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2006年8月 5日 (土)

●東西食遊記 最終回 東京「チャプチーノ」


Shukanbunshun060810

発売中の「週刊文春」8月10日号、巻末グラビアの「東西食遊記」は、東京・代々木上原の「チャプチーノ」です。食事のためのそば粉のパンケーキを打ち出したとてもユニークなお店で、パンケーキ=アメリカではなくて、イタリアンのメニューが本格的なのもすてきです。カジュアルなようでいて、どんなお料理をいただいてもばっちり味が決まっておいしい、ただものではないと最初に伺った時に思ったのです。さらに、「このシェフ、どこかで拝見したなあ、以前取材させていただいたなあ」と考えていたのですが、西麻布にかつてあった「アンティキ・サポーリ」のオーナーシェフでいらした高橋弘行さんでした。
Img_0143撮影時にカメラマンの石井雄司さんのライティングを拝借して撮ったサーモンのパンケーキです。誌面とは違えて、真横からです。歯がさくっと入る感じの生地です。サーモンがよく合って完璧なハーモニー、これひと皿でとても幸せになれます。


「チャプチーノ」 東京都渋谷区上原1-36-14 電話03-3485-5225 11:30~15:00、17:30~21:30LO 月曜休み 全席禁煙◎
そして「東西食遊記」はこれが最終回です。京都と東京のお店を交互に紹介するということでスタートして112回、本当にさまざまな方にお世話になりました。もともとは京都のお店紹介の連載を! と文藝春秋の方にお話しして始まった仕事ですが、「全国誌で京都だけはないだろう」ということで東京が後からくっついてきたのでした。ならば京都と東京で、何かしら通じるものを持たせて、と、必ず何か共通するテーマがあったのです。フレンチとフレンチ、イタリアンとイタリアン・・・というのならわかりやすいのですが、焼きものとか煮込みとか麺類とか、ジャンルを超えての対向記事もありました。それと、京都で和食なのに東京ではその時期ぴったり候補になる和食店がなくてお寿司になってしまったり、逆に京都でお寿司を初めて取り上げて、東京は天ぷらにしたりと、ものすごーく考えながらお店の選定はしておりました。連載開始前、●単にいいお店というだけでなく、週刊誌である以上、常に新店紹介でなくてもいいが、話題性とか速報性を考えるように ●わたし自身の色は出さないよう、ごくニュートラルに店紹介を、ということを言われました。でもどうかしらん、よくも悪しくもわたし自身の好みやらわたしの視点は出てしまっただろうなと思います。
この3年間は東京と京都を1週間ずつ往復しながら毎日食べ続けてお店を探しましたが、それでも合間に他誌の京都特集などたくさん仕事をさせていただいたし、限られた試食の回数の中で、ほんと1食1食「今から行くお店がいいお店ですように。どうか週刊文春の候補となるレベルですように」とお祈りをしながらの訪問でした。かつては痩せの大食いだったのが、すでに痩せてないわ、食べられる量は減るわで、太田胃酸を持ち歩きつつの試食の毎日。さらにいったん取材依頼したら、再度必ず、それもできればその店を知らない人に一緒に来てもらって、試食に伺うということもしていました。かつて女性誌の編集者であったし、雑誌記事執筆じたいは少なからぬ経験がありましたが、60万部の週刊誌に連載記事を載せていただくということは初めてで、開始時のプレッシャーたるやすさまじいものだったのです。食ライターとしては無名だったわたしが、こんな大それた仕事をしていいのだろうか? という思い。でも京都のお店をコンスタントに紹介していけるという、これは絶対やらねばならん仕事であるという思い。なんとか1号1号の記事が、実に多くの方々のご協力で実現していきました。いったん始まるとものすごいスピードだったし、とにかくわたしのすべきことは食べる食べる食べる、段取りをする、目の前の入稿をする、(で常に同時進行していた他誌の京都ページも回す)と、ものを考える暇もなかった・・・というのが正直なところです。
そして、食べる以前の情報収集の段階で協力してくださった、これまた数多くの方々に盛大に御礼を申し上げたいと思います。いつも行くバーや、食材納入業者の皆さんから最新情報を常にいただいておりました。わたし自身も頑張りました。どこより、誰より新しい情報を、と、とりわけ京都では工事中の割烹に乗り込んで行ったり(ご迷惑すみません・・・)花屋さんでは、新店オープンの納入先のデータを、店頭の花にくくりつけられた伝票から勝手に控えたりもいたしました。(今では個人情報保護で伝票もちゃんと見えないようになってます。)
連載が終わってみて、正直ほっとした面と、今後も情報を、とりわけ京都のお店情報をコンスタントに出していきたい、それをどうしたらいいのか? という思いと両方です。幸い今の今は秋の京都特集にかかりきって50軒近い取材敢行中です。幸せな取材♪の後に当然この軒数分の原稿を書かねばならん・・・(*_*)・・・けれどその後はわたしヒマになっちゃいまーす! ヒマになって収入が途絶えたら・・・京都の方々には話しているのです、「そのうちわたし二条大橋の下で赤いテントで暮らしています」と。「祇園さヽ木」さんはお椀を差し入れてくださるとか「トラットリア・ニーノ」は打ちたてパスタ持ってきてくださるとか「ル・プチメック」はパンを届けてくださるとか、さらに「カフェ・ヴェルディ」は淹れたてヴェルディブレンドを、「虚無蕎望なかじん」は粗碾き蕎麦を、「切通し進々堂」はウイきゅうや玉子トーストをお持ちくださるとかで(あとフロールも、サイドカーロングも頼みます)、なんだか橋の下でとんでもなくゴージャスな食生活となりそうなんですが、どうぞこれをご覧の東京の編集者の皆さま、この情報あふれるサイトを読み逃げせず(大笑い)関谷江里に仕事をくださ~い! 数多の最新情報を出していけないことが、わたしは最もつらいです。
でも今日は、重ねて御礼を申し上げたいと思います。仕事をくださった文藝春秋の方々、取材させてくださったお店の方々、一緒に仕事してくださったカメラマンの方々、情報をくださった方々、一緒に食べに行ってくださった方々、そして連載を読んでいつも励ましてくださった読者の方々、本当に感謝しています。<(_ _)><(_ _)><(_ _)>

2006年8月 5日, dans 東京 その他いい店●掲載誌 |