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2007年10月19日 (金)

■「ばらの木」で、スチュワード麻子さんのアフタヌーンティー


Plaque京都タカシマヤ2階の、高級ブランドが並ぶコーナーの一角にある典雅な喫茶室「ばらの木」。京都で知らぬ人はいない、「リプトン」や「かつくら」の株式会社フクナガによって営業されています。「京都一、親切で、美味しい商品を提供します」と社訓に掲げているような会社ですから、質のいい仕事を目指され、お客さまを楽しませる企画を次々と考えていらっしゃいます。今回ご紹介するのは「ばらの木」で15日月曜日から始まった「アフタヌーンティー」です。紅茶と共に、サンドイッチにスコーン、そして小さなパティスリーを楽しむイギリスの伝統的なアフタヌーンティーですが、今回こちらの監修をされたのがロンドン在住の人気紅茶研究家、スチュワード麻子さん。ロンドン郊外の一軒家のご自宅で紅茶の教室を主宰され、年に一度は日本に帰られて紅茶のセミナーやデモンストレーションをしていらっしゃる方です。今回、東京・日本橋三越の英国展のために帰国、その後京都にいらしたスチュワード麻子さんに「ばらの木」でお目にかかりました。
Asakosan1スチュワード麻子さんは東京生まれ。日本女子大学・英文科を卒業後、日本航空客室乗務員となって世界を駆け巡るうち、お茶の魅力に目覚めたといいます。トルコにはトルコの、ロシアにはロシアの独自のお茶の飲み方があり、お茶の世界の奥深さを知れば知るほど惹かれていきました。日本紅茶協会で学んでインストラクターになり、イギリス人のご主人と結婚されて渡英後はロンドンで紅茶メーカーに入り込んでテイスティングを間近に見て覚えるなど次第にお茶ひと筋に。それでも麻子さんご自身は「少しも仕事にしようなんて思っていなかったのです。」 ただ「イギリスにあって、日本人の友達と日本語で話したい」という気持ちから自宅に駐在員の奥さまなどを招いて紅茶を囲んで自家製のお菓子を振る舞い、お茶の話をするうちにこの「お茶会」が口こみで広がり、いつの間にか紅茶教室ということになっていたのだそうです。つまり、(ご自身ではおっしゃいませんが、)麻子さんは駐在員の奥さまたちの憧れの存在となったのだと思います。郊外の一軒家に、イギリス人のご主人とお子さんたちとのイギリスらしい落ち着いた幸せな暮らし、暖炉のあるリヴィングでの、コレクションのアンティークのカップでお茶をと手作りのお菓子のもてなし。知的でお話し上手な麻子さんはあっという間に人気を集め、午後のお茶会は「INFUSE School of English Tea」という名の紅茶教室となり、一時は100名のウエイティングが出るまでになったのです。
Asakosan2_2そんな事態に至って、教室を自宅から外に移して拡大、ウエイティングの生徒さんを受け入れるようにしたり、お店を始めたりと、麻子さんは仕事の態勢を整えたといいます。ところが生徒さんたちが本当に望んでいたのは、講義室のような場所でのお話やデモンストレーションではなく、麻子さんの自宅リヴィングでのお茶の時間。それをわかった麻子さんは敢えて教室を縮小、元のスタイルに戻されて現在に至るということです。現在麻子さんは教室の生徒さんたちの要望から生まれた「インフューズ」オリジナルの紅茶のブレンドや、飲食店のためのハウスブレンドの開発をしつつ、帰国時はデパートの英国展や東京・銀座のリプトン・ブルックボンドハウスでのセミナーなど、日英両国で紅茶の楽しさを伝えて目覚しい活躍をしていらっしゃいます。
The1The2オリジナルの「インフューズ・ティー」は、関西では唯一この京都タカシマヤの「ばらの木」でのみ販売されています。4種類はそれぞれ、 
●オリジナルブレンド(ダージリン、キーマン、セイロン) 
●イングリッシュ・ローズ・グレイ(アールグレイに、英国の国花、バラの花びら) 
●ピーチ・ライチ・ブロッサム(紅茶と緑茶のブレンドに、ピーチとライチ、サンフラワーとジャスミンのつぼみ) 
●フラワー・シャンペン(香り高いシャンパーニュのフレーバー)。
これらの茶葉はイギリスから直輸入されたものです。麻子さんはこのブレンドに関して、英国の水でも、日本の水でもおいしく淹れられるということを特に考慮してブレンドされたとのことです。

Afternoontea_2そして、「インフューズ・ティー」を楽しみながら、これも「ばらの木」にしかない、麻子さん監修の「イングリッシュ・アフタヌーンティー」をいただきましょう。こちらは撮影用に、お皿を一堂に並べていますが実際はサンドイッチ~スコーン、口直しのジェラート、小さなパティスリーとコースのようにていねいに運ばれてきます。まずは上の4種類の紅茶の香りをテイスティングしてひとつを選択します。紅茶が供されたら、 ひと口サイズのサンドイッチがトレイにずらり、きゅうり、チーズ、サーモンなど5種類が「お好きなだけどうぞ」とサーヴィスされます。お代わりまで聞きに来てくださって、たっぷりいただけてうれしいですスコーンは焼きたて熱々を2種類、レーズンとオレンジです。濃厚なクロテッドクリームとジャムが添えられ、たっぷりつけてホクホクという感じでいただくとかなり幸せ♪ ひと口ジェラートで供されます。季節で内容は変わりますが、この日はミントのジェラートでした。そして最後に小さなパティスリーです。トレイでサンプルをずらりと見せてもらえるので、その中から3種類選択。麻子さんはテムズ・ヴァリー大学でみっちりお菓子を学び、英国パティスリー&コンフェクショナリー・シェフズ・サーティフィケートを取得した方ですから、お菓子の腕も本格的、フランス菓子に遜色ないパティスリが供されるのです。余裕のある午後、仲よしの友達とこんなアフタヌーンティーを楽しめたら、その日はなんと幸せなことでしょう。なんとも優美で、お味よく、ゆったり流れた時間はずっとすてきな思い出になると思うのです。

Livre_du_theアフタヌーンティーという習慣は、19世紀、7代目ベッドフォード侯夫人、アンナ・マリアが始めて英国の上流社会で広まったものです。伝統的で、おばあちゃんのもの、(あるいは観光客のためのもの)というイメージが先頃までイギリスでもあったそうですが、今はそうではありません。UKティーカウンシルのキャンペーンも功を奏して、今やファッショナブルなものとして捉えられるようになってきたのです。モダンなスペースで、伝統の焼き菓子スコーンと共にアラモードなパティスリがセットされたアフタヌーンティーが女性に大人気とのことです。またスーツ姿のビジネスマンが接待にホテルのラウンジのアフタヌーンティーを利用するというのも最近のトレンドだとか。ロンドンのさまざまなアフタヌーンティーや紅茶にまつわる豊富な情報を紹介したこの本は、見飽きぬ楽しさです。
スチュワード麻子著 『ロンドン、とっておきのティープレイスへ』 河出書房新社 1500円。
■「ばらの木」のイングリッシュ・アフタヌーンティーは、14:00~19:00LO ひとり 2310円。
ばらの木」 四条河原町 京都タカシマヤ2階 電話075-213-3891 10:00~19:30LO・20:00閉店。サイトはこちらです↓

2007年10月 19日, dans 京都 サロン・ド・テ |