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2007年6月27日 (水)

■「陶然亭」 2007年夏


1_3412_3273_2664_2065_1736_1527_1368_1149_10310_97祇園にはあまた魅力的な割烹がありますが、「陶然亭」(何度か既出)も本当に好きな一軒です。季節に一度は何としても伺いたいと思うのです。「唐長」の美しい文様の唐紙に飾られた店内は華やかな気分になれて、いただくコースはいつも間違いなく美味。それは静かなおいしさで、たとえばピッツァ釜から焼きものを出してきて「どうや~~!」というようなものではないのです。(それはそれでめちゃくちゃ好きで通わずにはいられないのだけど。)主張しないけれど確実なおいしさ。というだけでなく、とても創造性にも富んでいると思うのです。ある晩東京からいらしたお客さまを迎えて、1万円のコースです。●ずいきのお浸し じゅんさい、海ぶどう ●とり貝 すだちと塩で ●鱧、よこわ、うに ●昆布だしに、鱧と梅 ●賀茂茄子に万願寺唐辛子、近江牛、卵も ●ちょっとバラしたらこんな ●揚物:新ごぼう、新生姜、とうもろこし ●お漬物はばってん茄子ときゅうり ●ちりめん山椒が覆い尽くすように載ったご飯 ●定番デセールのクレームブリュレ。バランス感覚絶妙と思えたコースでした。ひと皿めで口の中さっぱり、気分も爽やかになり、ふた皿目、さらりとした冷酒を合わせてとり貝の旨さにうなって、早くもわたしは「後は野となれ」状態、限りなく野となっていました。造りのよこわやうにのピュアなおいしさ、そして細造りにした鱧が繊細な口当たりでした。そして生ものが続いた後に、こんどは温かい鱧の料理、それも昆布の香りと鱧の旨みが合わさって、梅の香りと塩気・・・見事なお皿でした。わたしは「鱧の落としに梅肉」という定番鱧料理って、そんなにおもしろくもないなあとむかーしから思っているのですが、この鱧+梅は組み合わせは同じでもまったく違う味わい方で、非常にわたしを喜ばせました。梅自体は強い酸味も抜けて、ひたすらいい香りと塩気を鱧に添えていたのです。おだしは言うまでもなく、旨みたっぷりの昆布もぺろっといただいてしまいました。そして、メインという感じで、これだけでも十分美味な賀茂茄子田楽に、近江牛の小さなステーキが添えられて非常なボリューム感とおいしさを味わえました。揚物は、千切りのごぼうに千切りの生姜・・・千切りにすることで軽やかな食感になっています。オリジナリテが感じられました。口の中でほどけるとうもろこしがまたひどく甘くて香りよくて心地よくてたまらんおいしさ、天ぷらはとうもろこしの最高の食べ方かもしれません。ちりめん山椒はしとしと状態に炊かれて柔らか、お料理やさんならではのもの。やっぱり京都にいてよかった、こういうお店を訪れる楽しみを持てることを、とてつもなく幸せなことだと思った夜でした。

2007年6月 27日, dans 京都 和食07前半 |