京も京都も行き来するしかないと改めて思ったのでした。
28日月曜日まで開催しています。デジュネ8400円、ディネ15750円です。

2008年4月 26日, dans 東京 フレンチ京都 フレンチ |