■ガスパール ザンザン |
新町通、錦角にある「ガスパール」の姉妹店、「ガスパール ザンザン」。昨年12月19日にオープンしたビストロです。2004年5月にオープンした「ガスパール」はあっという間に予約の取れないお店になり、1年半ほどで支店の開店となったのですから、どれほどの人気かを物語ります。「ガスパール」はビストロと言いながらビストロレベルの上を行くこなれたサーヴィス(中野裕之さん)と日本人ならではの繊細なおいしさとがっつーんと量を食べさせる迫力を併せ持った料理(内野英明シェフ)、そして非常なお得感のある値段設定で、「そりゃはやるわなあ」と誰にも思わせるお店です。ではその支店「ザンザン」はどんな違いを見せてくれたでしょう? 昨年末のオープン当初、楽しみにメニューを開くと、3500円プリフィクス(本店より200円安い!)というスタイルは同じながら、オードヴルの選択の中にはリゾットやパスタ、メイン料理のリストにはピッツァ風タルトなどが並んでいました。よりカジュアル路線、親しみやすいお店を目指しているのだということがわかりました。開店祝いのお花がまだ残るうちからこちらも予約の難しいお店になって、「東京から出張したので噂のこのお店に行ってみたが満席で泣く泣く諦めた」などという話も聞こえてきました。
びゅんびゅんと追い風状態だったのに、この5月、内野シェフはメニューの一部を変えたとのこと。見るとリゾット、パスタ、ピッツァがなくなっています。定番ビストロメニューが増えて(たとえばテリーヌだけで4,5種類)、そしてプリフィクス→アラカルトに。あくまでフレンチをやりたい、好きなものを決め込んで食べてもらっていい、というシェフの気持ちが明確に伝わってきました。先日カウンター席でいただいたお料理は、
●アミューズにグジェール ●豚足、耳、舌、頬を使った養老豚のテリーヌ仕立てのポワレ 1600円 ●パン ●エシレのバター ●玉ねぎのマーマレードを詰めたウサギのロティ セージの香り 2800円 ●カフェ ●添えられるお菓子・・・持ち帰れるように袋付!
以上、オードヴルとメイン料理を注文すると、アミューズ、パン、バター、そしてカフェとお菓子は自動的にセットされてコース仕立てになるスタイルです。さらに必ずつくデセールがこれです!
看板のグレープフルーツのプリン。「ザンザン」では本店と少し違って、ココットにたっぷり、カンパリのソルベを上に載せて供されます。華やかな色合い、食後に爽やかな印象です。3層になっており、ソルベの下にはグレープフルーツのジュレ、そしてグレープフルーツの香りが立ち上るプリン。カラメルソースは使っていません。実はシェフはこのプリン屋さんをしたかった、と言います。「プリン屋さんをまずして、お金を頑張って貯めて、それからレストランかなあと思っていた」と。順番が逆になったと笑います。縁あって「ガスパール」を開店したら、ありがたいことにはやった、だからプリン屋さんを始めた、と。プリン屋さんといいながられっきとしたビストロ(ほとんどレストラン)ですが、確かに入り口を入ったところにテイクアウト用プリンが並ぶケースがあります。写真右がその持ち帰り用で、5個パックが便利ですが1個売りもしてくれて、1個250円。こちらはプリン部分一層だけですが、それでもグレープフルーツの香りが鮮やかで、このシンプルさが好きなファンも多いとか。わたしもこちらの方が好きかもしれません。これが1日何百個と売れるそうですから、内野さんの思いはかなったわけですね。勉強のためとたくさんたくさんフレンチを食べ歩いた大きな身体で、どーんとおいしいものを食べさせてくれて、食後にはこんな粋なプリンを楽しめる。こちらもまた確実に幸せになれる、いま一番おすすめのお店のひとつです。
2006年6月 23日, dans 京都 フレンチ | lien permanent