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2006年8月10日 (木)

■陶然亭


1_782_813_774_675_556_537_478_439_3710_3311_3312_31東京から扶桑社の編集者である坂口明子さんがいらっしゃいました。「春京都」「夏京都」と続く京都ムックのシリーズの秋版、「秋京都」の撮影のためです。わたしは「夏京都」以来お世話になっていますが、明子さんというお名前の通り、とても朗らかで感じがよくて、一緒にいると楽しい気持ちになれるのです。この夜は、「秋京都」でランチ取材をさせていただいた「陶然亭」で、1万円のコースをお願いしました。
●冷製の先附、ずいきと海苔のおひたし、上に海ぶどう ●向附はとり貝、鱧、あこう ●冷製茶碗蒸し、鱧と松茸 ●賀茂茄子と小芋、新れんこんと糸うり、あんかけ仕立て ●ぐじの梅だれ焼き ●生姜の風味豊か、渡り蟹の具足煮 ●新ごぼうのおかき揚げ ●お漬物もおいしくて ●鱧のお茶漬けで締め ●デセールにクレームブリュレ。
夏らしく冷製のもので見た目も涼やか、気持ちも体温もクールダウンした後に、どんどん盛り上がって、だしのおいしいお茶漬けでしみじみ美味に締めるというバランス最高のコースでした。どのお皿も、上品で、静かに、しかし確実においしいのです。これはひとえにご主人の渡邉敏朗さんのお人柄なのだと思います。もの静かで、とても仕事熱心でいらして、技術も確か。騒ぐことなくすっとおいしい皿を差し出して食べるのを見守っていてくださるという感じで、わたしはこういう方に頭が下がります。というかかなり反省します(苦笑)。
わたしの仕事、きちんと取材を終えて原稿ができてナンボなのに、アポ入れがきれいにできたというだけでスケジュール表を誰かれなく見せてまわって「すごいでしょ~すごいでしょ~、わたし天才でしょ~~!」と、取材をする前から大騒ぎして褒めてもらいたがる・・・(-_-;)・・・恥ずかしい。でも40軒とか50軒を、限られた取材日数内でアポを組んだ時はすごい達成感があるのです。みんなわかってね。いつも無理を聞いていただくお店の方々、本当にありがとうございます。
で、「陶然亭」さんのお料理に話を戻すと、先附は軽やかで爽やか、お造りもたっぷり、鱧は落としでも焼霜でもなく生でごく細く造ってあって食べやすくて美味、次の茶碗蒸しではまた違う食感で鱧が登場してうれしく、あつーいお椀がわりのあんかけは糸うりやれんこんがシャキシャキと、茄子や小芋のとろっとした食感といいコントラストでした。ぐじ焼きはひたすら香りよく旨み強く「陶然」とする味、渡り蟹は押し黙って没頭していただきました。おかきをまぶして揚げたごぼうの旨みときたら、思わずどうやってこのお味を? と尋ねてしまいました。鶏と炊き合わせてごぼうに旨みを染みこませているとのことで、「その鶏はわたしが食べてます」とご主人がおっしゃったので一瞬笑いました。最後のお茶漬けは細かく刻んだ紫蘇の葉や強めに煎った胡麻がいい香り。おだしがかかってはんなりと開いた鱧は、先の造りや茶碗蒸しの具の鱧とはまた違う食感ですてきでした。本当においしい、いい食事をさせていただきました。店内に「唐長」の唐紙がふんだんに使われているのも華麗です。料理屋さんが連なる通りとはあえて何筋か離れた新門前通にお店を構えていらっしゃるのもまた、格別の風情と思うのでした。
Lexterieur_9「陶然亭」 京都市東山区新門前通大和大路通東入ル西之町227-3 電話075-561-8024 11:30~13:00LO・14:00閉店、17:30~21:00LO・22:30閉店 日曜と月曜の昼休み 要予約 昼3000円~、夜5000円~。

2006年8月 10日, dans 京都 和食06後半 |