■洛中あちこち(10) |
洛中といいながら、思いきり洛北の話題です。一緒に夕食をすることになっていたある夕方、京都ブライトンホテルの稀代のコンシエルジュ、いつもの小山明美ちゃんが電話の向こうで叫んでいます。「えりさ~~~ん! カレーがいいですか~? それともハンバーグにしますか~~?」。どう転んでもおいしいのです、彼女に従えば。でもその瞬間はハンバーグの気持ちだったので、0,5秒で答えました、「ハンバーグ!」。木屋町二条にいるわたしに彼女は指示を出します。「タクシーで下鴨中通りを上がってきてください。そして北山通、ロイヤルホストの前でわたしを拾ってください。その後はご案内いたしましょう」。人生のあらゆる場面で、誰と一緒だろうが計画を立て、段取りをするのはわたしの方なのに、彼女だけは例外、すべてを委ねます。えらく歳も離れているのに不思議に気が合って、食べる好みもリズムもぴったり、本当に大事な友人です。
■で、彼女が連れて行ってくれた先が「グリル よね田」。看板見たら、あらら、古そう・・・。しかし自信を持って「ここは肉ですよ肉」という彼女に倣い、牛肉のおさしみ1600円とハンバーグ1000円と白ご飯を取りました。このたっぷり盛られた肉のおさしみのおいしいことときたら! そしてハンバーグのふわりと柔らかなこと、ソースのさらりと軽やかにして味わい深いことといったら!! ソースにご飯をからめて食べるとハヤシライス状態よ♪ と彼女に教えられて2度楽しみました。こんなお店知らなかった。このふわふわハンバーグ、また食べに参りましょう! ・・・と思ったら、お会計の時に悲しい事実が明らかになりました。30年続けていらしたこのお店、9月10日で閉店してしまわれると・・・そんなああ!やっと知ったばかりだというのに! しかしそれ以上に月に何度も訪れていた明美ちゃんは本当に悲しそうな様子です。大事なお店がなくなるのはつらいものです。あああ"~。
「グリル よね田」 京都市北区上賀茂池端町9-102 電話075-722-1420 12:00~14:00、17:00~20:30 水曜、木曜休み 2006年9月10日で閉店。
■気を取り直して「もり川」さんに向かいました。ここもまた彼女は家の食堂のように気軽に使っているというのだから驚いた。じゅんさいの突き出しの後、とうもろこしのかき揚げをいただきました。ほろほろくずれて噛めば甘い! 実に口が心地いいかき揚げです。その後鯖寿司、穴子寿司もいただき、満腹状態に。
「もり川」 京都市北区上賀茂池端町23-2 075-712-1297 12:00~14:00、17:00~21:30 水曜休み
■しかし、わたしたちにはまだ食べねばならないものがありました。わたしが仕事のリサーチで入手してきたお菓子を、厚かましくもここで試食させていただいたのです。これが驚くことに、才能きらめく、非常に新しい和菓子でした。言いたくてしょうがないけれど、このお店の名前を今明かすことはできません。現在取材中の秋の京都特集の発売後に明らかにいたしましょう。本当に本当に、京都にはまだまだ知らないお店が無限にあるのだと思った夜でした。
2006年7月 25日, dans 京都 洛中あちこち | lien permanent