

■京都ホテルオークラの17階にあるスカイレストラン「
ピトレスク」で毎月20日(vingt = vin )の夜に開かれているワイン講座ディナー、「ワイン千夜一夜」。毎月異なるテーマでシェフソムリエ・西別當 選さんが選んだワインを解説付きで、シェフ・玉垣雄一郎さんのコース料理と共に楽しむ非常に充実したイヴェントです。先月8月19日に掲載した「エデュク ヴァン」がランチであるのに対して、こちらは夜にゆったりと。その分、内容もよりゴージャスです。タイトルを変えながら10年以上続いているこの人気の講座に、先月参加させていただきました。8月のテーマはわたしもとりわけ好きなシャンパーニュ。シュワシュワと美しいこの液体、1本のボトルの中に含まれる気泡はなんと約10億個だそうな。華やかな場面に、これほどふさわしい飲み物があるでしょうか。「シャンペン」だとか「シャンパン」だとかいまだに表記しているレストランがありますが、「シャンパーニュ」という音自体がとんでもなく高貴でいかにもフランス語らしい響きですから、わたしはどんな場所だろうが必ず「シャンパーニュ」と発音します。( いやみかしら~ (-_-;)?) もういいの、どこだろうとわたしはフランス偏愛、そして京都偏愛を貫くのです!


■テーブルにはシャンパーニュについての懇切丁寧な解説テクスト、そしてコースのメニューが用意されています。冒頭の写真の
Ayala Brut Majeur N.V がまず注がれ、アミューズ(グジェールなど)をいただきます。Ayala Brut Majeur N.V は深いこくがありな
がら、びしっと鮮烈、それでいて典雅な印象・・・という、ほとんど禅問答みたいな味わい。(←ものすごく簡単に言うと「おいしい、幸せ~!」です。)ぶどう品種のパーセンテージなどについては、どうぞ「ピトレスク」の
サイトでご確認ください。


■次の
Ayala Zero Dozage N.V と共にいただくのがひと皿目のお料理、
京もち豚タンのコンポートグリエといろいろな茄子のガレット仕立て ポルチーニのピュレ添え。塩水に漬けたタンをグリエしたものが、ほとんど「酒のアテ」みたいに酒っ気を呼ぶたまらないおいしさ、さらにこの強い味わいを支えるのが「いろいろな茄子」。賀茂茄子、紫茄子、白茄子、イタリアの茄子など多彩な茄子が味わいのグラデーションをなして見事でした。上に添えられたパリパリはソッカ=エジプト豆をピュレにしておせんべい状に焼いたもので、黒いつぶつぶは黒オリーヴです。これだけでも強烈に美味。塩気明確なこのお皿に、ドザージュ(甘み付け)ゼロ、シャープな味わいのAyala Zero Dozage N.V はあまりにもよく合いました。


■2皿目が、
丹後グジのパリパリポワレ 鷹ヶ峰とうがらしのエスプーマ添え。ぐじがバリバリと口に心地よく、緑色のとうがらしソースがおいしさを引き立てます。シャンパーニュと料理のおいしさに酔いしれて、とっくに「後は野となれ」の野となっていたわたしですが、ここで完全に引き返しようもない「野状態」。
Bollinger Special Cuvee N.V が合わされて・・・微細な泡が夢のように美しく、香りは焼いたトーストのようでもあり、味わいは繊細優美。完璧にお料理と調和していました。


■3皿目、
ブルターニュ産オマール海老のコロンボ風味 コラリーヌソース。スパイシーなオマールに、青りんごとキャヴィアのリゾットです。甲殻類のおいしさって、いつも「犯罪的」なおいしさ、有無を言わさぬ美味であると思うのです。おいしかった・・・。オマールの子のソースがコラリーヌソースで、犬になってお皿なめたかった。
Bollinger La Grande Annee 1999 が出てきて、こちらはひどくいい香り、美しい泡、やみつきになりそうな深みある強い味わいが楽しめました。



■最後のシャンパーニュは
Ayala Rose Majeur N.V。軽やかな口当たり、細やかな泡、品のいいローズ色が華やかな気分をより盛り上げます。熟成したフロマージュが供され、本当に幸せな瞬間です。18ヶ月のミモレット、ラングル、シャウルス。地のものどうしで合うに決まっている・・・というセレクションです。そして、これは予定外のサーヴィス、シャンパーニュ地方の赤ワイン、
Bouzy Rouge Grand Crus 100%が注がれました。この淡い、控え目なルビー色の吸い込まれそうなこと、どれほど見ていても見飽きない・・・と思いつつ、結構すぐに飲んでしまいました。(-_-;)


■デセールは、
マンゴーとすいかのテリーヌ 白桃のクーリ。すいかって、フランス語でパステック。この音が好き。ナイフを入れたらしゃきっと、またいい感じでした。パートブリックに包まれたのはマンゴーで、ちょっと驚きの味。ここまでのシャンパーニュとワインでわたしはあまりにふわふわと酔い心地よく、レモングラスのアンフュージョンをいただいてしっかり覚醒しようと思ったのだけど・・・共に供された小菓子の写真はブレておりました<(_ _)>わたしとしたことが。最後にボトルも全部プレゼンされました。

■そして、シェフソムリエの西別當さんは、本年シャンパーニュ騎士団のシュヴァリエの称号を授与されたのです。これはシャンパーニュの普及に努めた世界の名士にのみ贈られる、大変栄誉あるものです。ご自身がシャンパーニュ好きで、京都ホテルオークラに入社以来、ごく自然に毎年シャンパーニュのフェアをしていらしたからだと謙遜なさいますが、シャンパーニュへの深い愛と理解があってこその受章です。こんな方からお話を伺いつつ極上のお料理をいただけるとは、客としてなんて幸せなことでしょう。
■「ソムリエとシェフで、飲み物と料理の調和については、よほど話し合われるのでしょうか?」と伺ってみました。「もちろん話しますが、そんなに詳しく話すとか、まして指示するようなことはありません。」というお答え。少しイメージを伝えるだけで、勘のいい玉垣さんはぱっと理解されて的確に料理を考えることができる、というお答えでした。
■これからのテーマ:9月は「フォアグラとワイン」、10月は「キノコとワイン」、11月は「ジビエとワイン」。食材が揃ってますます料理がおいしくなるこれからの季節、わたしもまた参加したいと思っています。お値段はひとり23100円(全部込み)。内容を考えると、(心の底から)お得です!!
■予約は京都ホテルオークラ「ピトレスク」 075-254-2535へ。ワイン講座についてはこちらです。