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2006年7月16日 (日)

■啐啄つか本


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●丸芋をすって葛と寒天で寄せたものに、うにと生海苔のジュレ ●お椀は牡丹のようにきれいに開いた鱧に梅肉、おくらと ●造りはとり貝と中トロ ●お凌ぎに穴子焼き寿司。柔らかく炊いた穴子を香ばしく炙って、胡麻や大葉の香りも効いた寿司飯と。上品なあんかけ ●焼き物は新とうもろこしとすずき。新玉ねぎのすりおろしと ●新小芋、たこと賀茂茄子の炊き合わせ冷製 ●れんこん饅頭、アスパラ、大根おろしと。優しいあんかけ ●蒸しあわび、じゅんさい、ずいき、加減酢のジュレと ●お漬物 ●鯛と生姜のご飯 ●マンゴーとさくらんぼ ●宮崎のマンゴー、あまりにおいしくてお代わり。
先斗町の名店、「啐啄(そったく)つか本」です。お邪魔してからすでに2週間たってしまいましたが、しみじみ美味なコースでした。ご主人の塚本英雄さんは34歳ですが、実に大人な料理を作られます。人生のさまざまな場面でしばしば思うことですが、本当に年齢なんて関係ないのですね。技術や経験はもちろん大事で必要なものですが、「イケてる人」というのは、どんな分野においてもぱっと本質を掴んで、年齢や経験の年数に関係なく一流の仕事をします。経験の足りなさによる破れ目が仮に見えても、それを補うだけの勢いや輝きがあります。ついでに、こういう人は他の分野のことに手を染めてもやっぱりその道のプロほどのレベルだったりして、「アングルのヴァイオリン」て言うのでしょう、つまり何をしてもセンスがあるからばちっと決まるのです。かっこいいなあ。
話を「つか本」さんに戻すと、今回のコースは夏らしく冷製のものが多数盛り込まれ、でもほっこり温かいものもタイミングよく供され、ひたすら流れに身を任せて幸せなコースでした。この日の締めは炊き込みご飯でしたが、塚本さんが手打ちするお蕎麦もおいしいのです。もともと関東のご出身、料理屋さんに生まれた塚本さんですが、和食を志して18歳で上洛していくつかの名店で修業、高級料亭でも勤めましたが、しつらいなどよりはとにかくダイレクトにおいしいもので客をもてなしたかった。それで自分ですべて目の届く、カウンター5席のみ(テーブルはあるが稼動していない)のお店を開店されたのですね。
以下ミニ自慢です。(すみません!)このお店、門上武司さんと「あまから手帖」のおかげで、2004年に初めてメディア露出をさせていただきました。門上さんが仕入れていらした情報で、あまから手帖の聡明にして敏腕なる編集長代理・島田勤子さんと3人で伺い、満場一致で「すばらしい!」となりました。即、愛想は悪いが写真はピカ一!の巨匠ハリーをキープ、「あまから手帖」2004年6月号(「関西和食の未来像」)に掲載となりました。その後大ブレイク! こんないいお店はいずれ必ず話題になるものですが、それでもいちばん初めに立ち会えたというのはジャーナリストとしては圧倒的にうれしいことです。それも先斗町の路地の奥の、雑居ビルの2階、まずおいしいものがあるなんて想像もできないような場所でこんな驚きの美味・・・。
今回一緒に伺ったのは、同じフランス組、「ル・プチメック」の西山逸成さん。西陣でおよそフランスにも存在しないようなフランスそのもののブランジュリ&カフェを経営しています。数年前に取材で彼のフランス修業時代の顛末を聞いてから大好きになり、というより尊敬するようになり、以来時々一緒にご飯をしてもらっています。「つか本」さんにはもう何度か一緒に行ってますが、旨いものがわかる彼が、塚本さんのお料理で和食の本当の楽しみを知ったというのです。「ル・プチメック」の話もいずれまた。
Pontochorouji「啐啄つか本」 京都市中京区先斗町
にありましたが、その後移転されまして、現在祇園にお店があります。(075-525-8808)

2006年7月 16日, dans 京都 和食06後半 |