
■銀座1丁目にある「京の田舎料理 御蔵」でお昼をいただきました。これが今回わたしが東京へ来た目的のひとつだったのです。「御蔵」とは、「かつくら」や「リプトン」でおなじみの京都の会社、(株)フクナガによる経営で、京都の料理を「懐石風にはせず、気軽に食べていただく食事処」というコンセプトで10年前にスタートしたお店です。当時話題だった3800円プリフィクスの走りでもあり、今では瀟洒な銀座の街なかで気軽に京都の日常的な味を楽しめる貴重なお店としてすでに定評を得ています。

■お店は地下1階にあります。階段を下りて行くと野菜がプレゼンされています。京都から直接届いたものが大半を占めています。鹿ケ谷かぼちゃなど、京都ならではの野菜がとりわけ存在感を放っています。「大抵みなさんここで写真を1枚撮られます」とスタッフの方が笑いながらおっしゃっていました。

■お月見のしつらえがされており、秋の風情です。わたしはお茶室風のお席でお昼をいただきました。
■こちらが「清滝」の皿盛り料理です。手前より時計回りにいきます。
●籠に、れんこん煎餅、衣かつぎ、だだ茶豆 ●かれいの西京焼き、酢取りみょうが ●(豆乳を京都から仕入れての)自家製湯葉豆腐 ●牛肉の炙り焼き、青菜(ほうれん草と壬生菜)の木の実(松の実、胡桃)和え、さつま芋の白和え ●山科茄子の田舎煮、万願寺唐辛子、鹿ケ谷かぼちゃのたいたん、大徳寺麩のたいたん。
■デセールには季節のフルーツ。今日は梨と巨峰、すっかり秋の味覚です。
■料理長の松田功さんと店長の片岡真奈美さんです。松田さんはもともと京都で和食修業なさった方で、「御蔵」開店時に料理長に就任、監修の「菊乃井」村田吉弘さんと常に相談をされつつ、ずっとこちらのお料理を守って来られました。昼は他に2コース、夜は3コースありますが、献立を変えるスパンがどんどん短くなって、季節を細やかに映すことを心がけていらっしゃるということです。今はもう料理屋さんではなく、喫茶もできる器やさんとなった寺町二条の「大吉」さんで昔5年間にわたってお料理をしていらしたと伺って驚きました。(本物のよさをご存じな方であることがこれで確かですね。)一方、片岡さんは3年来こちらで店長をつとめておられ、東京にあって京都らしさを意識しつつ接客をしていらっしゃいます。
■すっかり京都に戻ったような気になって、けれど地上に上がれば銀座の街、どちらもわたしが日本で最も好きな場所です。銀座で京都の料理で満足して、不思議な幸福感に包まれました。お客さまには京都を懐かしがる京都人や、もっと多く在京関西人、そして東京の京都ファンが多いとのこと。11時過ぎから女性客でまたたく間に席が埋まった様子は、10年たっても変わらぬ人気を物語っていました。東京にお住まいの、かつてのわたしのような京都好きの方、すぐに京都に行けなくても大丈夫です! 銀座でお昼も夜もごく気軽に京都のお味。予約をしてお出かけください。
「京の田舎料理 御蔵」銀座本店 東京都中央区銀座1-6-10 上一ビルB1 電話03-3564-3921 11:00~13:30コースLO、14:00「清滝」LO・15:00閉店、17:00~21:30LO・23:00閉店 無休 要予約。HPはこちら