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2007年6月27日 (水)

■「陶然亭」 2007年夏


1_3412_3273_2664_2065_1736_1527_1368_1149_10310_97祇園にはあまた魅力的な割烹がありますが、「陶然亭」(何度か既出)も本当に好きな一軒です。季節に一度は何としても伺いたいと思うのです。「唐長」の美しい文様の唐紙に飾られた店内は華やかな気分になれて、いただくコースはいつも間違いなく美味。それは静かなおいしさで、たとえばピッツァ釜から焼きものを出してきて「どうや~~!」というようなものではないのです。(それはそれでめちゃくちゃ好きで通わずにはいられないのだけど。)主張しないけれど確実なおいしさ。というだけでなく、とても創造性にも富んでいると思うのです。ある晩東京からいらしたお客さまを迎えて、1万円のコースです。●ずいきのお浸し じゅんさい、海ぶどう ●とり貝 すだちと塩で ●鱧、よこわ、うに ●昆布だしに、鱧と梅 ●賀茂茄子に万願寺唐辛子、近江牛、卵も ●ちょっとバラしたらこんな ●揚物:新ごぼう、新生姜、とうもろこし ●お漬物はばってん茄子ときゅうり ●ちりめん山椒が覆い尽くすように載ったご飯 ●定番デセールのクレームブリュレ。バランス感覚絶妙と思えたコースでした。ひと皿めで口の中さっぱり、気分も爽やかになり、ふた皿目、さらりとした冷酒を合わせてとり貝の旨さにうなって、早くもわたしは「後は野となれ」状態、限りなく野となっていました。造りのよこわやうにのピュアなおいしさ、そして細造りにした鱧が繊細な口当たりでした。そして生ものが続いた後に、こんどは温かい鱧の料理、それも昆布の香りと鱧の旨みが合わさって、梅の香りと塩気・・・見事なお皿でした。わたしは「鱧の落としに梅肉」という定番鱧料理って、そんなにおもしろくもないなあとむかーしから思っているのですが、この鱧+梅は組み合わせは同じでもまったく違う味わい方で、非常にわたしを喜ばせました。梅自体は強い酸味も抜けて、ひたすらいい香りと塩気を鱧に添えていたのです。おだしは言うまでもなく、旨みたっぷりの昆布もぺろっといただいてしまいました。そして、メインという感じで、これだけでも十分美味な賀茂茄子田楽に、近江牛の小さなステーキが添えられて非常なボリューム感とおいしさを味わえました。揚物は、千切りのごぼうに千切りの生姜・・・千切りにすることで軽やかな食感になっています。オリジナリテが感じられました。口の中でほどけるとうもろこしがまたひどく甘くて香りよくて心地よくてたまらんおいしさ、天ぷらはとうもろこしの最高の食べ方かもしれません。ちりめん山椒はしとしと状態に炊かれて柔らか、お料理やさんならではのもの。やっぱり京都にいてよかった、こういうお店を訪れる楽しみを持てることを、とてつもなく幸せなことだと思った夜でした。

2007年6月 27日, dans 京都 和食07前半 |

2007年6月21日 (木)

■「上賀茂秋山」へ女王たちと


1_3362_3214_2055_1726_1517_1358_1139_10210_9611_206昨日の「啐啄つか本」に続いて、予約至難シリーズで「上賀茂秋山」さん。北山通りからまだ山にぶち当るまで北上する、ほとんど「鄙」な地 (ちょっと中京に住んでいるからってわたし偉そう? )に、このすばらしい割烹が誕生してすでに1年と4か月になります。開店翌日にお昼をいただいて「これは間違いなくひどく話題になる!」と思ったけれど、それから本当にものの2~3ヶ月で予約至難となってしまいました。いまや1ヶ月前に予約を取るシステムですが、予約の電話もかかりにくい・・・つまり京都で最も予約を取り難いお店の1軒となっているのです。鄙びた風情の中で、目に美しい洗練のお料理。コースの流れもバランスも絶妙。理屈なしで美味。なのに抑えたお値段。明るいご主人の愛すべきキャラ。スタッフの皆さんも感じがいい。とにかくおいしくて、たのし~い! 一度行って感動したら、また友達を連れて行きたくなります。こうなったら洛中からの距離なんて問題ではありません。席は奪い合いです。これは2週間ほど前に出かけていただいた夜のコースです。 ●前菜に焼きトマト、(見えないけれど)明石のあじ、スナップえんどう。きゅうりと新玉ねぎのすりおろしがソースのように。さわやか~♪ ●お椀はあぶらめ、新ごぼう、コールラビ。コールラビとはキャベツ+かぶみたいな野菜。●鱧の糸造り、花山椒和え。●とり貝、明石の鯛、はりいか、黒大根。●黒米のお粥、中によもぎ麩、さいの目の長芋、そしてツタンカーメン(豆の品種よ♪)。●酒肴が・・・○いかの塩辛、○このこのルイベ状 ○アスパラガス、空豆の焼いたの ●すずきの塩焼き、ズッキーニ田楽 ●玉ねぎ、賀茂茄子と(ほとんど見えないけれど)穴子、のりとわさびの風味で。●小松菜とお揚げと焼きじゃこと実山椒をこんろで温めます。●火が通ったら玉締めに。
G1_3G2_3G3_3ご飯のおいしさが特筆ものです。ひと組ごとに炊いてくださって、だからみんな必ず炊き立てをいただけます。目の前で蓋を取ってくださるのです。オープン当初からいらっしゃる大西さんが、にこにこと、愛情いっぱいな風情でよそってくださるので余計あったかい感じがします。おこげがまたたまらんおいしさです。塩をちょっとかけていただいたら・・・日本人でよかった、京都で食事ができる幸運に恵まれてよかった、とにかくご飯が好き、無条件降伏だ~~!と叫びそうです。
D1_2D2_2The_1食後に、●すっきりとベリーが盛られたグラス。●そして待合に移動して、お菓子と、秋山さんが点ててくださるお抹茶をいただいて締めとなります。なんて楽しかった食事!どのお皿も味が決まっていました。野菜使いが楽しい、鱧を糸造りにしたりこのこを凍らせてみたりと工夫もたっぷりで、飽きさせません。サーヴィス精神がコース全体からあふれ出ている感じなのです。
Joo一緒に行ったのは尊敬するふたりの女友達・・・この手はやはり女王の気品と風格? そしてもうひとりは・・・人気沸騰、いつもお仕事たっぷりでくるくる舞い? のわたしの大事な畏友でした。


InEx最新のデータです。以前掲載したものから、営業時間が変わっています。
「上賀茂 秋山」 京都市北区上賀茂岡本町58 電話075-711-5136 12:00~13:00入店・14:30閉店、18:00~19:30入店・22:00閉店 要予約 水曜と月末の木曜休み 全席禁煙◎

2007年6月 21日, dans 京都 和食07前半 |

2007年6月20日 (水)

■「啐啄つか本」へフランスかぶれと共に


1_3353_2622_320「来週くらい行こうか?」なんて思い立って出かけることが不可能になってしまった和食2軒を今日、明日と載せます。本来2ヶ月も3ヶ月も先の食事の予約をするなんてこと自体がおかし~い! というのもひとつの意見だけど、オペラと同じです。前もって席を確保して期待してその日を待つっていう、全く別の楽しみなのだから。それにしても後で話題沸騰となるお店との出会いを思い返すと、必ず初回で疑いなく感動しています。一抹の余念もなく、「わーっ、すばらしい!」って絶賛モードになっているのです。わたしは確かに感激しやすい性質ではあるけれど、お店選びに関してはかなり正しく感激していると思っています。で、初回に一抹二抹の「?」があって、後から認識新たに感激するってことは・・・まずないです。
先日のある晩、随分前から予約していた「啐啄つか本」へ、久しぶりに一緒にごはん、フランスかぶれ「ル・プチメック」の西山逸成と。この人は和菓子嫌い、和食も興味ないという人だったのに、「つか本」さんで和食のおいしさを知ってしまったというのです。写真のお料理はコースからの抜粋です。これにご飯やらおしのぎやらがまだ3品ほど付いています。●天然車海老、白と緑のアスパラガス、海老の頭のだしジュレが香りとさわやかな食感を添えます。 ●お椀は揚げた伊勢海老しんじょう、非常に香りよし。 
4_2046_1505_171●小浜の生牡蠣にうに、すだちジュレ。ここで「後は野となれ」、野になりました。 ●鱧はさっと炭火焼にして塩とすだちで。ポン酢よりもシンプルに塩で。鱧は焼くのがいちばんおいしいよ~♪ ●開店してまる4年。非常な人気店となりましたが慢心することなく真摯に料理に取り組む塚本英雄さん。当初から変わることなくひとりですべての仕事をこなしていらっしゃいます。

7_1348_1129_101●賀茂茄子の蒸し煮、白味噌とろんと。そんなに飲んでないのに酔っ払い状態に。●鱧と生海苔の玉子とじ、新ごぼうと新玉ねぎが旨みを添えて・・・圧倒的美味。●宮崎マンゴー、うっとり甘くて陶酔的なおいしさでした。西山逸成は常に仕事のことが頭から離れないのです。和食のカウンターに座ろうが、横でうわごとのようにしゃべり続けるているのです。「サレ、塩漬けの豚、豚足でジャンボンペルシ、カップでデセールやります、350円ですよ、レストランでアシエットデセールやってた子が350円で考えるんですよ。サンドイッチはブリオッシュ使ったらリッチな風味でしょ、デリでも仔羊を。ナヴァランを。いやもちろん食パンだけじゃなくて今までのパンも置きますよ。クロワッサンもね? アンチョビの。」って、ずっとこんな調子だ。まったく料理人の人たちって、ほんと私生活ないだろうよといつも思うのです。(-_-;) わたし自身が、仕事をする以上は24時間営業は当然と覚悟を決めているから、こういう人たちのこともわかる。まして同じく偏愛する京都で共にフランスを偏愛しているのだから、いくらでも話を聞いて楽しいと思えます。しかし目の前の料理は和食だよ~! ・・・でも大丈夫でした。この晩も、変わらずこの人の頭から仕事が離れなかったというのに、コースが進むほどに目の前のおいしさに心を奪われていったみたい。「おいしいですね、うまいですね」ってだんだんにお料理に集中して楽しみました。
西山逸成の新しいお店「ル・プチメック」2号店は、御池衣棚上ルの西側に来月オープン。パンは初の試みとして食パンを何種類も揃え、さらにデリを充実させるとのこと。もともと料理をめざした人ですから、今の今出川智恵光院のブランジュリでもカスクルートの具材まで全部丁寧に作っていて・・・そりゃあ寝るヒマあるわけないわなあという仕事ぶりです。工事は順調に進んでいるとのことです。今の赤い「ル・プチメック」に対して・・・反対色になるみたい。洛中にまたフランス組が進出、がんばれ~~! わたしは無条件にうれしいです。

2007年6月 20日, dans 京都 和食07前半 |

2007年6月15日 (金)

■祇園さヽ木 2007年6月


1_331銀座での昼食後、京都へ戻りました。ああ~すごい規模の都市よ、とんでもないエネルギーが渦巻く東京よ! 25年も暮らしながら、昨年末のある日、いとも簡単に決断してわたしは京都に住まいを移したのです。当り前過ぎて東京のありがたみを意識していなかったとも言えるし、京都への愛がそれほど深かったとも言えるし。後ろ髪引かれる思いで新幹線に乗り込んだけれど、夜に控えていたのは「祇園さヽ木」。お椀はこの時季きっと鱧、ご飯は何でしょう? そして待っていてくれる友人たちよ~♪ 東京→京都の2時間20分で気持ちは「さヽ木」さん行きのモードとなり、次第にまたうきうきとうれしくなっていったのでした。
11_20312_19913_13114_8715_6616_55●先附に、羅臼のうにのピュレの茶碗蒸し冷製、うにとじゅんさい。うにの香り豊かでした。●とり貝の炙り、万願寺唐辛子の焼き浸し。生のめちゃくちゃ新鮮なとり貝もおいしいけれど、火を入れたとり貝も香りが出て美味。●お椀は鱧、冬瓜、ずいき、つる菜、新柚子。これはほとんど予定調和なこの時季のお椀。あじさいのモチーフもこの季節のもの。●向附はいつものまな板皿に、五島列島のやりいか、鱧の焼霜、勝浦のとろ寿司、くじらベーコン。脂ののった韓国の鱧でした。こうして焼霜にしていただくのがわたしはいちばん好きです。
17_4118_3219_2820_29●鮎の塩焼きを2尾。100尾くらい食べたい! ●同席の人たち、あわびにすだちジュレ。わたしはあわびを海老に差し替えていただきました。●最後の一品、いつもの熱々の「ぐつぐつ」は揚げた賀茂茄子と穴子。


21_11722_9923_5324_2825_19●期待のご飯、蓋を取ったら湯気もうもう、時知らずの鮭ご飯でした。この鮭が味が濃くて香ばしかったのです。おこげもいただきました。●お漬物 ●デザートは、パッションフルーツのババロアに、マンゴーと桃。京都に戻った夜が「さヽ木」さんで本当によかったです。ここにしかない劇場のような盛り上がり、次は何が出てくるかとわくわくさせてくれて、どのお皿もばっちり決まって美味。一緒に行く人たちも間違いなく喜んでくれます。やっぱり京都に戻ってすごーくよかった! これでまた頑張れます。

2007年6月 15日, dans 京都 和食07前半 |

2007年6月 6日 (水)

■「風枝」ランチ営業開始!/ロケハンあちこち


K1_1K2_1K3_1K4_1夜中24:00LOで本当に重宝、おばんざいと飲茶の店「風枝」が、昨日6月5日よりランチ営業を始めました。火、水、木、金と週に4日のみですが、12:00~14:00LOで、日替わりランチの他、いろいろ用意されています。
K11K12K13K14K15本日6日の「日替わり」は豚肉と野菜の沙茶醤炒め定食でした。ご自慢の水餃子、杏仁豆腐は必ず組み込まれるとのこと。スープも優しい味です。ちなみに上のワンタン麺はある晩遅くに訪れた時のもので、でもいずれアラカルトも提供する予定とのことなので、これもいただけるようになるはずです。
Les_deuxLexterieur_13右が店主の紫藤枝里香さん、わたしは今はもうない「BCP」で彼女がサーヴィスをしていらした時から大好きで、優しくてなんとも粋な人なのです。左はランチ開始に当って旧友の久世礼子さんが参加、これから間違いなく人気を呼んで混雑するランチタイムを、共に回していかれるのです。
「風枝」 京都市中京区蛸薬師通室町西入ル エチカビル1F 電話075-213-0250 12:00~14:00LO(火、水、木、金17:30~24:00LO 月曜休み。
11_20012_19613_12814_85先斗町の「トラットリ屋es」でひとりで軽く夕食です。●水茄子サラダ ●トリッパのトマト煮 ●春キャベツとベーコンのトマトソースパスタ ●ガトーショコラとショコラのタルトをほんの少しずつ。 店長の鶏肉専門・嶋本さん、イタリアン担当の児玉さん以下スタッフの皆さん、なんだか楽しそうに仕事をしていらして、お料理はなかなかに美味だし、さらに以上で2千円少しというあきれるお得さで・・・これははやるわな~。わたしが入った時、かろうじて席が残ってるという状態でした。詳しくは5月1日の記事を見てね。
「トラットリ屋 es エス」 京都市中京区四条通先斗町上ル17番路地2階 電話075-255-9599 17:00~翌3:00 水曜休み。 
1_3212_3123_2554_2006_147「今夜もエリちゃんと密会なのら。後で電話するのら。」 夕方あけ~み=京都ブライトンホテルが誇る稀代のコンシエルジュ・小山明美からメールです。わたしがロケハンしたいと言ったら、絶対協力態勢でいてくれるのです。しかしなあ、電話が鳴ったのは夜中の23時38分だ。「今から今出川神楽岡まで来て!」 どこでも行くのら~。タクシーに飛び乗り、あけ~みが待つお店へ。24時過ぎからほとんどわたしひとりでいただいたのが以下のお皿です。●鱧焼霜 ●小鮎塩焼 ●温野菜サラダ ●キャベツ・ピーマン、クレソンと豚肉の炒め物 ●にゅうめん。いいお店でした・・・そのうち発表します! 
7_1318_110夜中というのにこの元気さよ。あけ~みはわたしがおいしいと大喜びしたので満面の笑顔です。「こんな時間だってわかるように、時計も撮っておいてね!」って、この人ついにわたしに撮影指示まで出すようになってしまったよ(-_-;)

2007年6月 6日, dans 京都 中華京都 イタリアン06-07京都 和食07前半 |

2007年6月 1日 (金)

■「祇園にしむら」/「室町和久傳」 2007年5月


1_3156月になってしまったというのに、5月分でどうしても載せたいのが3軒残っています! まずは和食2軒、淡々と出します。5月下旬のある夜、「リビング京都」の編集長にして、今やしばしば会ってその華麗な日々の話を伺わずにはいられない女王・藤田晶子さんと一緒に訪れた「祇園にしむら」。ここでは間違いのない美味が約束されています。
2_3053_2504_1975_1646_1447_1288_1089_9810_9411_19612_19113_12414_8115_6116_5117_38●胡麻豆腐 ●お椀、鱧とたたいたおくら、柚子 ●鯛とまぐろのお造り ●いつもの鯖寿司 ●八寸:うすいえんどう/じゅんさい/子持昆布、ずいき、薩摩芋/せり、水菜、春菊、ふきととり貝の酢の物 ●からすみ ●鮑の肝を練ったもの ●天ぷらはぐじ、アスパラガス、空豆、鮑 天つゆもつくけれど鮑の肝をつけつつ。●よこわのたたきサラダ仕立て(水菜や新玉ねぎ) ●新れんこんの饅頭、ふき、長芋、生麩入り ●玉子丼 ●漬物 ●赤だし ●マンゴー、マスカットなどジュレのかかったフルーツ ●ざぶざぶと飲む煎茶。
1_313こちらは5月半ばのある日。いつもの食べ友達・同業者タケシさんが東京から来て久しぶりに緒方さんの料理をと「室町和久傳」へ。小学館「プレシャス」編集部の古澤泉さんも一緒できゃっきゃと楽しかった夜でした。骨折後、やっとまともに右手でお箸が持てるようになってうれしかった頃のことです。
2_3063_2514_1985_1656_1457_1298_1099_9910_9511_19712_19313_12514_8215_6216_5217_3918_3019_2620_2821_11022_9323_5124_2725_1826_9●揚げた水茄子に、うに、吉野あん、ふり柚子 ●海そうめん、とり貝 ●もち粉をつけて揚げたあぶらめに、たでおろし ●ポタージュのような昆布だしベースの鯛の白子、木の芽 ●胡麻たっぷりのうざく風のうなぎ ●うなぎを食べないので、わたしは代わりにこれ、鷹ヶ峯きゅうりのかみなり干し=じゃばら状にしてきゅうりを干したもの。きゅうりの甘み凝縮 ●小麦粉でソテーしたとろのステーキ。甘辛いタレに、刻んだみょうがをアクセントに ●れんこんで作った葛切り状のものを酸味で爽やかに。「西湖」でれんこんはお手のものです ●牛肉と花山椒と山うどのしゃぶしゃぶ ●鱧丼 ●三つ葉とよもぎ麩入り赤だし ●たくあん ●チェリモヤ。ドリアン、マンゴスティンと並ぶ世界3大フルーツのひとつ ●チェリモヤの説明をしてくれる俊英・緒方俊郎さん ●双葉葵の葉で覆われて・・・ ●黒蜜でじゅんさい。生姜の香り ●お薄で〆 ●冷たい番茶。

2007年6月 1日, dans 京都 和食07前半京都 祇園にしむら |

2007年5月25日 (金)

■祇園さヽ木 2007年5月と、1~4月


03_4わたしは問答無用の無条件降伏で「祇園さヽ木」さんが好きです。親が死のうが入稿パニックだろうが骨が折れようが、ここだけは毎月欠かさず伺ってきたのです。なのになのに、昨年12月25日のアップを最後に、未アップ分がすでに5ヶ月分たまってしまいました。5月分と、そして1~4月分からとりわけ印象深かったものを抜粋で掲載いたします。デジカメのSDカードに入ったおびただしい写真の中から毎月分を拾い出しながら、やはり見ればおいしさと感動を即思い出します。まず先日、5月上旬の分から。
1_3062_2993_2444_1945_1626_1407_1268_1069_9610_9211_19312_18813_12214_7915_5916_4917_3618_2819_2420_26●骨折後約1ヶ月半ぶりでやっとお箸を持てるまでに回復、うれしかった時です。●白アスパラガスの焼きびたし。車海老、空豆、甘すぎない徳島のトマト。白アスパラガスの皮からとっただしジュレにすだちの風味。●お椀。うすい豆豆腐、あいなめ。柚子の香り鮮やか。●白海老の生、温泉卵黄身ソース、羅臼のうに。●多分初めて、とろ寿司が、ヅケで初めから出てきました。いつも刷毛でしゃっと醤油を塗るのに。他に、とり貝、馬刺、鯛の焼霜。●とり貝とりわけおいしかった! ●剣先いかの寿司、塩とすだちで。●白ずいきと湯葉吉野葛で炊いたもの。生ものの後、温製でほっこりと。●琵琶湖の鮎を2尾。焼ける様子を見せるパフォーマンス付き。●じゅんさい、すだちの香りで。鮎にたで酢がなかった分ここで酢の物をということ。●最後の一品、いつもの「ぐつぐつ」はうなぎ。卵をまわしかけて。●最後はゴージャス、ダブルご飯! 「桜海老もええなあ、しらすご飯もええなあと思って、両方やったれ!」となったそうで、この晩は両方いただけたのです。ほんと胃袋がもうひとつあればと思いました。おこげまでおいしかったこと! ●デセールに、宮崎マンゴー、静岡メロン、さくらんぼ佐藤錦。チーズケーキは、この日誕生日の人がいたからです。切り分けて全員で。

041042043044045以上2007年4月初旬。骨折で右手包帯ぐるぐる状態、お箸が持てなかった時に伺いました。抜粋です。●とろ寿司も竹のスプーンで。●これが今月のピッツァ釜の焼きものです。近江牛の塩釜焼き=ローストビーフ。巻きつけた桜の葉の香りが移って夢のような香り、柔らかな舌触りの牛肉でした。忘れがたいひと皿。●牛肉の後に・・・ただ煮ただけの玉ねぎ。拍子抜けするようなのだけど、食べてみたらこれが味がしみていて感動的。3日置いて味をなじませたそう。すき焼きの発想で、肉に玉ねぎって絶対合うと思いつかれたのです。確かに牛肉で喜び、後から玉ねぎの風味が補完されて口の中が完成すると感じました。●最後の「ぐつぐつ」、胡麻豆腐、海ます、筍とわかめ。わかめのフレッシュさ際立つおいしさ。完璧なバランス。

031032037033034035036以上2007年3月中旬。ピッツァ釜を使った焼きもの新スタイル。ごくシンプルながら忘れられない春の味わいでした。●新キャベツどっさりにぐじを合わせて焼いたもの。キャベツの甘さと、ぐじの品のいい旨みが混じり合い、うっとりするような味。●最後の「ぐつぐつ」は車麩、味噌仕立て。大きな量感のあるはまぐりはすっと歯が入って旨みたっぷり。●壬生菜としらすのご飯。

022023024025以上2007年2月下旬。●合わせ味噌のお椀。車麩、房総の天然はまぐり(びっくりするほど大きい)、ふきのとう、新わかめ。大ボリュームで温まりました。●ふぐと鯛の白子でグラタン状にした最後のひと皿。●筍とふきのご飯、春がもうすぐと感じさせてくれました。

011013014015_1016_1以上2007年1月下旬。●お椀はすっぽんだし、白味噌仕立てのごぼうすり流し、ふかひれソテー入り。ひたすら足し算、濃厚強烈なこの美味、一生忘れません。●津居山の蟹です。目の前でさばいてピッツァ釜へ。ごくわずかの火入れの後に、身をほぐして出して供されます。●締めご飯は予想通り。「ふう~」って感じで佐々木さんが中華鍋を持って出ていらしたら「やった~!」って思う。蟹チャーハン、これは毎年この時季、本当に楽しみです。

「のぞみ」に乗って京都へ行きましょう!

2007年5月 25日, dans 京都 和食07前半 |

2007年4月27日 (金)

■「祇園花霞」


1_2822_277先日「千ひろ」のところで話した東京の同業者・タケシさんが1週間後また京都に来て、「千ひろ」さんからごく近く、しかし全く違う雰囲気の「祇園花霞」に出かけました。わたしは浦沢美奈さんの出版記念パーティに出席した後だったので、花のいい気をたっぷり浴びて、まさに花の霞がかかったような心持ちで伺ったのでした。何度か本サイトでも掲載させていただいているこのお店(左手作業ゆえリンクもさぼりますが参照してくださーい)、季節感をドラマティックに演出して客を楽しませ、息もつかせぬ勢いで、美麗で美味な皿を次々と出してくれる割烹です。15000円のコースをいただきました。
11_16812_16713_113●昆布を器にして、ふつふつ煮えた状態で供されたひとつめの料理は「松前焼き」。貝柱、白きくらげ、うに、そして筍。いきなりの盛り上がりです。昆布のうまみがよくきいておいしいったらなかったです。●そして写真いちばん上右の、黄金の笹に盛った八寸となります。煮た梅に、鯛の白子ソースとキャヴィア、ほたるいかと粟麩と長芋の黄身辛子和え、串に高知トマト、車海老、地鶏、手まり寿司が3種、小鯛、赤貝、こはだ。●お椀はよもぎしんじょう、わらび、菜花、湯葉、紅白桜。●造りは桜鯛、とろ、さより。
21_9222_8123_48●穴子の飯蒸し ●桜鱒の幽庵焼に、酒粕を揚げたもの ●花山椒の鍋。和牛ロースに、筍、ふき、ごぼう、そして花山椒。圧倒的においし~~い! これは花山椒の時期、2,3週間しかないお料理です。
31_7032_5433_2234_1535_8●酒肴が4種類。○初鰹ポン酢おろし ○ふきのとう田楽 ○新もずく ○筍木の芽和え、うど、アボカド。わたしはアルコールを控えていたはずなのに少しお酒飲みました。
41_2242_2143_9●うすいえんどう豆のご飯、卵を散らして菜種のような愛らしい風情でした。 ●お漬物は、はりはり大根、ぶ厚いすぐきがとりわけおいし。●さつま芋の味噌汁。
51_1252_11●いちごとキウィ、焼きバナナ、アイスクリームはショコラです♪ ●にっきの香りのわらび餅。 最後まで盛りだくさん、美しくて、おいしくて、満足そのもののコースでした。ご主人の末友さんはますますパワーみなぎり、あふれ返っている感じで、力強さが皿ににじみ出ていていました。同じレヴェルで伺ってこそ、十全に楽しめるのだろうと思いました。わたしはと言えば、左手でヨロヨロとですが、しかし食べるのだけは早く、気合の入ったお料理からパワーもらいました。食事は、オペラに出かけるのと同じような気持ちで、体力、気力ともに充実させて出かけましょう!

「のぞみ」に乗って京都へ行きましょう!

2007年4月 27日, dans 京都 和食07前半 |

2007年4月21日 (土)

■「千ひろ」/「室町和久傳」


1_2762_2733_2284_1815_1536_1357_1228_1039_9310_8811_16212_16113_10714_7015_5316_43季節ごと(本当は毎月でも)必ず訪れたい割烹のひとつが「千ひろ」さんです。わたしはひとりで伺っても十分楽しめるのだけど、ひとり分サーヴィスしていただくのは何だか申し訳ない。それで東京から友人・知人や編集者がいらして「和食が食べたい」なんて言われたら、ここぞとばかり即自分の行きたいところにお連れしちゃうのです。そろそろ「千ひろ」さん行きたーい! と思っていた時に「京都行きまーす! どこかで旨いもんを!」と言ってきてくれたのが同業者タケシこと山本毅さん。小学館の仕事をしている優秀なフリーエディター&ライターで、これほど屈託なく旨いもんの楽しみを分かち合い、時には深遠なるバカ話をして、そしてケロっと別れられる貴重な友人もおりません。一緒にゲタゲタ笑ってくれるけれど、実はすごい勉強家で物知りでもあるし、人を立てて安心して話させるからインタヴューも上手、ライターの鑑です。4月に入ってこの人は2週立て続けに京都にやってきました。1週目が「千ひろ」さん。美しいカウンターでいただいた春のお料理は・・・ ●白アスパラガスと空豆、黄身酢 ●酒肴5種 ○からすみ ○稚鮎 ○鯛の白子 ○ほたるいかのたたいたの ○いかなご ●造りは大とろと鯛。鯛にはお決まり塩昆布で ●お椀ははまぐりしんじょう、粟麩、菜の花 ●まぐろの幽庵焼き ●湯葉は温製で ●春のにがみが香りいいかき揚げは、たらの芽、ふきのとう、こごみ、海老。沖縄の塩で ●本当に香ばしかっためひかりに、梅酒漬のいちじく ●塚原の筍と畑菜の炊いたの ●豆ご飯 ●日の菜や蕪のお漬物 ●豆腐とわかめの味噌汁 ●定番食後のジュース。いずれかの皿が突出することなく全体で絶妙なるハーモニー、そして季節を感じさせてくださって本当にしみじみおいしかったです。ご主人の永田さんにも、一緒に食べてくれたタケシさんにも感謝。
1_2772_2743_2294_1825_1546_1367_1238_1049_9410_8911_16312_16213_10814_7115_5416_4417_3218_25「室町和久傳」、こちらも隙あれば伺おうとしているのだけど、なかなか隙がない~! 10日ほど前のある晩、「リビング京都」の編集長にして、某デパートのポイントもえらく貯め込んでいるというウワサの、京都が誇る買い物の女王・藤田晶子さんといただいたのがこちらのお料理です。 ●「雪咲花」という美しい名前の食前酒を、赤いガラスのお猪口で。このお猪口、おみやげにくれてもいいのになあと大変気に入ったのでした。●塚原産の筍。この季節、毎日バケツ一杯でも食べたい筍! 生を水とお酒で炊いて追いかつおをしたものとか。真っ白できれいで繊細美味でした。●すっすと刺身を引く緒方俊郎さん、若き俊英です。●美しいひらめ、厚みがジャストジャストです。鴨頭ねぎがよく合います。●鯛の白子の飯蒸し、桜塩漬けがアクセントに。●のびるの辛子味噌和え、たっぷりのごまと。●新ごぼうをうなぎで巻いた八幡巻き。●抹茶風味の細い麺、たたきわらびと。カップはオランダ焼き。●炊いた香味際立つ地鶏に、花山椒、山うど、木の芽。●とり貝と赤貝、焼海苔に、加減酢ジュレ。●鯛味噌茶漬け、ご飯にのせていただきます。大根のお漬物と。●宮崎のマンゴー ●焼きわらび餅、黒蜜ときなこと ●抹茶 ●冷たいお茶。全体に非常に清澄な感じ、さわやかなコースでした。毎日毎日和食を食べ続けてもまったく飽きることがないのが京都というところ。骨折以来、左手片手でもたもた食べているのだけど毎食おいしくて幸せでしょうがなくて、東京に住んでいたなんてこと、もう遠い遠い昔のことのようです。あきれず迎えてくださるお店の方、一緒に食べてくれる優しい友人にひたすら感謝!

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2007年4月 21日, dans 京都 和食07前半 |

2007年4月19日 (木)

■「祇園おかだ」


C全国100万人の読者の皆さま、更新が少し途絶えたらお見舞いメールやらお見舞いの品やらを頂戴してしまい、いたく恐縮しております。心から感謝いたします。春になって食べ続けている和食を一挙にアップしたい、それに普段ごはんも、お花もとメラメラしているのですが、いい加減に仕事もたまってきて左手でトロトロやっているもんだから時間が取られてしょうがないのです。さらに、取材先でペンでノートを取れない分、録音したのはいいが聞き直すのがまた大変だ~。書いたものなら一瞥すればわかりますが、音声はそうはいかん。さらに、自分の声を聞くのって、ちょっと転げるほどいやなもんです。アナウンサーや歌手や女優さんなんかは自分の声を聞いてうっとりしたりするんだろうなあ。いいなあ。では、自分の書いたものを読んでわたしがうっとりするかと言えば・・・まるでせんのだなあそれが。(-_-;) 詩的な名文を書く人ならうっとりできるんだろう・・・けれど、わたしは人生自体が詩的ではなくてあたふたと盛りだくさんで散文的。だからしょうがないのです(-_-;)(-_-;)
1_2742_2713_2274_1805_1526_1347_1218_1029_9210_87何からアップしていいのかわからないほど画像がたまりに溜まっているのですが、まずは祇園町南側の「祇園おかだ」さんの、一品料理を出します。品書きは数十種類ほどもあり、どれもが非常に美味な割烹です。1週間ほど前、軽く春の好きなものばかりをふたりでいただきました。 ●突き出しに、うすいえんどうと鯛の白子。桜の香りが粋でした。●とり貝 ●ほたるいか ●鯖きずし ●貝柱と空豆のかき揚げ ●笹かれい ●焼き筍 ●生麩田楽 ●ご飯ものからちょっとユニークな、おこげ きのこあん。ご主人の岡田さんは毎朝仕入れにいらして、ついついあれもこれもとお買い物をされてしまうと。お客さまの喜ぶ様子を思い浮かべたら、いいものを人に取られちゃうのもくやしいし、欲張って買い過ぎてしまう・・・なんてお話、わたしは大好きです。こちらのまかないはすごくいいだろうなあっていつも思うのです。季節の決まった品書きの他に、その日に仕入れた素材を黒板に書いてあって、なんなりしていただけます。当意即妙にぽんと出してくださるって、本来の割烹らしい割烹ですね。こんなお店、やっぱりなかなか東京にはないなあ、京都ならではの楽しさよとうれしくなるのでした。(ただしたったひとつだけ・・・時間帯によってはケムリに要注意なお店でもあります。)
「祇園おかだ」 京都市東山区祇園町南側570-6 電話075-551-3200 17:00~24:00 日曜祝日休み 要予約。

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2007年4月 19日, dans 京都 和食07前半 |

2007年4月14日 (土)

■新店紹介4軒: 「割烹 はらだ」 「御すぐき處なり田 姉小路堺町店」 「イル・ランポ」


01_402_303「割烹 はらだ」 河原町三条の「忘吾」に9年勤められた原田耕治さんが独立され、4月10日に「割烹 はらだ」をオープンなさいました。河原町通り、竹屋町を少し上ル。開店の翌日にいただいた7000円のおまかせコースです。

1_2692_2653_2234_1785_1506_1327_1208_1019_9110_8611_15712_15713_102●先附:○桜ますの手まり寿司 ○筍木の芽和え ○鯛の白子 ●あぶらめとよもぎ豆腐のお椀 ●かつお、ひめ鯛昆布〆、やりいか、さよりの造り ●筍の炊いたん ●桜ますの焼物に、●のびる酢 ●物集女の筍の造り ●菊菜とあさつきの玉子とじ ●小鮎、椎茸、白アスパラ、筍の天ぷら ●能登のもずくとれんこ鯛 ●田ゼリの酢漬け ●筍ご飯は味噌汁とお漬物付 ●黒蜜のソルベ。カリテ-プリが非常によく、どのお皿もばっちり決まって美味でした。春の食材満載、焼物は香ばしく、筍が好きと言ったらたくさん筍を組み込んでくださって感激。田ゼリの一品だとか、のびる酢を焼物にあしらうというセンスも粋だったし、お椀は澄んだ味わい、ご飯も炊き立てでおいしくて・・・とお味については本当に絶賛モードになりました。ただひとつわたしにとって問題だったのは、オープンと同時に入ったものの1時間もしてカウンター(11席)が満席になるとどの組も満遍なくタバコを吸ったことで・・・。ああ。吸わない者は食事の場面にタバコがあることを許すことができず、吸う人にとっては吸えない食事はつらいのでしょう。決して相容れないですね。普段ならタバコ(なんて文字を打ち込むのも本当はやだ。。)の気配がある店について語ることは決してないのですが、このお値段であまりにも満足のお料理だったので、例外的に紹介せずにはいられず・・・。
「割烹 はらだ」 京都市中京区河原町通竹屋町上ル西側 電話075-213-5890 17:00~23:00 不定休 
101102_1「御すぐき處なり田 姉小路堺町店」 上賀茂で300年以上続く名門「御すぐき處なり田」が洛中にご飯とお漬物をいただける茶寮併設の支店を出されました。これだけの種類のお漬物を一度にいただけるなんて漬物好きにはたまりません。ごくたまーにお漬物を好きじゃない人っているけれど(わたしはそういう人をいままでの人生でふたりだけ知ってます)、わたしはお漬物なしに生きられないし、こんな盛り合わせでどーんと供されたらひたすら大喜びです。わたしは極端なフランス贔屓だけど、もしこの世の最後の食事としてパン+チーズか、ご飯+お漬物かと選択を迫られたら、それはもう問答無用の無条件降伏でご飯+お漬物(京都の)です。「なり田の昼ごはん」2100円は・・・ 
103_1104_1105_1●地物の温野菜サラダ すぐきドレッシング ●漬物寿司と自家製ローストビーフ ●上の写真の10種類ほど盛られた漬物大皿が出されて、●ご飯と生湯葉入りの赤だしに、ちりめん山椒がたっぷり添えられます。最後はお茶漬けにして、もうこんな幸せなお昼はありません。 他に蕨餅入りの和風パフェ、あんみつ、きなこのアイスクリームなどの甘味もあり、飲み物は有機栽培の珈琲や黒糖カプチーノ、抹茶ミルクの3種類で各525円。この界隈、「イノダコーヒ」、それから「紫野和久傳」の茶菓席に「月ヶ瀬」と揃って、ますますいい感じです。うちからチャリで(って、今乗れないけれど、)5分の距離なのです♪ (って、また自慢・・・でもうれしいんだもーん!)オープンしたのは2月末、ひと月以上前に伺いながら、骨折ですべての予定は狂い、お知らせが今頃になりました<(_ _)>
108「御すぐき處なり田 姉小路堺町店」 京都市中京区姉小路堺町東入ル木之下町299 2階 電話075-211-0147 10:00~18:00(食事は11:00~15:00) 木曜休み








Nino1_2Nino2_3「イル・ランポ」河原町三条「トラットリア・ニーノ」も2号店を準備中です!! 5月オープン予定です。マダムの春奈さんが準備に燃えていらっしゃいます。くるくる回してピッツァ作るみたいですよ。楽しみですね。ひと筋北にあるスペインバル「ポキート」もおいしい、センスいいで安定人気で、バル文化も定着か? おいしさあふれる京都がより楽しく、どんどんよくなります! 昔はやせの大食いだったわたし、今はそんなに量が食べられなくなって悲しい! 1日5食くらい食べられる胃袋があればどんなにいいかしらん。命の次に胃の空きスペースが大事だと思う日々です。・・・いや、命の次に大事なんは右手だ~! (-_-;)

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2007年4月 14日, dans 京都 イタリアン06-07京都 和食07前半 |

2007年4月13日 (金)

■骨折暮らし:3週間経過


21_8522_7223_44全国100万人の読者の皆さま、骨折事故から3週間が経過いたしました。府庁前の日赤病院に通院していますが、丸太町通りから眺めた景観は何だかパリ7区のエコール・ミリテールみたいで、わたしは病院前の眺めをなかなかに気に入っています。あまりに皆様にご心配いただくので、先日に続いて現在のレントゲン写真を公開いたします。これだけ見たら、初めから何も変わっていない・・・(涙)。けれど、前よりもずれたりしていなければ、痛みがなくなってきていたら、それでよいそうな。「すぐにはくっつきませんよ~」と担当の先生には先週もその前も、同じことを言われています。ああ。とにかく早く早く右手を元の通り自由に! のどから指5本が出てくるほど、早く早く元通りに両手10本指でキーボードを打ちたい!! もともとわたしはものすごい速度で打ち込むのです、文字が出てくるのが追いついて来ないくらいに。ゆっくりのんびりすることで人間ができてくるかと思ったけれど逆でした。もう自分のトロさ、不自由さに、ない胸かきむしるような思いです。いつも(過剰なくらいに)仕事がしたいとか何か前に向かって進みたいと燃え立つ気持ちでいるのに、この不自由さとまるでつりあわず、どうしたらいいのだああ? もし自由な右手をすぐにもらえるなら、持ってるもの全部を引き換えに差し出してもいいという気持ちです。あと少なくとも3週間は固定したままでいないといけないとのこと。いい子であとしばらくの辛抱です。
24_26日赤病院まで行ったら、せっかくだから京都ブライトンホテルの「フェリエ」でランチです。病院の後に何か予定をしておけば、通院もうきうきと楽しみになります。これはアラカルトメニューより大好き鴨コン♪ 正式タイトルは「フランス・ヴァンデ産 鴨腿肉のコンフィーポアレ」。赤ワイン飲みたいところだけどいい子に我慢、それにこれはこんなに野菜たっぷりの、彩り美しくヘルシーなお皿です。今まで、パリと東京で、のべにして何百皿(←大げさか?)の鴨コンを食べてきたけれど、こんな風に野菜が多彩に添えられたのは多分これが初めてです。鴨肉を食べやすくカットしていただき感謝。切り方も端正に美しくてさすが~~! これならいつまでも包帯巻いててもいいかなあああ? などと、何行か前に打ち込んでいたことと正反対のことを思って上機嫌のわたしでした。
Precious_1仕事もしているのです。小学館「プレシャス」で京都のカウンター割烹をテーマに門上武司さん、風間純子さんと「祇園さヽ木」で座談会です。門上さんと同じ場でお話しさせていただくなんて恐れ多いこと・・・と思いつつ、わたしが25年住んだ東京を惜しげもなく離れて京都に移住してしまう羽目になったのも、もとはと言えば京都の和食にとりつかれたからで、語り出せば3日3晩くらいは京都の和食の魅力を話し続けることができます。そして・・・わたしが京都に来てしまった原因の半分はこの人、佐々木浩さんにあるかもしれません。長年の東京からの京都通い、わたしはまず「祇園さヽ木」の予約を確保して、(それから同じくらい予約の取れないカメラマン、愛想は悪いが天才写真家のハリーのキープもしたなあ、)それからホテルを取って、それから仕事のアポ入れて、ってやってきました。わたしは可処分所得のほぼすべてを京都に使ってきたのです。
31_6532_5133_2034_13不自由だ不便だと叫びつつ、めげず和食やさんに出かけています。  ●「せせらぎすへら」でお昼、●「祇園おかだ」で一品料理をたっぷりいただき、●「割烹はらだ」、4月10日オープンの河原町竹屋町の新店に伺い、●「室町和久傳」では12000円で統一された夜コースにしみじみ感動しました。頑張って明日以降詳細をアップしていきます。わたしの骨折暮らしを支えて、楽しく豊かにしてくださるものすごく多くの方々に感謝しています。

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2007年4月 13日, dans ■ごあいさつ京都 和食07前半 |

2007年4月12日 (木)

■祇園 なん波


1_2672_264ずっとご紹介したいと思いつつ、遅くなりました。昨年11月20日にオープンした「祇園 なん波」へ、やっと3月の末に伺ったのです。こちらはわたしの貴重な情報源のひとつである名門お味噌屋さん、宮川町の「山利商店」の中村利子さんのご推薦です。場所がすごいのです。祇園ホテル前、四条北側、「千ひろ」さんのお隣、「祇園花霞」の斜め前というロケーション。実は工事中からわたしは気になって気になってしょうがなかったのです。怪我続きで本当にめげそうになっていた3月のある夜、「めげてなるもんかいよ!」と京都ブライトンホテルの稀代のコンシエルジュにして親友・あけ~みこと小山明美を強引にも呼びたて、一緒に1万円のコースをいただきました。
3_2224_1776_1307_1198_1009_9010_8511_15612_15613_10114_68●「怪我のためお箸が持てないのに割烹で食事」というのにわたし自身は慣れましたが、お店には電話であらかじめお詫びしておくべきです。大抵は器を傷つけないような素材のスプーンやフォークをご用意くださいます(写真上)。●あわび、うど、根芋のさっぱりした先附 ●あぶらめのくずたたき、えんどう豆白玉のお椀 ●造り:とろ、鯛、剣先いか、たいらぎ貝貝柱 ●八寸に、いいだこトマトソース和え、とこぶしととり貝のてっぱい、(桜の花の下に)白魚天ぷら、さより木の芽寿司、一寸豆 ●焼物:ますの木の芽焼き、菜の花ごま和え(これでふたり分) ●口直し:玉子豆腐、ホタルイカ 土佐酢ゼリー ●甘鯛、若竹の炊き合わせ ●筍と焼き穴子ごはんは土鍋で炊きたてを。赤だしと漬物が付きました。 ●デザートに、マンゴーといちごの白ワインゼリー寄せと桜アイスクリーム ●菜の花きんとんと、●お抹茶で〆。
21_84ご主人の難波修さんは京都ホテルで長らく勤められた方です。「招福楼」系列の上品で美麗なお料理は、奇をてらわずしみじみ美味。ひどくびっくりさせられることもなく(=どなたにもお薦めしやすい。コンシエルジュ・あけ~みも京都ブライトンホテルのお客さまをご案内することでしょう)、お値段も程よし。しっとりと懐石コースがいただけるお店です。「千ひろ」さん「祇園花霞」さんに囲まれた中で、また違う種類の割烹の登場により、(競合では全くなくて、)和食の層がより厚くなったのです。京都らしいことです。

22_71「祇園 なん波」 京都市東山区四条花見小路東入ル 電話075-525-0768 11:30~14:00、17:00~22:00 不定休 昼5000円~、夜8000、10000、13000、15000円。



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2007年4月 12日, dans 京都 和食07前半 |

2007年3月27日 (火)

■骨折お見舞い御礼 その4


全国100万人の読者の皆さま、お見舞い、励ましのメールを引き続きいただき、感謝しております。「CREA eats」お買い上げのご報告をいただいた方々にも心から御礼申し上げます。引き続き右手不自由状態で、メールのお返事が最低限しかできず、ごめんなさい。いただく1通1通、優しいお気持ちやいたわりのお言葉のありがたさを噛み締めています。
怪我をして以来、思うように動けなくなったばかりか何をするにも倍以上の時間がかかってしまい、ほんとトロいことです。けれど行く先々で包帯ぐるぐるの手を振り回しては心配してもらいかまってもらい、なんだか結局いい思いばかりしています。うれしいお見舞いの数々に優しい見舞い客、めちゃくちゃに多忙だった日々の直後に怪我のおかげで突然訪れたミニヴァカンス・・・かなり幸せな治療生活です♪ 骨折以来食べたものをご覧に入れます。左手でがんばってアップします。
31_6232_48「ジォカトーリ」のボリート、優しい煮込み料理を思い出して伺いました。豚ほほ肉と野菜の柔らかい煮込み。左手だけでも食べやすくて、いたわられるようなお料理です。シェフの桑原さんも右手を事故で複雑骨折なさった方です。今も十分曲がらないとおっしゃりながら、こんなにちゃんとお店をやっていらっしゃるのですから、とても勇気づけられます。パスタは七味唐辛子を練り込んだタリアテッレ アサリと春野菜和え。昨年秋以来のお気に入り、七味がほどよく効いて粋な香りです。
41_1942_1843_844_5先日14日付で一度ご紹介した「日本料理 山玄茶」。以前「祇園さヽ木」があった祇園町北側の跡地に2月にオープンしたお店です。改めて夜の16000円のコースをいただきました。「招福楼」ご出身のご主人のお料理は、お人柄を映したように、実直でけれんみのないものです。おだしのしみじみおいしいこと。すべて申し分なく美味でしたが、とりわけ心に響いたものをコースから3品抜粋します。●事情を話してお詫びをしてフォークをご用意いただきました。器を絶対に傷つけないように細心の注意をしつつの食事です。●お椀。あぶらめに梅肉、筍、ぜんまい、黄にら、木の芽。春そのものでした。●ぐじの湯葉包み揚げあんかけ、小松菜に柚子。あんが美味、生姜の香りが格別よかったです。●締めご飯は伊勢海老の炊き込みご飯。伊勢海老をほぐして味噌も混ぜ込んでよそってくださいました。やみつきになるおいしさでした。
「日本料理 山玄茶」 京都市東山区祇園町北側347-96 電話075-533-0218 12:00~13:30入店・14:30閉店 18:00~20:00入店・21:30閉店 昼5500円~、夜11000、16000円。なるべく予約を。
N1_2N2_2N3_2N4_2おなじみ「トラットリア・ニーノ」、こちらの「ホワイトアスパラガス クリーム卵ソース レモンオイルの香り」、これを食べたくて夢に見るくらいでした。ふわふわの卵クリームはレモンが香りたち、太い白アスパラと絶妙に合うのです。名作だと思います。そしてここに来たら必ず極細のタヤリンをいただきます。今回いただいてみて、より細く繊細になっていました。そしてさらに、上からはらはらとかけられるおろしたチーズが、より細かく、ふわふわに空気を含んで、細いタヤリンに絶妙に絡んで感動深かったのです。前との明らかな違いをシェフの関俊仁さんに伺ってみたところ、やはり先日のイタリア旅行で新兵器を仕入れてきたとのこと。こんな感じで、いつも伺う度に必ず何か進歩を見せてくださるのです。
M1M2髙島屋に用事に行った帰り、「そうだ 三嶋亭、行こう!」となってレストランフロア「京回廊」へ。すき焼きの気持ちだったのに、食べやすさを先に考えてステーキにしてしまった軟弱なわたし、でもばーんと特撰フィレステーキ6300円をいただきました。とにかく一食一食、絶対に景気つくようなものを食べたいのです。元気だろうが病気だろうが怪我だろうが、ひとりだろうが誰かと一緒だろうが、常に何か盛り上がりがないと気が済まないのです。毎日祝祭気分ね♪ 
P2_2P1この日は帰宅してからまた楽しいことがありました。「パウンドハウス」の藤林佳代子ちゃんが来訪、いちご、スポンジ、生クリームが黄金率で三位一体となった名作、ストロベリーショートケーキをおみやげに持ってきてくれました。これだけで狂喜しているのに、さらにおうちで作ったおかずやらきれいにパックした玄米ご飯やらもたっぷり持ってきてくれて・・・。ありがた過ぎます。わたし怪我のおかげでみんなに優しくしてもらって、不自由さよりもうれしいことの方が多い毎日です。
Mainblesseeコワいもの見せます。見たくない人は見ないでね。どうしても包帯替えたくなってえいやーっと包帯取った手です。黄色くなってるのがわかりやすいように赤スカーフ敷いて撮りました。まず、こんなにきーろいのです! そして、わたしの手、細い方なんですよ・・・自分でもびっくり仰天、まだまだこんなに風船みたいに腫れているのです。手の甲の方は外傷がなく、切れて血が出たのは手のひらの方です。早く治りたーい!

2007年3月 27日, dans ■ごあいさつ京都 イタリアン06-07京都 和食07前半 |

2007年3月16日 (金)

■「岩さき」の夜コース


全国100万人の読者の皆さま、ご声援やらお買い上げやら、本当に本当にありがとうございます。まず、わたし自身が聴けなかった(CD待ってるところです!)FM 放送を「聴きました~!」とメールいただいた方々に御礼申し上げます。そしてCREA eats」11号 京都「ミディ・アプレミディ」津田陽子さんのおいしい洋菓子の作り方」をお買い上げいただいた方々にも本当に感謝いたします。大垣書店烏丸の本店では12日発売日のうちに仕入れ分が完売したとのこと。数百冊買い入れた「ミディ・アプレミディ」はすぐ近くです!どうか東洞院三条まで移動してお買い求めいただくようお願い申し上げます。ジュンク堂書店でも1階レジ横にどかんとポスターを貼っていただき、うれしいことです。「ミディ・アプレミディ」の方では教室へ入会の問い合わせや本やDVD注文の電話が鳴りっぱなしということで、反響を実感しております。盛大に御礼<(_ _)><(_ _)>わたしはプロモーションやら次の仕事の手配やらで駈けずりまわっております。
さて、2月12日に初めてご紹介した「岩さき」の、3月初旬の夜の料理をお見せいたします。早く早くアップをと思いながら2週間もたってしまいました。<(_ _)> 釜座通御池上ルに2月8日にオープンした小体な割烹です。開店翌日にお昼に訪れ、これはぜひ夜もいただいてみたいと思ったのです。
1_2582_2543_2154_1735_1476_128奥の掘りごたつ式のお座敷に3人で伺いました。●まず食前酒をいただきます。●先附に焼き穴子、かぶ、なまこ、吉野酢がけ ●お椀はあぶらめと筍 ●造りはひらめ、甘鯛、あおりいか 
7_1158_999_8910_8311_15112_152●鯛の塩焼き ●寄せ豆腐と蟹 ●湯葉、海老、大徳寺麩の炊き合わせ 木の芽 ●鯛の白子、花わさび 土佐酢ジュレがけ ●鰆とかぶの鍋 三つ葉とねぎもたっぷりと ●よそっていただいたもの 
13_9814_6715_5216_4217_31●漬物 ●ちりめん山椒は女将の早江子さんの母上の手製 ●ご飯 ●赤だしはよもぎ麩入り ●フルーツ。 以上、夜の1万円のコースでした。非常にきちんとした丁寧な仕事をしていらっしゃいます。淡々と繰り出されるコースは、深いお椀の味わい、水の流れのような造りの盛り付けの美しさ、鯛の塩焼きの、ジャストな塩加減と焼き加減などなど、割烹ならではのものです。和食のはずなのに、ピッツァ釜からばーんと白子のグラタンが登場して仰天、というような華麗さではなく、小さなカウンターで、しみじみ静かに盛り上がれるのがこちらのよさです。そして職人気質のご主人に対して、朗らかで話好きの女将の早江子さんや、時々接客もなさる早江子さんの母上の丁寧で温かなもてなしが何よりくつろぎ、和ませてくれます。住宅街にこんなレヴェルのお店がまったく何気なく存在するのもまた京都のすばらしさです。
「岩さき」 京都市中京区釜座通御池上ル723 電話 075-212-7800 11:30~14:00、17:00~21:00 日曜休み カウンター7席、奥の座敷カウンター4席 昼3500円、夜5千、8千、1万円。要予約。サイトは http://iwasaki-jc.com

■予告:明日こそ、世界料理オリンピック ガラディナー@京都ブライトンホテルの様子と、日本チームのリーダーをつとめる「ヴィ・ザ・ヴィ」料理長・滝本将博さんの雄姿をお見せします。全国100万人の読者の皆さま、どうぞ楽しみに待っていてくださいませ。

Img_0064_1ジュンク堂、四条のお店です。感謝!









「のぞみ」に乗って京都へ行きましょう!

2007年3月 16日, dans 京都 和食07前半 |

2007年3月14日 (水)

■「日本料理 山玄茶」


A1A2今日も元気に歯をいっぱい見せて笑うのは、八坂通、建仁寺近くへ昨秋移転して飛ぶ鳥バサバサ落とす勢い、泣く子もゲラゲラ笑う割烹「祇園さヽ木」の佐々木浩さんです。なんだか見覚えのある場所、いったいどこなのでしょう?? 「エリツィンよ、(と佐々木さんはわたしを呼ぶ)紹介したい店があるんやけど」とある日お連れいただいたところは、なんと以前「祇園さヽ木」があった場所でした。ここに2月8日オープンしたのが「日本料理 山玄茶」。八日市の名料亭「招福楼」で20年以上勤められた増田伸彦さんのお店です。佐々木さんのご自宅のある滋賀の水口でお店をやっていらしたのですが、佐々木さんの紹介で祇園に進出なさったというとてもめでたいお話です。
1_2562_2523_2144_1725_1466_1273月に入ってから、ある週末のお昼(5500円)をいただきました。 ●春野菜の先附。トマト、大根間引き菜、スナップえんどう、紅芯大根、帆立と白魚、ジュレがけ。底に黄身酢が仕込んであり、全体をからめつつ。●お椀。あいなめ、筍、ぜんまい。おだしの味わい深いです。●造り。いか、よこわ、鯛。見えにくいですが、鯛にはクリームチーズを合わせてあります。●弥生らしく、菱形の木箱に納められた八寸。桜があしらわれています。●一段目は海老の天ぷら湯葉巻き、たらの芽天ぷら、べんがらこんにゃく、菜の花、煮たこ、つぼつぼの中に、いかととり貝とわけぎのぬた、桜の葉で巻いた鯛の寿司。●二段目に、鮭の木の芽焼き、花わさび浸し。
7_1148_989_8810_8211_149●若竹煮、ふきと自家製厚揚げ入り ●梅ご飯、上澄みだけの軽やかな赤だしに車麩、漬物。●マンゴーといちごのジュレ寄せにアイスクリーム ●自家製のきんとんに、●お薄で締め。非常に季節感が豊かで、いいお昼をゆったりいただいたなという充実感で満たされるコースでした。
21_7622_6623_41●お庭は、庭師を入れられて今回新たに作られたものです。●見慣れたカウンター前のスペースの一部は赤く塗られていました。写真では見えませんが、左右の戸棚も赤くなっていました。●2階のお座敷は椅子席になっていました。主が変わると、同じ造りなのに、どこか雰囲気が違っています。これから増田さんらしさがどんどん発揮されることでしょう。 わたしは毎月毎月大事な友人知人を誘っては出かけた「祇園さヽ木」の日々のことを思い出さないではいられません。このお店に間に合うように新幹線を駆け降りた日のことなども。いったい何度このカウンターの前で「おいし~~!」「一生食べていたい」「おいしすぎて倒れるかも~」と感嘆したことか。京都を代表する割烹として絶大な人気を誇り、おいしい!!の気が充満し、人々の高揚感と幸福感が染み込んだこの物件じたいがあり得ないほど貴重なものだとわたしは思うのです。
31_59「日本料理 山玄茶」 京都市東山区祇園町北側347-96 電話075-533-0218 12:00~13:30入店・14:30閉店 18:00~20:00入店・21:30閉店 昼5500円~、夜11000、16000円。なるべく予約を。



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2007年3月 14日, dans 京都 和食07前半 |

2007年3月 6日 (火)

■「御幸町つばき」 お昼の新コース


1_2442_2433_2104_1685_1456_1253月7日に発売を控えた「春京都」(扶桑社)が無事終わったところで、次の「夏京都」の打ち合わせのために東京から編集者の坂口明子さんと鈴木敏之さんがいらっしゃいました。夏の宵の気分・・・夏に食べたい京都のものは? なんて明るい春の日差しの中でお話をしながら、その後のお昼をみんなとても楽しみにしておりました。「春京都」で取材させていただいた御礼がてら、このサイトでも何度かお話ししている「御幸町つばき」に伺ったのです。2630円の今までのコース「かぐら」に、3890円の新しいお昼のコースが加わっていました。(ついでに、2630円の方に注文が集中するということで、千円台のランチコースは止められたとのことです。)3月からスタートしたこの新コース、非常に充実感がありました。お昼に気楽に懐石エスプリを楽しめてお味もばっちり、すっかり満腹になって、非常にカリテ-プリがいいものだったのです。
■上の写真:弥生の献立「こうひ」3890円より、●先附 胡麻豆腐 松の実味噌がけ ●向附 旬魚の造り(金目鯛、ぐじ、平貝) ●お椀 新もずく、蟹、豆腐 うす葛仕立て ●焼物 新筍と地鶏の山椒醤油焼 ●お凌ぎ 貝柱、新若布、生姜の効いた土佐酢ジュレと。
7_1138_979_8710_8111_14212_139●油物 山菜の天ぷら(たらの芽、蕨、こごみ、ふきのとう、茗荷) ●飯 白魚の釜めし梅風味 ●お漬物 ●赤だし ●よそっていただいたもの ●水菓子 キウイゼリー
どのお皿もお味くっきりと明確でおいしい、皿の中の調和もよく、コース全体の調和もいいのです。若い気力がみなぎって、やる気あふれる感じが皿からぐいぐいと伝わってきます。もちろん技術の裏づけあってこそのものなのでしょうが、それにしても、料理自体が力を持っている感じって、簡単にはないものだと思うのです。今後どんな進歩を見せてくださるか、ものすごく楽しみです。
21_6922_63お店は御幸町三条上ルと便利な場所にあり、外観はこんなです。のれんには椿のモチーフ、かわいらしいです。お店のサイトはこちらです。 

31_5132_42写真が嫌いみたいです。見送りに出てきてくださったので「みんなで写真撮りましょ♪」と言ったら、取材時は写真を撮らせてくださらなかったオーナーの小峯充靖さん(右端)も、「おーいみんなで撮るから逃げずに来いよ~」と料理長の野口大介さんを呼んでくださったのです。ところがやっとこさ野口さんが中央でにっこり笑ってくれたと思ったら小峯さんはお空見てんの。この画像を見つつみんなでゲラゲラ笑って、ほんと楽しかったです。若いっていいんだと思うようになったわたし、年取ったんか? (-_-;) 昔は本当に老成したもの、成熟したもの、完成したもの、大人なものにしか絶対に惹かれなかったのに、今は違います。若いパワーがみなぎるって無条件にすてきで微笑ましい。絶対に応援するから、頑張れ頑張れ! って思うようになっちゃいました。

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2007年3月 6日, dans 京都 和食07前半 |

2007年2月12日 (月)

■釜座御池に割烹、「岩さき」オープン


1_2372_2353_201今日は釜座御池上ルに先週オープンした割烹「岩さき」をご紹介します。ご主人の岩崎義則さんは「高台寺和久傳」「祇園丸山」と名門で修業をしてこられ、「柊家」では料理長を務められた方です。長年独立することを目標に頑張って来られ、2月8日、念願かなってご自身のお店を持たれました。女将の早江子(さえこ)さんが、フレンドリーでありながら非常にこなれた接客をなさるので、伺ってみると昨年12月までこの地で「亀乃子」という喫茶店をされていたということ。奥さまが生まれ育ち、お店をしていらした場所に、岩崎さんはお店を持たれたわけです。
11_13412_13013_9314_6415_5016_41オープンの翌日のお昼にいただいたメニューです。昼は3500円のおまかせのみです。 ●炙った松の実入りのおぶ ●食前酒 ●先附3種 ○白魚の土佐酢ジュレ、みょうが、花わさび ○とり貝、わけぎの酢味噌和え ○子持ち昆布、菜花、長芋たたき ●すっぽんスープの玉締め ●造りはよこわとおありいか ●胡麻豆腐、加減醤油 
21_6222_5923_3824_2425_1726_8●鰆のかぶら蒸し ●ご飯 ●漬物 ●女将の早江子さんの母上が炊かれたちりめん山椒 ●赤だし ●いちごとアプリコットのソルベ。 品よく優しいお料理でした。すっぽんスープでポカポカに温まり、生もの、冷菜ときてまたかぶら蒸しでホカホカに。3500円でゆったり過ごすお昼には十分な量とクオリティとおいしさだと思いました。
31_4532_37真新しいお店の内観はこんな風です。すっきりしたカウンターはなんとタモ材です。無印の家具でよく使われている素材♪  これだけでとても現代的な感じがします。奥には座敷の4人席があります。掘りごたつ式L字型カウンターで、なんだか仲間内でひどく寛げそうです。必ず夜にまたお伺いいたします。
41_1542_16仕事が詰まりに詰まっているので食後は飛んで帰り、いただいたおみやげをコンピュータの前で開きました。砂糖がけの紅白豆菓子♪ 余韻を楽しみました。
「岩さき」 京都市中京区釜座通御池上ル723 電話 075-212-7800 11:30~14:00、17:00~21:00 日曜休み カウンター7席、奥の座敷カウンター4席 昼3500円、夜5千円と8千円。サイトは http://iwasaki-jc.com

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2007年2月 12日, dans 京都 和食07前半 |

2007年2月 6日 (火)

■「菊乃井」本店の洋間


1_2342_2323_199画像がどんどん溜まっていて、古くならないうちに出したーいと焦ります。今日お見せするのは「菊乃井」の本店2階に新しく作られた洋間です。注文してから10か月かかって、年末12月に届いたというナポレオン3世時代の椅子のお話を、ご主人の村田吉弘さんから伺っておりました。どんなお部屋に置かれるのか、ちょっと想像がつかなかったのです。変わらぬお玄関からお邪魔すると、美しい餅花が飾られていました。
11_13112_12813_9114_622階の「梅」の間が、改装されて洋室になっていました。まずカーヴを描くガラスの衝立が置かれています。こちらも村田さんがフランスから送られたものです。京都・中村外二工務店に枠を発注なさって、実に美しい仕上がり、まるで元からこの形だったようです。椅子はパリで専門の職人によって修復されて張り直されて、この通りの美しさ、そしてペルシア絨毯は100年前のものとのこと。なんという思い切った改装、そしてお部屋の美麗さでしょうか。


21_5922_56「こういうの、全く道楽やね」と笑う村田さん。ステンドグラスもフランスからのものですが、まるで昔からここにあったかのようにはまっています。あとはカーテンさえつけばこのお部屋も完成ということですが、でもすでに大事なお客さまをご案内していらっしゃるとのことでした。
「菊乃井」本店 京都市東山区祇園円山真葛ヶ原 電話075-561-0015 12:00~14:00入店、17:00~20:00入店 不定休 お昼は時雨めし弁当4200円、懐石料理8400円~、夜は懐石料理15750円~。


T_logo_117そうだ 京都、行こう。 「のぞみ」に乗って京都に行きましょう! 

2007年2月 6日, dans 京都 和食07前半 |

2007年1月 7日 (日)

■木乃婦


1_2252_2253_193わが畏友にして今撮影でお世話になっている「ミディ・アプレミディ」の津田陽子さんとお昼に「木乃婦」さんにお邪魔しました。この人とは毎日会っていても話が尽きることがありません。そもそも、取材依頼にかつての仏光寺のお店に伺ってその場でいきなり3時間話し込んだという前代未聞の出会い方をしているわたしたちです。普通なら女友達と限りなく盛り上がるはずの買い物の話やら恋愛の話を、わたしたちは全くしたことがありません。徹頭徹尾100%、仕事がらみの話、それから少し食べものの話。さらに人生のあり方について(これはわたしがひとりで話している?)。陽子さんはパティシエとしての自分のあり方を話すのが本当に好きで、わたしはこれを聞くのが好き。教室の運営について、WEB ECOLEについて目を輝かせて話す様子も好きでしょうがありません。仕事が人生そのもので、本当に幸せそうだからです。
●「木乃婦」さんのお昼、お正月のセッティングです。黄金に輝くハッデ~ないのししの器が供されます。
4_1565_1366_120●いのししの器の中には、黒豆と栗渋皮煮。●蟹とおくらを千枚漬で巻いて、いくらと針生姜をトッピング。●お椀の蓋には羽ばたく鶴。美しくて、新年にふさわしい絵柄です。
7_1098_939_83●お吸い物は、からすみと大根。からすみは分厚くて炙り加減もよく、大根おろしでみぞれ仕立てにしてあります。美麗でありつつ旨みも強く、インパクトがありました。●てっさ。お皿の絵柄の美しさが透けて見えるほど、ごくごく薄く造ってありました。●こちらが看板・ふかひれと胡麻豆腐の鍋です。ふつふつで供されます。熱くて、ふかひれがどかんと姿状態で入っていて満足感があります。
10_7811_12412_122●赤いお椀がうれしくて、●蓋を取ると、ゴージャス! はまぐりの葛たたきに、焼いたふぐの大ぶりの白子がのった雑炊です。はまぐりの旨みにふぐの白子のとろとろと舌に心地よいことったら、ちょっと犯罪的でした。●お漬物はこんなでした。松茸昆布、シンプルなきゅうりも美味でした。
13_8714_59●どの皿もボリューム充分でしたが、デセールに至っても「たっぷり食べさせるぞ!」という気持ちがお皿からびしびしと伝わってきます。晩白柚(ばんぺいゆ)という大きな柑橘に、日向夏。ココナツミルクのアイスクリームがなめらかで美味でした。●右から3代目主人の高橋拓児さん、津田陽子さん、そして拓児さんのおばさまにあたる美千代さん。美千代さんは陽子さんのお菓子教室の生徒さんで、すごく仲よしのお友達でもあるのです。
21_53「木乃婦(きのぶ)」 京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町416 電話075‐352‐0001 11:30~14:30、17:00~19:30 不定休。お昼は5000円から。 サイトはこちら




T_logo_109そうだ 京都、行こう。 「のぞみ」で京都に行きましょう! 古いお店を守り盛り立て、気概のある熱々ダイナミックな和食を出す3代目ってすてきでしょう? お正月気分もまだ味わえる京都です。

2007年1月 7日, dans 京都 和食07前半 |