■わたしはこの頃、骨折人生の真っ只中にいましたが、友達が白い包帯を染めて真っ赤にしてプレゼントしてくれたり、この晩また別の友人がこうして集まって一緒に夕食できたりと、とても恵まれた日々でした。さらに久しぶりにきちんと「ヴィ・ザ・ヴィ」でいただけることがひどくうれしかったのです。昨年の初秋からいったい何度予約をお願いしては「満席」「キャンセル待ち」と言われたことでしょう。10席の垂涎のテーブルに、この晩やっとたどり着けたのです。
■アミューズ3種類。手前から椎茸のロワイヤル、卵のショーフロワ、ドンブのかえるのフリット。グラスに入ったフラン状の椎茸の香りのいいこと。卵のショーフロワは滝本さんがパリでの修業先から持って帰られた定番スペシャリテです。なめらかでほのかな甘みがたまらない魅力です。どうぞ一度は食べてみてくださいね。そしてかえるのフリットは外側さくっと、身は淡白なうまみです。以上ふわふわ、トロトロ、さくっと、異なる食感と香りとおいしさで、もうすっかり楽しい気分です。この後どんなお皿が続くのか?

■五島列島沖一本釣り桜鯛とアトランティックサーモン 白板昆布 ミルフイユ仕立て イラン産オセトラ・キャヴィア/赤雲丹/胡瓜のテクスチャー。昆布締めされた桜鯛とサーモンが精緻に層をなしています。細かく刻まれたきゅうりやキャヴィアが食感と香りのアクセントになり、実に美しく、海の香りをそのままいただく繊細美味なお皿です。

■クローシュが取られるなり鮮やかな色合いに目の覚める思いです。ランド産 極太白アスパラガス 塚原産朝掘り筍 炭火焼風 鴨のフォアグラ ポアレ 上賀茂産 新玉ねぎ和え。ブナチップで焼かれたものすごく香ばしいアスパラガスと筍。これだけでとんでもなく美味なのだけど、フォアグラがこくを添え、玉ねぎや野生のクレソンの香味がニュアンスを与えています。口の中がめちゃくちゃに幸せになりました。

■三重県・尾鷲沖 赤座海老ロティ ヴァニラが香るココナッツの軽いクレーム 青アスパラガスの穂先 モリーユ茸 アルジャントゥイユ風。 ラングスティーヌのロティで十分すぎるおいしさ、でもココナッツのふわりと軽く甘いソースが粋に合わせられ、アスパラガスはすーっと歯の入る柔らかさ、モリーユはじんわり噛んで味が広がりいい香り。食感、色合い、香り、味と、多くの要素が盛り込まれつつすべてがバランスよく響き合い、ただ美味にクラクラし、他のあらゆることを忘れていました。後は野となれ~!
■滝本将博さんが仕事していらっしゃるところ、これは別の日、取材時に撮らせていただいたものです。肉を大切に焼かれる現場を見せていただいたのです。だいたいわたしはこの人があまりにいい方なんで、気安く夜中にカレーそばを食べさせたりみりんを飲ませたりして、(昨年11月頃にあります。ヒマな人は探してね)ふざけておったかもしれん・・・と反省しました。全く群を抜いた方だと改めて思ったのでした <(_ _)>
「ヴィ・ザ・ヴィ」 京都市上京区新町通中立売 京都ブライトンホテル 電話 075-441-4411 昼は6名以上の予約で営業 夜は17:00~21:30LO 無休 要予約 昼6500円~、夜13000円、15000円(税サ別)
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