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2006年8月 7日 (月)

■祇園にしむら


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東京から同業のタケシさんが秋の京都の取材にいらっしゃいました。この人とは東京で会うことはほとんどなくて、時々京都で会っては夕食→飲みとなる友人です。一緒においしく食事するまではいいんだが、お酒が入るほどに本領発揮で陽気になりすぎるのが問題か?? ともあれ、彼と一緒ならとびきりおいしいお店を選びましょう。迷いなく「祇園にしむら」さんでの夕食となりました。
●胡麻豆腐 ●鱧と松茸のお椀 ●向附は鯛とトロ ●名物鯖寿司 ●酒肴のお皿、○枝豆ととうもろこしの天ぷら ○子持ち昆布 ○干瓢酢味噌和え ○鱧の子 ○いんげん豆の胡麻和え ●鱧玉子とじ 松茸、ねぎ、三つ葉、春菊、下に玉ねぎ ●あわびの肝 ●箸洗いのお椀、あわびと帆立しんじょう、下にわかめ ●万願寺唐辛子と賀茂茄子の炊き合わせ ●鯛茶漬け ●お漬物も全部自家製 ●ほうじ茶をいただき、 ●マンゴーと桃 ●熱々でなみなみと玉露 ●精悍な西村元秀さん。
ひと皿ごとに、「なんておいしい」「今まで食べてきたものは何だったのか?」というフレーズが頭の中をぐるぐるしました。どれも何の衒いもないのに、実に味が深くて旨い。ジミというのではないのだけれど、全然奇抜ではない、非常にまっとうなものを、99とか100%の旨さでもって出してきてくださるのです。胡麻豆腐はすべらかでただただ心地よくいただき、鱧と松茸のお椀は、鱧がまろやかな口当たりで明らかに他と違っていました。吸い地の味わいときたら、これ一生飲み続けていたいと思いました。お造りもまず見て美しくてシンプルにおいしい。包丁技ですね。鯖寿司は鯖の絶妙な締め加減に寿司飯との相性のよさも完璧(この時期ならではの締め方の塩梅があるのでしょう)。酒肴いろいろも楽しかった♪ 新作・鱧の玉子とじも、おだし・鱧・玉子・松茸と野菜がそれぞれの味を引き立てていて絶句しました。そしてあわびの肝! 酒蒸ししたあわびを漉して塩と醤油だけで味付けた、とかる~く西村さんはおっしゃるのですが、ちょっとこの犯罪的なおいしさ、のたうってしまいました。お箸ですくって舐めては冷酒を飲んで、わたしは大酒飲みではないけれど、「後は野となれ」な気分になってこの肝を味わいました。最後はこのお猪口に冷酒を注いで飲んだのでした。で、箸洗いの小さなお椀ですが、あわびがどーんと入って迫力の味、おだしに貝の味が染み出してまた倒れそうな美味。ちょっとヤバいおいしさの後にはすっきりと万願寺唐辛子と賀茂茄子がきて、これがまた野菜の味をそのまま生かして、ジミなのにハデに旨いという矛盾を感じさせる皿でした。続く鯛茶漬けの、またとてつもないおいしさ・・・。昆布締めにした鯛には胡麻だれが絡み、張ったおだしが圧倒的に味わい深かったです。「おいしいおいしい」って、ライターとしてはアホなフレーズで、原稿に書いたら許されないのだろうけれど、でも「おいしい」を連発するしかないコースだったのです。どの皿も非常に大人な味で、けれんなくぴたりと決まり、「これ以上のものはないだろう」と思わせてくれました。最後の、玉露が熱々というのも新鮮でした。低温で味わうはずのお茶なのに、熱くて極上のお茶の香味が楽しめて、お抹茶で締めるのとはまた違うインパクトがありました。非常に満足。店主の西村元秀さんは29歳でこのお店を持たれたというのだから、(そして初めから老成した料理を作っていらっしゃいましたから)本当にすごい方です。天邪鬼とか異端児とか言われるけれど、「人とつるまずわが道を行く」スタイルなわけで、話せば気さくだし言いたい放題を聞くのは楽しいし、料理に対する考え方は非常に真摯だし研究熱心だし、わたしは西村さん大好きです。年齢的には彼の方が年下というのに、昔からこちらの料理をいただくたびに大人の味、ずっと年上の人が作る味と思えてしょうがなくて、今も何だか年上の、すごく腕の立つ輝かしいお兄さんという気がしています。
Lexterieur_8 「祇園にしむら」 京都市東山区祇園町南側570-160 電話075-525-2727 17:00~21:00LO 日曜休み(4月は営業) 要予約。

2006年8月 7日, dans 京都 和食06後半京都 祇園にしむら |