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2006年12月30日 (土)

■割烹ふじ原


1_2212_2223_1894_1535_1346_119「割烹ふじ原」は一品料理を自由にいただけるのが魅力の割烹です。そしてその料理が実に自由闊達、濃い目の味付けでばっちり決まっているのです。和食ながらオリーヴオイルやバターもどんどん使っているし、ガーリックも効かせてプロヴァンス風の香りづけをしてみたり、かと思えば完全に洋風に見える牛舌煮込みが実は味噌で煮込まれていたりと、驚かせ旨みに唸らせ、なかなかやるなああ~~♪ とうれしくなるお店です。この自在さ、当意即妙なあり方は、ご主人の藤原一駿也さんが、大使館勤めなど、外国での和食作りの経験が長いことによります。「たん熊」で修業、そしてパリや大連で料理を作ってこられたのです。お店は純然たる割烹のしつらえですがBGMはジャズ。年末のある晩4人で伺い、選んだ料理を織り込んだコース仕立てにしていただきました。お願いしたのは白子のソテー、すっぽん茶碗蒸し、高麗人参の天ぷら、牛舌味噌煮込み、豚ばら肉白菜蒸し。だし巻、みすじ肉丼も後からの注文です。 
●こっぺ蟹 ●花わさびのおひたし 松の実、粉かつお ●蒸し寿司、煮はまぐり入り●造りは寒ぶり、くえ、厚岸のうに。ここまでは比較的穏やか、先附的なお皿です。
7_1088_929_8210_7611_12012_118●白子のガーリックソテー(プロヴァンス風) ●白子のために、グラスに白ワインを一杯。ご主人の藤原一駿也さんです。●すっぽんの茶碗蒸し ●高麗人参の天ぷら ぎんなん、万願寺とうがらしと。これこそオリジナルです! ●牛舌味噌煮込み。おいしいいい~♪ 以上藤原さんならではのお料理です。白子のおいしかったことといったら。茶碗蒸しはすっぽんスープ仕立て、なめらかで舌に心地よく、非常に温まりました。
13_8314_5615_4516_3817_30●豚ばら肉白菜蒸し、豚肉の旨さと白菜の甘さがぴたりと合っていました。●だし巻き、これはおだしたっぷりで優しい味わい。●みすじ肉の丼 ●デザートにりんごといちご、コアントローと梅酒風味のジュレ。 以上でひとり1万5千円弱でした。どのお皿も素材のよさが際立っていました。味わい香り共に明確、日本酒やワインがよく合いました。祇園で食べ慣れた方がお客さまの大半とのこと、よくわかります。週に2,3度と訪れては家の食堂のように使っていかれる方もいらっしゃるそうです。
「割烹ふじ原」 京都市東山区祇園花見小路富永町東入ル一筋目角 げんすけビル1階 電話075‐525‐5088 12:00~13:30(昼は前日までに要予約)、17:30~21:00LO 月曜休み できれば予約を。コースは昼5250円、夜10500円~。
Calvador_10寺町二条に移動してフルーツのカクテルで締め。わたしの姉御分・藤田晶子さん(リビング京都)とその母上とお邪魔して、とても楽しんだのでした。



T_logo_104そうだ 京都、行こう。 「のぞみ」に乗って京都に行って、和食をいただきましょう! オーソドックスな和食に革新的な和食、芝居のような和食に草をいただく和食などなど、お店は本当に多彩にあります。

2006年12月 30日, dans 京都 和食06後半 |

2006年12月27日 (水)

■陶然亭 冬


1_2168月半ばにも一度ご紹介した祇園の割烹「陶然亭」の、冬のお料理をいただきに出かけました。ところがココログのメンテナンスなどで出すタイミングを逸し続けて、なんと1ヶ月以上前のものになってしまっています。(-_-;) それでもお見せする価値があると思うのです。オリジナルで、楽しくて、確実に美味。そして、このサイトのタイトルまわりにも使わせていただいている「唐長」の唐紙がインテリアに使われていて美しく、それは華やかです。「食事に来た」という喜びで満たされるお店なのです。
2_2173_1864_1515_1326_1177_107■夜の1万円のコースより、●菊菜と菊花のおひたし、長芋をたたいたものととんぶり。●ヤーコン(北海道の芋、しゃりっとしている)と、ぎんなん揚げ、からすみをかけたもの。●雲子の茶碗蒸しはなめらかで、熱々。●ふぐを、薄造りにはせず、なんと昆布締めの後たたきにしたもの。これは大変に美味でした。●そして海老芋に鯛、ねぎ入りのあんかけ。こちらもバランスがよく非常に美味でした。
11_11812_11613_8114_55■この料理がすごかったのです。●牛肉の朴葉焼き。味噌、たっぷりの九条ねぎの上に、上質な肉が置かれます。これだけで十分おいしそうなのに・・・●すぐきが登場して・・・?●ご主人の渡邊敏朗さんが肉を返しがてら、すぐきを混ぜ込むので仰天し、●しかし酸味は熱でまろやかになり肉の脂分ともよく合って、見事な一品となりました。豚キムチからヒントを得たということで、とても割烹の料理とは思えないパンチある味わいを楽しみました。
21_5022_4823_2924_1825_13 さらにコースは続きます。●牡蠣を、りんご酢で。りんごのすりおろしを三杯酢と合わせてそれを牡蠣に。うるわしい調和。●鰆の炙り焼き。少しレア感も残して、本当に口当たりよい仕上げ。●おじゃこがどさーーっとのったご飯にお漬物、●クレームブリュレで締めです。完璧な満足な食事でした。一緒に行ったのは「リビング京都」、わたしの姉御分である藤田晶子さん。今年の夏前に取材していただいて以来のお付き合いです。京都の51万世帯に渡る媒体の編集長というすごいお仕事をされていながら、いつも伺うのは彼女の比類なき買いもん譚! 半端ではないのです。
「陶然亭」 京都市東山区新門前通大和大路通東入ル西之町227-3 電話075-561-8024 11:30~13:00LO・14:00閉店、17:30~21:00LO・22:30閉店 日曜と月曜の昼休み 要予約 昼3000円~、夜5000円~。

「のぞみ」で年末~お正月の京都に行きましょう! 今や年末年始も普通通りに営業する割烹や料理屋さんがかなりあります。

2006年12月 27日, dans 京都 和食06後半 |

2006年12月26日 (火)

■春の料理を取材の日々


1_215ノエルが過ぎるとがらりと街の風情が一変、お正月モードになります。その情緒にひたる間もなくお正月をすっ飛ばして毎日京都の春のお料理の撮影をしています。さぶい京都で足の裏にカイロを貼り付けブーツをはいて、モコモコに着込んで春爛漫のお料理取材! けれど少しお正月風情の撮影もいたしました。「修伯」の吉田修久さんが電話をくださって「日本料理アカデミー」でフランスへ行って料理デモンストレーションをすると。事前プレゼン用の写真撮影の依頼です。わたしが天才ハリー中西と撮影の日々だろうという予測に基づく、絶妙なタイミングの電話。どんなに忙しくても、何とか都合をつけて行きましょう。若き才能が、京都の料理が、フランスでプレゼンされると聞いて、協力しないでいられるでしょうか? (いいやいられはしません!) お椀かしらと思っていたけれど、天ぷらとのことで、お正月らしい羽子板形の塗り物に盛られました。ずば抜けて美しい写真が撮れたはずです。料理も、撮影も、神がかりのようだ! 相変わらず咳ばっかりしてヨレヨレ状態、ひとり神がかっていないわたしは「すごいなあ」と才能のきらめきを眺め、この場に立ち会える幸せに浸っています。
2_2163_185「竹きし」さんのお話は11月の半ばにしたかと思います。釜飯を看板にした祇園の割烹です。こちらで、こんなお弁当を作っていただけます。4千円くらいから。もちろん釜飯もテイクアウトできます。(持ち帰り用は陶器入り。)一品料理も豊富、何の衒いもなく、すべてがおいしくお値段も手頃で、わたしはこのお店が大好きです。
11_11712_115女性オーナーシェフのお店を2軒! まず酒井久美さんの「レストラン ル・ミリュー」、かつて「パリの食堂」があった場所にオープンしてはや1年余りです。久美さん、明らかに腕を上げています! すばらしくおいしかった~! 改めてご紹介します。
21_4922_4723_28何度かご登場いただいている高倉六角・「小豆家 うさぎ亭」の中村薫さん。甘味もお昼も大人気です。あんみつで始まったけれど、ランチ1200円がますます充実! わたしは彼女の手書きのメニューを見るのが大好きです。元気がみなぎっていて。こちらの一度のお昼で30品目くらい食べられるのではないかしらん? わたしは高倉通の四条から六角の間に信頼する医院2軒を持ち、今や薫さんのランチもあって、ヘルシー通りという気持ちです。ついでに・・・ひと筋西は東洞院=お菓子の通り(「ミディ・アプレミディ」)、ひと筋東は堺町=カフェと和食の通り(「イノダコーヒ」、「室町和久傳」)、その向こうは柳馬場=写真の通り(堀内カラー)・・・以上関係ない話です。通り名を口にするだけで京都にいる幸せに包まれしまって・・・アホです。
41_742_8仕事ぎうぎうの日々、取材先での試食も多くて、「予約をして出かける盛大な食事」になかなか行けませんが、ぱっといただけておいしい錦・「冨美家」の冨美家なべです。熱々土鍋の鍋焼きうどんが、なんと580円! こんな幸せがあっていいのだろうか? (いいのだああああ~!)

「のぞみ」に飛び乗って京都に行きましょう! お正月準備のため、準備しない人でも、錦の熱気の中で、ただお買い物をするだけでも!

2006年12月 26日, dans 京都 和食06後半 |

2006年12月25日 (月)

■祇園さヽ木 12月(2)


1_2142_2153_1844_1505_1316_116「祇園さヽ木」、先日誕生日まで祝ってもらったのに、それから間もない晩にまたお邪魔したのです。「さヽ木」さんに伺う日は朝からわくわく、取材の試食も控えめに、胃の空きスペースの調整をします。お腹激空きで行くのが理想です。●先附、こっぺ蟹の内子で作ったソースに外子のプチプチも心地いい和え物です。この日は蟹コース、最初の皿がこの後の盛り上がりの予告をしています。●ふぐの白子を細かいパン粉をつけて揚げたもの。これは何度かいただいていますがとんでもないおいしさです。倒れるかも~ ●お椀の蓋が美しい・・・東山に清水。佐々木さんご自身のデザインで、こちらは今回の新店の収容人数分を揃えられたとのこと。すごい。●お椀の中身もすごい。蟹しんじょうらしいですが、しんじょうというより蟹肉のかたまり。今回はかぶらのすり流し仕立てになっており、とろとろと口当たりも優しく、ほんとうに温まりました。
7_1058_919_8110_7511_11612_114●整然と並べた皿に盛り付けをしてゆく、佐々木さんの手元を見るのが楽しいです。本当に劇場みたい。●おや、これはフレンチのシェフ? こんな方まで「ぜひさヽ木さんで」と食事にいらしています。●軽く締めた鯖を炙ったもの。いり胡麻が香りを添えます。非常な美味。●向附。いつものトロ寿司は大間のトロです。氷見の寒ブリは辛味大根和えで醤油の風味付け、鰆の焼霜です。●ヅケの握りをいただいて、●茶碗蒸し、上にうにと百合根。
13_8014_5415_4416_3717_2918_24●津居山の蟹です! 蟹はこんな風に積んで客にプレゼンされて、●佐々木さんが見事にさばいてゆきます。●びしーっと切り揃えたところで、●塩をする佐々木さん。この姿を見るのがわたしは大好きです。●ご自慢のピッツァ釜で、ほんの少し焼いたもの、さらによく火を入れたものと、2度にわたって供されました。
20_2121_4822_4623_2724_1725_1226_7●最後のひと皿「ぐつぐつ」はぶり大根。柚子がいい香り、ほっとしました。●〆のご飯は、土鍋での登場ではなく大きな中華鍋で。蟹チャーハンです! ●お漬物も添えられて、何杯でもいただけます。●食後のフルーツ:メロン、ポワール、いちご、マンゴーを、りんごのソースと。 イケイケ状態で盛り上がり続けたコースでした。完璧な楽しさ。
31_3532_2533_13寺町二条へ移動して、ヴェルムート、そしてブルゴーニュワイン、さらに何杯か。おいしさの余韻で後は野となれ状態です。でもわたしはこのおいしさを伝えなければならないから、クリアな頭で帰らなくっちゃと考えています。24時間仕事なのです! 強い雨が止んだ後の御池通。いつも歩くのがじゃまくさくてすぐにタクシーに乗っちゃうわたしがその後、高倉の四条あたりまで歩いたのは、雨に濡れて光る道の風情があまりに美しく、とんでもなく幸せだったからです。

「のぞみ」に乗って京都に行きましょう! おいしい蟹は都・京都にあります。

2006年12月 25日, dans 京都 和食06後半 |

2006年12月23日 (土)

■河玄


1_212岩倉の「河玄」さん、ジャーナリストはこういうお店を紹介していく義務があるとわたしは思うのです。どうしても新しいお店、話題のお店、予約が取れなくて押すな押すなの人気のお店にばかり気持ちがいってしまって、さらにジャーナリストはそんなお店を取材できることがまた特権的な気持ちがしてうれしいものだから、ついついごく僅かなお店に話が集中してしまいます。しょうがないことなのですが、でもそれだけじゃあいかん! ある晩たまには静かな大人らしいお店「河玄」さんへと、(いい歳しながらわたしは少しも大人らしくないが)出かけることにしたのでした。仕事ぎっしりの一日の後、さらに気管支炎で悲惨な状態、こんなんで食事を楽しめるのかしらん? でもあの住宅街にひっそり佇み、そこだけ光が灯ったように美味があふれているお店を思うと、どこか気持ちがほかほかと暖かく、うれしさがどんどんつのって、タクシーに飛び乗ったのです。
2_2133_1834_1495_1306_1157_1048_909_8010_74●まず小さなカップに粕汁、温まりました。●海老芋、丸大根、にんじん、鯛の子。上品な炊き合わせ。●ビーフシチューはこちらの定番のお料理です。●海鮮サラダです。あわびがたっぷり。●カニクリームコロッケ、サクっとして、中はトロリ、熱々、いい香り。コロッケの幸せが詰まっていました。●白いご飯を ●お漬物でいただき、わたしはお茶漬けにしました。●食後にグレープフルーツのゼリーです。体調やら胃の空きスペース具合から以上のようなお料理にしていただきましたが、おまかせでもっと皿数を出していただくこともできますし、アラカルトで1,2品だけというのも可能です。この日は「ビーフシチューとコロッケを食べさせてください。」というお願いをして、「河玄」さんのスタンダードなコース仕立てにしていただいたと思います。暖簾に掲げてある「和洋料理」の通り、和洋にこだわらぬ、しかし懐石スタイルのお店なのです。「うちはヘンな店です」と笑うご主人の吉成幸紘さんですが、こなれて味わいのある割烹らしい店構えで、どのお料理もしみじみおいしく、温かみがあります。少し古びた感じがゆかしく、店のたたずまいといい客層といい(わたしが紛れ込んでいるのは別として、)上品さが色濃く漂い、端正です。この日は人間国宝の着物の作家の方もいらっしゃいました。ご主人は手元は的確ながら人当たりは軟らか、高貴さをたたえた方だとわたしは思うのです。比叡山も目前に迫る、洛北でも本当に北まで来た~という場所なのに、これほどレヴェルの高いお店が存在して、そこに通う人にも恵まれているというのが、京都のすごいところだと思います。祇園で食事をするような華やかさとは対極ですが、やはり知っていたらうれしい、特別の光を放つ大切な一軒です。
Img_1149「河玄」 京都市左京区岩倉南三宅町11(市内から車で20分くらい) 電話075-721-6813 17:00~21:30閉店 木曜休み 要予約。おまかせコースは10000円くらい。アラカルトもいろいろ。開店したのは1983年です。




T_logo_96そうだ 京都、行こう。  「のぞみ」で京都に行きましょう! 寒い季節ですが、寒さの中で熱々のおいしいものをいただく幸せは格別です。どこまで行っても京都にはうまいものがたくさんあります!

2006年12月 23日, dans 京都 和食06後半 |

2006年12月21日 (木)

■二條ふじ田


1_2092_2103_1804_1485_1296_1147_1038_899_7810_7311_11312_11213_7714_5315_4316_36二条通の河原町と寺町の中ほど北側に「二條ふじ田」はあります。(わたしの今の京都の住まい、偏愛する寺町二条から至近♪) 店主の藤田敏晴さんは若々しく、いつもさわやかで笑顔を絶やさぬ感じのいい方です。店内の雰囲気もすがすがしく、こちらもまた、びっしりと存在する、京都の和食店のクオリティを支えている大切な一軒です。
●酒肴的な先附に、スモークサーモン、いくらみぞれ和え、長芋わさび漬、舞茸とからすみ、うなぎの蒲焼、数の子。日本酒を飲まずにいられません。●すっぽんのお椀。ぽかぽかに温まりました。●向附はこれでひとり分のたっぷり量、ひらめ、ひらめのえんがわ、寒ぶり、剣先いか、赤貝、うに。●お椀。椀だねは貝柱のしんじょう、湯葉包みと車海老、椎茸、柚子。非常に上品なお味です。お椀の蓋は梅のモチーフです。●鰆の味噌漬 ●白子をポン酢で ●お凌ぎの鯖寿司 ●粟麩揚げ煮と海老芋の蟹あんかけ ●赤だしが出てきて・・・ ●おきまりのちらし寿司です。●ご実家の「二條若狭屋」のお菓子が食後に必ず出されます。銘はかぶらの形のものが「里の冬」、そして●「枯葉」 ●最後にお薄が供されます。●にこやかで誰からも愛されるご主人の藤田敏晴さん。
一緒に出かけたのは、京都ホテルオークラの広報をつとめる坂田弥生さん。彼女がまたにこにこと優しく、非常に頭がいいのに人当たり柔らか、一緒にいたらほっとなごんで気持ちがあたたかくなるのです。こんな人に会えたのがうれしくて、食事もよりおいしくなります。いいホテルを作るのはいいスタッフだ~! さてお料理はどれも「安心のおいしさ」といったらいいかと思います。どれも奇を衒うことなくきちんと素材の味を生かし、絶対大丈夫、みんなに愛されるお料理です。いい素材を使っていても「これでどうだーっ!」なところは微塵もありません。どの皿もおっとりとにこやかに差し出され、季節感豊か、何か育ちがいいというか、やはりご主人の、和菓子屋さんの次男であられることがそのままお料理のあり方に表れていると思うのです。お料理はお店のご主人そのもの。お店はご主人のおうちみたいなものです。人柄がよければすなわち料理がいいということはないのだけれど、でも人柄はそのまま料理に映ります。その人の気が入っているわけですから。そしてお店に入ってみてぱっと感じる雰囲気とか質の高さ低さなどは、まず絶対にはずれることはなく、人と会った時の第一印象と同じだと思っています。こちらのお店は熱狂的に人が訪れて予約が殺到して、長いカウンターの真ん中にはピッツァ釜があって仰天させる、というのとはまた違います。味の分かる、静かに料理を楽しむ顧客が絶えず訪れ、客にとっても存在が心の支えになるようなお店です。和菓子の名店「二條若狭屋」に生まれ育ち、お菓子の中で育ち、でも次男である自由さで料理の世界に入ったという藤田さん。それでも店を開いたのはご実家と同じ二条通、そしてここを選んだ理由は「掘ったらいい地下水が出たから」 というお話がわたしは大好きです。
「二條ふじ田」 京都市中京区二条寺町東入ル 電話075-213-0511 17:00~21:00入店 水曜休み 予約を。料理はおまかせのコースのみで6300円、8400円、10500円、12600円。

「のぞみ」に乗って京都に行きましょう! 本格的に冷え込んできた京都の夜に、優しい味わいの和食で幸せ気分に。

2006年12月 21日, dans 京都 和食06後半 |

2006年12月14日 (木)

■祇園さヽ木 12月


02_101_2■今月もこの日を楽しみに毎日頑張ったのです。「祇園さヽ木」の12月、蟹尽くしだった11月の次はいったいどんな料理で楽しませてくれるでしょうか。この夜も18:30過ぎにはカウンター満席、奥のテーブル席も2階のお座敷もフルに詰まり、お店に入るなり期待が高まりました。今月もまた訪れることができたうれしさ、コンサートが始まる前のようなうきうきした気持ち。手際よく盛り付けやサーヴィスをこなすスタッフの仕事ぶりもすがすがしいことです。取材であちこち巡った1日でしたが、試食もできるだけ控えめに、お腹を空かせて来ました~~!
1_2052_2063_1764_1465_1266_1127_1008_88■先附に始まる全10品ほどのコースです。●鯛の焼霜を胡麻酢で。大徳寺納豆。すだちの香り。●白子を細かいパン粉で揚げたもの。先月と同様、外側がごく薄くパリッとして中はトロトロ、あきれるほどのおいしさ。●お椀代わりにスープです。●金華ハムとすっぽんでとった濃厚なだしに、香ばしく焼いたフカヒレと胡麻豆腐。この濃い取り合わせ! くらくらするほどの美味でした。●向附の盛り付けをする佐々木さん。カウンターはこうして見事な手元を眺める楽しみがあります。●二番手の木田康夫さんがしっかりと佐々木さんを支えます。一番初めのお店(現在「割烹 いいもり」になっています)、5席のカウンター時代から佐々木さんを助けてきた貴重な方です。●今月の向附。鰆の焼霜、車海老、いかとうに(海苔を巻いていただく)、いつものトロ寿司。トロは大間のもの。●車海老の頭部分を炙って。一緒に行った方が海老アレルギーなので、その分をいただいてご機嫌♪
9_7910_7011_10912_10813_7814_5115_4116_35●バルバリーの鴨を準備中。ごぼうの千切り、九条ねぎを敷いた皿に鴨肉をどーんと。●鴨が焼ける間に、汲み上げ湯葉と、クエ。深い旨みでした。●ピッツァイオーロのようにピッツァ釜の世話をする二番手、木田さん。●そしてこれが焼き上がった鴨だーっ! と言う声もひそめないといけないほど、ボケ写真でした。何枚も撮っているのに、一枚もピントが合ってなかった・・・ひい~!しかしお料理は最高でした。焼きたてをスライスした身に、山椒の効いた味噌の濃厚ソースが絡んで得もいえぬおいしさ。九条ねぎの甘みとごぼうの風味が鴨肉の味わいを引き立てて見事でした。一緒に行った方は「切らんでいい、まるごとナイフとフォークで食べたい!」と。本当に! ●そしてご飯の前のラスト一品、いつもの「ぐつぐつ」が来ました。ここまで押しの料理でしたから、野菜たっぷりの優しい味で終わります。中身はかぶ、お揚げ、水菜。一味がピリッとアクセントになっています。●ご飯です! いつもこの瞬間が待ち遠しいのです。事前に「今日のご飯は?」とたずねても「それは言えん!」と教えてくれないのです。蓋を取るまでのお楽しみ♪ ●釜揚げしらすがどっさーっとのったしらすご飯でした! なんともおいしそう~~! ●ひと椀ずつよそってくださいます。
17_2818_2319_2120_2021_4522_43●お漬物 ●まず1杯め、おいしいい~~! ●おこげもいただきます。この後、一生お代わりして食べ続けていたかったけれど、お腹が膨れてしまっていました。ああ~。同行者は5杯くらい食べてました。それだけ食べられるのがうらやましい! ●フルーツです。ラ・フランス、マンゴー、柿、いちご。どれもが甘くて食べ頃。そして暗くなったと思ったら、●何日か遅れの誕生日を祝っていただきました。カウンターの全員唱和でHappy Birthday to you ! と。恥ずかし~~! そして実は佐々木さんも16日がお誕生日、わたしはこの場を借りて「早めのお誕生日おめでとうございます!」とカウンターの皆さんにふたたびHappy Birthday to you ! を歌っていただき、お花を差し上げました。津田陽子さんから託されたプレゼントのロールケーキ、フロールもここで贈呈! 佐々木さんおめでとう~~~!!!!! ●チーズケーキは自家製、しっとりいいお味でした。ありがとうございました。
31_3332_2733_12●ちなみにこの日「さヽ木」さんでいただいたお酒のうちのひとつ、「松の司」はとろんとした濃厚な味わいでした。そして寺町二条「カルバドール」へ移動後にいただいたのはシャルトリューズ、少ししゅわっと割ったものです。お腹はすでにはちきれそう、ない胸も感動でいっぱい。心から楽しく幸せな夜でした。優しい皆さまにひたすら感謝。

T_logo_87そうだ 京都、行こう。 「のぞみ」に乗って師走の京都へ行きましょう! 混雑も収まり、ゆったり歩けます。おいしい食材たくさんのこの時季こそ、京都で食べ歩きをいたしましょう!

2006年12月 14日, dans 京都 和食06後半 |

2006年12月12日 (火)

■「冬京都」/「乃し」 のおせち料理


Fuyukyoto■12月13日発売の「冬京都」(扶桑社刊)は、「本物」の京都をじっくり楽しむ季刊誌です。美しいヴィジュアルで京都の美味だけでなく美術館めぐりや能装束職人、和のお稽古や祇園歳時記などをテーマに、じっくり読ませる記事が満載です。どうぞ(本をお買い上げの上)ご覧くださいませ。サイトはこちらです。
■この本の中で、わたしは冬の京都のお取り寄せ」というページをやらせていただき、どどーんと約30品目をご紹介しています。予定調和の京都あり、斬新な京都あり。お菓子、お茶、鍋ものの材料、麺類、生麩や白味噌など絶対におすすめできるものばかりです。撮影前に候補をさまざま挙げてゆく中で、思い出しては買いに走り、しばらくぶりにいただいて感動する、といったこともたびたびありました。お店に撮影に伺って、製造のための秘話だとか、盛り上がった挙句にご主人の生い立ちやら現在のお仕事に至るまでの人生まで伺うようなこともあって、この仕事はやめられません。わたしは絶対に商品のおいしさや魅力を伝えなければいけません。それが使命だ~~。「このお店も京都の歴史を担っていらしたのだ」と考えるたびに頭の下る思いをし、わずか200字ほどのご紹介にしても、わたしは使命感で勝手にめらめら燃え上がるのです。興奮しやすいわたし、毎度アホです~。
Esse実は同じ扶桑社の「ESSE」という本とも連動しており、こちらでも一部「冬の京都のうまいもん」をご紹介しています。


Img_025830品の中から、ひとつだけお見せします。北山の懐石料理店、「乃し」さんのおせち料理です。長年大宮通の地で愛されて、北山に移転して1年少しになられます。10前からずっと作っていらっしゃるのが、このおせち料理・ひとり用です。ご近所の年配のお客さまが、「ひとり用に小さいものはないの?」と所望されたことから始まったもので、今では地方発送をするほどの人気です。コンパクトで愛らしく、これひとつあれば、お正月気分が盛り上がります。ひとり用のおせち料理8500円。35品ほどの取肴が詰まっています。2人分、4人分もあります。
「乃し」 京都市上京区上賀茂岩ヶ垣内町32 電話075-702-7733 FAX075-712-7732 12:00~13:30LO、17:00~20:30LO 月曜休み おせち料理の注文は12月25日までに電話かFAXで。電話での注文はできるだけ午前中に。

「のぞみ」に乗って京都へ行きましょう! お取り寄せできる品も、お店を訪ねて入手すればより深い感動が味わえます。

2006年12月 12日, dans ●掲載誌京都 和食06後半 |

2006年11月22日 (水)

■祇園さヽ木 11月


1_18710_632_1863_1644_1385_1186_1047_958_849_7210_6211_9512_9313_6714_4715_3816_3217_2518_2119_2020_19とにもかくにも、「さヽ木」さんのスタート時間、18:30に間に合うようにとそれだけを考えて、あたふたと赤ゴロゴロトランクを引っ張って新大阪行きの「のぞみ」に乗り込んだのです。遅れたらいけません。そしてやっぱり今月も伺ってよかった!! この世の憂さはすべて吹っ飛び、(憂さなんてもとからそんなにないのですが、)ただただ「おいしい、うまい」と叫び続けたコースでした。到着したのは18:29、ギリギリセーフ。ながーい16席のカウンターはすでに全員到着していました。こちらの夜は、劇場みたいに、(原則ですが)18:30開始なのです。 ●先附は〆鯖、車海老、千枚漬、いくら。季節そのもの。口の中さっぱり。●ふぐの白子を、ごくごく細かい(きっとサラサラ)パン粉をつけて揚げたもの。外がごく薄くパリッとして香ばしく、中はトロトロこっくり。塩加減絶妙。犯罪的旨さ。●蟹!!!!! 浜坂の蟹がまずどーーーんとプレゼンされます。ない胸も高鳴ります。●お椀の蓋の美しいこと~! 秋の2種類です。●椀だねは蟹しんじょう・・・って嘘です。全然しんじょうじゃない。蟹そのもの。蟹のかたまり。目を剥いておいしがっていただきました。●いつものまな板皿の向附。富山の白海老の上にうに、ぐじの昆布〆、熊本の馬刺し、大間のトロ寿司。●またトロ寿司。●蟹をさばく佐々木さん。気分いいだろうなあ。●焼き蟹が2回にわたって熱々を供されました。一度目は出されて即食べてしまい、珍しく写真撮るの忘れました。(-_-;) ピッツァ釜大活躍です。ほんの2,3分の加熱で、香ばしく、中は水分を十分残してジューシーに仕上がっています。塩がしてあって、あまりのおいしさに絶句していただきました。2本目の方が火がよく入れたもので、微妙に食感も味わいも違いました。これも黙っていただきました。●次は蟹酢。もう、ど~しよう~~!! なおいしさ。こんなん食べて許されるんだろうか? ●ご飯前の、最後のひと皿、いつものグツグツものです。小かぶの吹き寄せあんで、ひたすら優しい味わいです。海老、きくらげ、ぎんなんが、かぶのやわらかさ甘さとよく合って、もう言うことない、完璧。●〆のご飯は、どかーんと、蟹チャーハンでした!! あまりにおいしくて激寄り写真も。お代わりしていただきました。●一緒に食べたのは「トラットリア・ニーノ」のマダムの春奈さんと、●要注意人物、酔うと大変なことになる「トラットリア・ニーノ」のシェフ、関俊仁さん。幸いおいしすぎて、比較的おとなしくしててくれました。●食後にラ・フランス、柿、いちご、ピンポン玉ほどある巨峰。巨峰のソースと。ちょっとシャワっとして、懐かしいファンタグレープみたいなソース。 あああ~~おいしかった!! 「おいしい、おいしすぎて倒れる、白目剥く、泡吹く、死ぬかも~!」と叫ぶわたしに、「全然さっきから死なへんやんけ」と笑いつつ、これでもかとおいしい皿を出してくださった佐々木さん。長いカウンターを端から端まで行ったり来たり気を配り、満遍なく笑わせて楽しませてくださいました。これだけおいしくて盛り上がって明るい気分に満ち満ちて、そりゃあはやるわなあ。また来たいときっと誰もが思います。食事なのに、劇場でひと時すべてをゆだねて芝居を楽しむような感じです。入る前と出てきた後では心持ちもまったく変わって、また元気で頑張ってゆけると思うのです。
31_2532_1633_9食後は寺町二条の「カルバドール」です。まずカルヴァドスベースのカクテル、ハーバードクーラー。レモン果汁を加えてソーダで割ったもので、シュワシュワなのが見えるでしょう? そしてヴェルムート。というのは酔っ払っているからフランス語読みになっていて、ヴェルモットです。ええ香り~~♪ ええ気分で夜は更けて、ご機嫌で皆さんに手を振ってお別れして帰ってきました。

「のぞみ」に乗って、万難を排してでも京都に行きましょう! 京都に行けば、とてつもなくおいしい食事とお酒が待っています。

2006年11月 22日, dans 京都 和食06後半 |

2006年11月19日 (日)

■夜アラカルト@日本料理とくを


11_942_1833_1624_1395_1196_1057_96本当においしい和食をアラカルトで食べられて、タバコの煙に悩まされることなく、雰囲気もくずれていない。そんなお店は本当に少ないです。祇園にも、アラカルトOK、お味も抜群という割烹が何軒かありますが、初めから灰皿が置いてあったりします。わたしはほんと~~~~~にタバコの煙がダメなのです。なぜ手間暇かけて作られたおいしい美しいお料理と、タバコというようなものが同じ空間に同時にあるのかが理解できないし、灰皿置いているのを見るだけでもつらい、カウンター上にタバコの箱があるのを見ただけでもうあかん、そして煙の中で食事はできません。というわけで、「とくを」さんはものすごく貴重です。お料理はアラカルトでもコースでもOK、ばっちりおいしい、サーヴィスていねい、夜22時までの営業で遅めでも大丈夫、そして禁煙! ある晩仲よし「半兵衛麩」の玉置淳ちゃんと、「和食、気軽、絶対美味、近場、禁煙!」と条件を出し合ううちに、迷いなく「とくを」さんに決まりました。淳ちゃんは五条のお店から歩いて10分かからず、わたしも赤チャリで木屋町仏光寺の手前までびゅーんと下がって10分かかりません。 ●先附3品は注文せずとも供されます。季節を映した美しい肴が3種類、どの季節にも。これは柿なます、胡麻豆腐、牡蠣の旨煮。●とにかくこっぺ蟹です。これから春まで毎日でも食べたい、朝昼晩でも食べたい! ●すっぽん鍋の小サイズ ●和牛ステーキ、わさびと ●かぶら蒸し ●白海老かき揚げ ●この後栗しめじご飯(淳ちゃん)と、白ご飯+たっぷりお漬物でお茶漬け(わたし)に分かれて、それぞれたっぷりいただきました。以上のお料理にシャブリのハーフボトルと日本酒1合を合わせてふたりで14000円弱。どのお皿も申し分なく美味、満腹、温まって大満足の夕食でした。11_9312_9113_65
お腹いっぱいだよね~、と言い合いつつ、なぜか寺町二条の「ラ・マーサ」に移動して、サングリアやシェリーとともに生ハムや厚岸の牡蠣を食べたわたしたちです。店主のキヨさんは相変わらずほがらかでサーヴィス精神いっぱい、楽しいおしゃべりで満たしてくれました。いつも居心地がいいわ~。また店内は最近一部が改装されたばかりで、(ほんとキヨさんは何でもやります)工夫に仰天。

T_logo_62そうだ 京都、行こう。
「のぞみ」に乗って京都に行きましょう。コースできちんといただく和食もすてきですが、気軽にアラカルトで食べるのも楽しいものです。2軒目に行くお店もたくさんありまーす!

2006年11月 19日, dans 京都 和食06後半 |

2006年11月18日 (土)

■千ひろ 2006年11月


1_1842_1823_1604_1375_1176_1037_948_839_7110_6111_9012_8813_6214_4515_3616_30入稿と校正明けの先日のある晩、「千ひろ」さんへ。くるくる+しっとりのお菓子で知られる大好きなパティシエール、陽子さんと出かけました。陽子さんも今とんでもない忙しさ、お互い出かけるぎりぎり直前まで仕事していて、本当に「おづがれさま~」な状態。珍しく初めにビール飲んだりしましたが、だんだんに「祇園で食事」の気持ちになっていったのでした。「千ひろ」さんはそれでなくても人気店なのにハイシーズンで満席、20時半から2席空いて、なんとか入れていただけたのでした。●穴子と梨のすりおろし ●酒肴5種 ○牡蠣 ○ぎんなん ○黒豆の枝豆 ○いくら ○鱧巻き ●造りは鯛ととろ、醤油と、塩昆布添え ●いつもながらに美しいお椀 ●中身は、焼きさわら、湯葉しんじょう、焼き麩、ほうれん草の芽、柚子と盛りだくさん ●鮭児塩焼き、梅酒漬けのいちじく添え ●湯葉すり流し ●海老芋とねぎ、あんかけ ●松茸と小松菜 ●胡麻豆腐 ●なますに柿入り、ではなく、甘い甘い柿に、素麺のように細くしたかぶらと大葉を合わせて。これは初めての味。●栗ご飯 ●漬物 ●豆腐の味噌汁 ●食後の定番のジュース、でもこの日はりんごの味の方が強かったです。いつも通り、バランスがよくしみじみ美味な「千ひろ」さんの18900円のコースでした。次は真冬のコースをいただきに上がります。

「のぞみ」に乗って京都に行きましょう! 人気店は早めに予約をして、この上ない美味を味わいに行きましょう。

2006年11月 18日, dans 京都 和食06後半 |

2006年11月17日 (金)

■夜定食@小豆家 うさぎ亭


1_1837月にオープンした「小豆家 うさぎ亭」(本サイトでも何度か既出)、当初は甘味喫茶のようにスタートしました。徹底的に自家製のあんみつが売りでアイスクリームもおいしくて、店主の中村薫さんのお手製のチーズケーキも本格派、というお店でした。ところがしばらくしてランチを始められたら、こちらも非常に良心的な内容で瞬く間に人気になり、「おひるやうさぎ亭」の観を呈していました。そして秋口から21時まで営業時間を延ばして、居酒屋的な料理までされるようになりました。新しいショップカードには「甘味・珈琲・酒」と記されています。もともと料理人ですから、何でもできる薫さん。でも夜の営業を続けるうちに、リピーターの女性客はむしろ定食を好んで食べていくことがわかってきたとか。それで夜でも土鍋炊きのご飯にお味噌汁、そしてメインのひと皿を選べる定食を出されるようになりました。
わたしは放牧豚の生姜焼定食をいただきました。1300円。四条高倉で19時に1時間弱のアポがあり、次は21時に戻さないといけない校正があって「焦るうう~」と思いつつ、ここまで来て何か食べずに帰れようか?(いいや帰れはしまい!) 「そうだ薫さんとこ行こう!」と思いついて、気持ちにぴたりのおいしい夕食をいただくことができました。激速でいただきましたが、豚肉おいしい、お揚げたっぷりのお味噌汁もおいしい、白いご飯もつやつや、小鉢の煮浸しは薄味上品。ていねいに作られたお味に感激しました。食後びやーっと赤チャリで戻って校正を確認して20:58に戻して約束も果たした~! 次はまた23:00にアポがあったのですが、(いぞがじ、)これも首尾よく運びました。きちんと作られたものをいただくと幸せな気分になるし、いい「気」が入って、その後も全部うまくいくのです。
2_1813_159「小豆家 うさぎ亭」 京都市中京区高倉通六角上ル西側 電話075-257-2288 11:00~21:00 月曜休み(お休みが秋から月曜に変更。さらに営業時間の再度の変更も検討中とのことでした。ご注意ください) 


「のぞみ」で京都に行きましょう! 京都では小さなお店の定食にも感動があります。

2006年11月 17日, dans 京都 カフェ京都 和食06後半 |

2006年11月13日 (月)

■竹きし


1_1792_178寒さに弱いけれど、寒い時期の食べものは大好き。夕方冷えてきて釜飯を思い出し、無性に食べたーい! となって、祇園の「竹きし」さんまで赤チャリでびやーっと行ってきました。割烹なのにすごく気軽な気持ちで伺えて、ひとりでも気兼ねなし。一品料理がたくさん揃っていておいしくて、こんないいお店あるかしらん?
11_8812_8513_6014_4315_3516_2917_2318_1919_1820_17●先附2品。秋の吹き寄せと、小松菜にしめじの和えたの、松の実炙ったのがいい香りです。●解禁になったこっぺ蟹を、食べずにいられたでしょうか? (いいやいられはしませんでした!)大好きなこっぺ蟹、これは越前のものです。2800円。●熱い熱いかぶら蒸しをいただいて、冬の気分です。口当たりやわらか、かぶらがいい香りでした。1300円。●釜飯は10種類ほどあります。オーソドックスに鯛とか蟹とか鶏肉とか、どれもおいしいのですが、やっぱりこれだ。サフランの色と香りが効いたパエリヤ風、1785円です。●海老は皮を剥いて、お茶碗によそってくださいます。熱々をいただきます。魚介たっぷり、いい香り。3杯分くらいあります。食べきれない分はおにぎりにしてくださいます。 ●お漬物、赤だしもつきます。お腹いっぱい、身体も温まって、ごちそうさま。幸せ~♪ 料理屋がしのぎを削る祇園でやっていくために何か特徴をと、釜飯を看板になさったご主人の岸英俊さん。夜22時LOで一品の品数多くてお値段控えめ。本当によく頑張られます。さらに4月と11月は無休で営業されます。釜飯は、お昼なら2100円で天ぷらなどセットになったものがいただけます。
Takekishi「竹きし」 京都市東山区祇園花見小路末吉町西入ル 高見ビル1F 電話075-525-4547 12:00~14:00LO、17:00~22:00LO 日曜休み 4月と11月は無休。


31_22「カルバドール」でも冬の一杯。ヴァンショー、熱いワインです。普通のスパイシーなヴァンショーではなくて、なんと、ショコラの香りがします。ボルドーワインにショコラリキュールを合わせるのです。すごく粋で、世界はバラ色♪と思うほど香りがよくて、温まります。

「のぞみ」に乗って京都に行きましょう! 冬の京都の熱々のうまいもんが揃っています!

2006年11月 13日, dans 京都 和食06後半 |

2006年11月 7日 (火)

■「WaSaBi」 12月号 「上賀茂 秋山」「オ・グルニエ・ドール」


Wasabi_211月7日発売の「WaSaBi」12月号の中で、レシピ記事をふたつさせていただいています。
まず、今飛ぶ鳥落とす勢いの「上賀茂 秋山」さんで、家庭でできるおもてなし料理、コース仕立て7品。詳細レシピと、きれいな料理写真が載っていますので、(いつもの、愛想は悪いが仕事は最高の巨匠 H 撮影)どうぞ(本をお買い上げの上)ご覧ください。

1_1742_173「上賀茂 秋山」さんの店内内観と、掲載料理のひとつ、かぶら蒸しをちらっとだけご覧に入れます。家庭でも簡単にかぶら蒸しができます! 作りながら京都をしのべます! 「上賀茂 秋山」さんは鄙な風情を生かしつつ、洗練されたお料理を出す本当にいいお店です。何度も何度も伺いたいけれど、少し遠い・・・。さらに自分で週刊誌などに掲載しておいてアホなことですが、電話してもすぐに予約が取れなくなってしまいました・・・。ああ。でも、いいお店はわたしが載せなくてもほっておいても有名になっていくのですから、それならやっぱり、いいお店はいちばんのりで取材したーい!
11_8412_8113_57そして「パティスリー オ・グルニエ・ドール」は、クリスマス菓子3品の作り方を詳しいプロセス写真入りで掲載させていただいています。撮影に非常に協力的だった優しいシェフの西原金蔵さんに深く感謝。お菓子3品とそのアレンジ版を紹介していますが、うち2品だけ、ここでひっそりとご覧に入れます。メインのクリスマス菓子はどうぞ(本をお買い上げの上!)ご覧ください。●6時間にわたった撮影の休憩時に、エスプレッソを入れてくださる西原さん。●クレーム・ブリュレ、飾って仕上げの段になって、「ああもできるしこうもできる」・・・となって、「ではどうか赤く~!」とお願いしたところ、本当に真っ赤に仕立ててくださいました♪ トッピングにフランボワーズがびっしり並んだクレームブリュレです。●こちらはファーブルトンのノエル版。なぜこんな気軽なお菓子が粋なクリスマス菓子になって登場したのか?・・・といった話は本にあります。どうぞご覧ください。
「祇園さヽ木」新店情報も、ニューショップページで掲載させていただきました。
T_logo_50そうだ 京都、行こう。 
お料理も、お菓子も、最高のお店が京都にあります。快適な「のぞみ」で京都に行きましょう!

2006年11月 7日, dans ●掲載誌京都 スイーツ京都 和食06後半 |

2006年10月15日 (日)

■祇園花霞 2006年10月


1_15712_692_1563_1394_1225_1076_937_848_739_6310_5411_7312_7013_5014_3415_2816_2317_1918_1519_1420_13●かりん酒 ●旧暦の重陽の節句にちなんで菊酒 ●食事にはこの日本酒を合わせました。●先附は、実りの秋の意味を込めて、○邪気を払うとされる、小豆豆腐 ○焼き栗 ○白餅(上新粉でゆるゆるふわふわ) ○銀杏 ●お椀は焼き鱧に鱧の子を散らした親子鱧とまいたけ。ほうれん草の軸 ●造りは鯛と白いか 大根に見えるのは「おこのり」という海藻。あしらいに、大根、にんじん、かぼちゃ ●お凌ぎに、紅葉でんぶの飯蒸し。うっすらピンクに染まっています。鯛を極限まで細かくしたもので、繊細優美なお味でした。●「まるご」という魚について、客に尋ねられて実物を示す料理長の末友久史さん。これで3キロだそうな。朗らかで、声に張りがあります。●その「まるご」の焼き物。まるごとは、将来ぶりになる魚で、はまちよりも大きくなったものです。●野菜の焚き合わせ。●酒肴3種類。○貝柱とズッキーニと紫ずきんの黄身酢和え ○毛がにとみょうがの土佐酢和え ○すぐきの間引き菜のごま和え ●土鍋で炊きたてぴかぴかのご飯がプレゼンされます。●味噌汁はわかめとさつまいも ●お漬物もおいしいです。●デザートは栗のアイスクリーム、ヴァニラアイスクリーム、甘茶のゼリー、いちじくの盛り合わせ。●お茶をいただいてごちそうさま。以上、「祇園花霞」の夜の8000円のお料理でした。(初出は6月22日。)東京から編集者の方がいらして打ち合わせがてらの食事をしたのです。わたしは厚かましくもご馳走になる身だったので、予算のご都合も考え、実はいちばんお値段の安いものにしたのですが・・・いいお店において、値段のランクは関係ないとわかりました。いちばん高いコースをいただいた時の感動と少しも変わらなかったからです。すべての皿が季節を感じさせて美しく、目の覚めるようなおいしさでした。いいものを食べさせようという気持ちにあふれた力のあるお料理は、伺うたびにぐいぐいと進歩していると思います。一度伺えば感動するし、頑張る若い主人を応援しないではいられないし、普段の暮らしでは忘れてしまっている季節感に心がときめきます。こちらもやはり定期的にお邪魔しなければいけません。祇園の路地の中にあるお店で、舞台を楽しむ気持ちですべてをゆだね、ただお料理をいただけばいいのです。何という幸せでしょう!
31_1732_1133_7「祇園花霞」 京都市東山区祇園町北側279-13(14番路地、「千ひろ」さんの斜め前) 電話075-525-2726 11:30~14:00入店、17:30~22:00入店 お休みは不定 要予約


T_logo_32そうだ 京都、行こう。「のぞみ」で京都に行って、和食をいただきましょう。ひと口に和食といっても実にさまざまなスタイルがあります。京都にいれば、割烹料理が3日続いても全く飽きることがありません。

2006年10月 15日, dans 京都 和食06後半 |

2006年10月14日 (土)

■千ひろ 2006年10月


1_1562_1553_1384_1215_1066_927_838_729_6210_5211_7212_6813_4814_3315_2616_2117_1818_1419_1320_1221_2722_2223_1224_625_4東京からかつての同僚E さんが来ました。おいしいものの喜びを分かち合える人です。とびきりええところへ行きましょう! わたしも夏以来ごぶさたしていた「千ひろ」さんへ伺いました。10月半ば近いある日のコースです。●巨峰と帆立貝柱の先附。ごく薄にスライスした巨峰が美しいです。帆立の旨味に酸味を添えてよく合っています。飲めるくらいの、だしで割ったまろやかなお酢に浸されています。●酒肴5種。○さんま ○鱧巻き ○ぎんなん ○黒豆の枝豆 ○鯛の味噌漬け。鱧は巻いたものを竹の皮で包んで炊くそうな。黒豆は薄皮も剥いてあり、歯に当たらないほど柔らかな食感です。塩加減もほんのわずか。それに対してぎんなんはちゃんと塩気が効いています。●鱧を薄く薄く造ったものととろ。丸いのは鱧の浮き袋です。鱧は昆布と共にいただきます。●お椀は松茸と湯葉しんじょうです。焼き粟麩入り。●お椀の蓋が息を呑む美しさでした。特注なさったものかと思いましたが、これは明治期のものとのこと。本当につややかで金色もいい色、すばらしい状態でした。●焼き物にさわら。いちじくの梅酒煮が添えられています。●定番、湯葉のすり流しでほっとします。●今年もう最後の鮎、子持ちでおいしいです。●清水六兵衛の、鮎のための皿。笹の葉が初めから描かれています。藍色の色合いがきれいです。●松茸のフライ。天ぷらではなく、細かいパン粉をつけてフライにする方がおいしさが引き立つとご主人の永田さん。●ごま豆腐。●いちじくのお椀。いちじくは蒸しただけとのことです。張ってあるおだしは生姜が少し効いています。上品な甘みとおだしの深い香味で、非常にに印象深い一品でした。●お椀の蓋は月とほととぎす。●栗ご飯 ●わかめとさつまいもの味噌汁 ●水茄子ももう最後です。●いつものジュースでおしまい。以上18000円のお料理でした。いつもながら、静かで深い味わいを楽しみました。しみじみ、底からおいしいという感じです。いけーっ! とか、どうだーっ! というものではなくて、淡々と、しかしじわーーっと、ものすごくおいしいお料理なのです。こういうお料理、やはりきちんと定期的にいただかないといけないと思いました。そんなことを思っていたらなんと、驚きの指摘がなされたのです。永田さんいわく、わたしは10月に今までお邪魔したことがなかったと。1月とか12月に偏っており、次は夏で、10月は初めてだと。なんと初回、オープン間もない時期にお店に伺って以来、お邪魔した日が全記録されていたのです。わたしの好き嫌い、食べる量、きちんと把握されているのはそのためだったのです。お料理の技術だけではなく、顧客管理もまめにされていてこその人気・・・。頭が下がります。永田さんは気さくでお話し好きで、初歩的なことを伺っても丁寧に教えてくださって、わたしにとってはまるで学校のような先生のような感じ。若い料理人がお店を出せば訪れて励ましてあげて、本当に温かい方です。この優しい「先生」の顔を見に、これからは季節ごと、満遍なく伺おうと思ったのでした。
31_16「千ひろ」 京都市東山区祇園町北側279-8 電話075-561-6790 12:00~13:00入店、18:00~20:30入店 日曜休み 昼夜共に12000円~。



T_logo_31そうだ 京都、行こう。京都の割烹の多彩さ、奥深さはすごいものです。和食というピラミッドの頂点から下まで、びっしりと本当におびただしい数のお店が存在するのです。「のぞみ」に乗って、和食の都・京都にしみじみ大人な味の割烹を楽しみに行きましょう!

2006年10月 14日, dans 京都 和食06後半 |

2006年10月13日 (金)

■祇園さヽ木 10月


1_1552_1543_1374_1195_1056_917_828_719_6110_5311_7112_6713_4915_2716_2217_1718_1319_1220_1021_2622_2110月1日、「祇園さヽ木」の移転新店がオープンしました。1日付でお見せした通り、カウンターは16席になりました。これからは長い広いマホガニーのカウンターで、佐々木さんのダイナミックなお料理を楽しむわけです。以下はちゃんと客として伺った、移転後初めてのお料理です。●先附は湯葉、うに、あぶったやりいかに、紫ずきんのペースト、千鳥酢とすだちのジュレ。とんぶりと、長芋がごく小さくしゃりしゃりといい食感。●お椀代わりにゴージャスなスープでした。金華ハムとすっぽんのスープに、具がフカヒレとごま豆腐、白きくらげ。とんでもないおいしさ。●目の前で向附の盛り付けがされます。ライヴ感は前のまま。●まな板皿にばーんと盛られる向附も変わりません。3人で伺ったので、わたしのはひとり分の盛り付けです。○雲子のチリ酢 ○車海老は塩とすだちがかかっています。○鯛の昆布締め、細く切った昆布と共に。○いつものトロ寿司。●海老の頭だけあぶったもの。いい香り。 ●これから焼かれるあわびがどかーんとプレゼンされます。●生ものの後に、小かぶの炊いたもの。温かで、いたわられるような味です。●さきほどのあわびを盛り付ける佐々木さん。●今回導入した自慢のピッツァ釜で焼かれたあわび、肝ソースと。●実はわたしはあわびはそれほど好きでもないので、(嫌いではないけれど、あわびやたこなどムニムニ系はほんのひと口で十分。)焼きかますを出してくださいました。これがまた香ばしくておいしかった♪ ●ピッツァ釜の世話をする二番手の木田さん、ピッツァイオーロみたいでかっこよかったです♪ ●秋田の笹かれいの自家製干し。淡白なようで旨味が詰まって見事でした。●ご飯の前のグツグツの一品は、ぐじと秋野菜。かぼちゃ、さつま芋、なす、しめじなどがたっぷり入ってあったかい、旨い、満足! これもピッツァ釜で作られた料理です。●そして今日のご飯は栗ご飯! カウンターの端から端まで佐々木さんがプレゼンします。●そしてご飯をよそってくださるのも見せ場です。●そしてなんとこの日はダブルご飯!! いくらご飯がプレゼンされてびっくり。●まったく皮が歯に当たらないいくら、本当においしかった!! もうお腹がいっぱいなのが悲しかったくらい。贅沢な話です。●デザートに、栗風味のクレームブリュレと、巨峰にレモンの香りのジュレ。しんそこ満足した食事でした。値段も以前と変わらず、カウンターの席数が多くなったとはいえ佐々木さんはマメに端から端まで歩いて客を退屈させません。盛り上がる一体感もさほど変わらないと思いました。声は大きいし目はきくし、6席くらい増えても平気、16席を簡単に包み込むほどのパワーがあるということです。「身体だけは元気で頑張ってね!」 と何人もが佐々木さんをねぎらっていましたが、「(借金を返さなければならない)銀行の支店長のようなこと言うなあ~~!」と、笑ってパワー全開、ほんとイケイケ状態! わたしはこういうぱーっと勢いのある人が大好きで、行けー! やれー! 頑張ってえ~! とひたらすら思うのでした。来月、再来月・・・とどんな展開になっていくのか、どんな焼きものが出てくるのか、ものすごく楽しみなことです。(以上のお料理は夜のコースです。)
31_15「祇園さヽ木」 075-551-5000 京都市東山区八坂通り大和大路東入ル北側 昼夜営業 日曜と第2月曜休み 非常な人気のため席は取り難いですが、予約はひと月前から。あきらめずに電話を!





T_logo_30そうだ 京都、行こう。
予約至難でも、頑張って席を確保して今最高にイケイケの割烹に行きましょう! 「のぞみ」で京都に行けば、驚きの料理に出会えます!

2006年10月 13日, dans 京都 和食06後半 |

2006年10月10日 (火)

■京都へ移動、食べたものは・・・


1_1522_151怒涛のような東京での仕事の日々を終えて、びゅーんと京都へ来ました。今日も快適、新幹線の「のぞみ」のグリーンです。ただ残念だったのはいつものように新幹線ホーム売店にショコラのアイスボールがなかったこと。ああ~。それでこんなのを買って食べています。ショコラなしに人生はない。あっという間に名古屋まで来て今日もビックカメラが見えてうれしい♪ 新幹線でもいつもPCを広げていますが、珍しく疲れが出たのか、途中で急にぐったりしてちょっと眠ってしまいました。絶好調で、お腹激空きで到着しなければならないのに!
3_135でもちゃんとこんなのを食べています! こちらの食事に間に合うように来たのです。しんどかったのに、お店に着くなり奇蹟の回復を遂げました。「今新幹線で、もうすぐ京都着なんですが、さっきからちょっと具合が悪いのです。もしかしたらきちんと全部いただけないかもしれません。あらかじめごめんなさい」なんてお店にメールしたくらいだったのに、元気に歯を剥いたご主人・・・あ、間違い、元気に笑ったご主人の顔と、一緒に食べるおふたりの顔を見るなり具合が治ってしまいました。皆さんものすごくありがとう! 詳しくは近日中にアップします。今日は24時間営業をちょっと休みます。これにて失礼します <(_ _)>

T_logo_27そうだ 京都、行こう。新幹線は快適です。仕事もできるし、疲れてもゆったり眠れます。座っているだけで京都に到着するのです! 秋の風情で美しくなり始めた京都に、とりあえず出かけてみましょう!

2006年10月 10日, dans 京都 和食06後半 |

2006年10月 9日 (月)

■味 ほんざわ


1_1512_1493_1334_1175_1026_887_808_699_59「味 ほんざわ」さんは、気軽な居酒屋風情に見えて、本気でおいしいものを出されるお店です。何気なく見えて、鶏肉は「とり安」さんだし、蟹はシーズンになれば間人蟹が水槽で重なり合っているし、(「末端価格なんぼ?」と目を剥きそうになります、)大原や美山からまめに野菜を仕入れていらっしゃるし、こころざしの高いお店です。それでいてお値段がすごく控えめで偉いです。間人蟹にしても、同じレベルのものを食べても祇園の半額くらいだったりします。昨年~今年の冬の蟹のシーズンにも、何度か伺って、押し黙って蟹食べに熱中しました。で、1週間ほど前のある晩伺って、長年の親友と気楽に遅い夕食をした時のものです。ビール、日本酒と飲みつつ、こんなものいただいています。●お通しに天然川海老唐揚げ ●お通し2:海老といちじくと万願寺とうがらし ●きずし 980円 ●豆腐 きのこと野菜あんかけ 780円 ●はもと松茸の天ぷら 2500円 ●さわらの西京焼 780円 ●イベリコ豚あぶり焼 1300円 ●野菜かゆ 600円。きずしはあればどこでも必ず注文するのですが、ピカピカで締め加減絶妙でした。豆腐の野菜あんかけは定番メニューで、たっぷりの野菜入りのあんがとろんと豆腐にからんでいたわられるような味です。あとのお料理もすべて、本当にしみじみいいお味です。温厚なご主人の人柄を表しているのだと思います。
わたしにとってご主人の本澤さんはお医者さん代わりの方でもいらっしゃいます。それは「医食同源」といった話ではなくて、お客さまに非常にお医者さまが多いということなのです。ここからは京大病院や府立医大がすぐ近くなのです。
わたしは京都で困ったことがあればすぐに本澤さんに電話するのです。「湿疹が出てめちゃくちゃかゆい~」、「急に花粉症でくしゃみと鼻が止まらない助けて~~」、「腕が突然しびれて動かないいい!」など、仕込みをしていらして大迷惑なこともあるでしょうに、症状を訴えると光の速さで行くべき病院や診療所をお知り合いの先生に尋ねて調べてくださるのです。おかげで何度助かったことか。おいしい食事で幸せにしていただいて、具合が悪くてもまた助けていただいています。感謝。
「味 ほんざわ」 京都市上京区荒神口通河原町東入ル南側 電話075-231-6176 お昼は火~金曜のみで 11:30~13:20LO、夜は17:30~22:50LO 月曜休み サイトこちら


T_logo_26そうだ 京都、行こう。
気軽で日常使いできてとびきりおいしい! 「のぞみ」に乗って京都へ行って、そんなお店で季節のお料理を堪能しましょう!

2006年10月 9日, dans 京都 和食06後半 |

2006年10月 5日 (木)

■御幸町つばき 開店1周年おめでとう!


1_1492_1473_1324_1165_1016_877_788_679_5710_4911_6612_6213_43御幸町三条上ルにある「御幸町つばき」が本日10月5日で1周年を迎えられました。シックなカウンタースペースで、本格的な和食をいただけるお店です。今年7月、野口大介さんが料理長になられて以来ますますパワーアップしており、わたしはとても注目しています。野口さんはおっとりと優しげな風貌ですが、お仕事は的確です。「和久傳」でも可愛がられてしっかりと修業していらしたのでしょう。すごいと思うのは、一品料理をずらりと揃えながら、きちんとしたコースもなさっていることです。これはもともと一品主体のお酒を飲むお店として始められたところに、「和久傳」出身の野口さんがいらしたからなのでしょうが、それにしても両立なさっているのが偉い。写真は9月下旬に、初めていただいたコース料理です。●先附はさっぱりと車海老、銀杏、つまみ湯葉に割り醤油 ●よこわと秋刀魚、ひらめの造り ●鱧と松茸のお椀 ●くらげときゅうりの胡麻クリーム和え ●子持ち鮎の塩焼き、たでの揚げたの ●鯛、みょうが、セロリ、セロリの葉に、ジュレがけ ●かぼちゃと茄子と小芋の焚き合わせ ●鱧の子のたいたん ●穴子ごはん、パリパリの海苔と ●赤だしにはさつま芋入り ●お漬物 ●梨のジュレ寄せ。以上、7350円の夜のコースです。お値段は控えめでお得感大、それでいてちゃんと和食のコースをいただいたという充実感があります。「室町和久傳」のお料理を彷彿させるものが多くありますが、野口さんなりの工夫をしていらっしゃることもよく伝わってきました。東京から訪れる人にでも、地元の方にでも、どなたにでもお薦めできる今万能のお店だと思います。コース料理は前日までに要予約です。
21_23「御幸町 つばき」 京都市中京区御幸町三条上ル丸屋町318-3 電話075-211-3938 12:00~14:00LO、17:00~22:30LO 火曜休み 昼夜ともに予約が望ましいです。サイトはこちら



T_logo_22そうだ 京都、行こう。京都はやっぱり和食の都です! 若い気鋭の料理人が続々と育っていて、いいお料理で幸せにしてくれます。週末にちょっと気分転換、「のぞみ」に乗って京都に行きましょう!

2006年10月 5日, dans 京都 和食06後半 |

2006年10月 2日 (月)

■佐々木さんのお菓子レッスン@ミディ・アプレミディ


昨日10月1日、新店を華々しくオープンなさった「祇園さヽ木」の佐々木浩さん。新店のご準備で休まれていた9月も、忙しくされながらもやはり勉強熱心な日々をお過ごしでした。若いスタッフをいくつかのお店にスタージュに出して、ご自身はお菓子のレッスン! ちょっと見られない画像をお見せいたしましょう。
1_1472_1453_1304_1145_986_857_768_659_559月のある日、佐々木さんは津田陽子さんの「ミディ・アプレミディ」でなんと個人レッスンを受けています! 佐々木さんも奇蹟のロールケーキ、フロールの大ファンなのです。「陽子ちゃんにお菓子習うもんね♪」と佐々木さんが言い出して何年になるでしょうか。新店準備期間の今回、長年の夢がやっと実現したのです。●まず作るものについての説明を受けています。陽子さんは的確に手順を伝えます。●DVDで基本の生地作りのポイントを学びます。陽子さんの手元を同じ側から撮った、「ミディ・アプレミディ」が誇る画期的な教材です。実はこの動画を撮ったのはハリー中西、愛想は救いようがなく悪いが写真はとんでもなく上手なカメラマン、動画を撮ってもまた比類なき才能を現わしたのでした。●実習は陽子さんが横で同じ作業をして教えています。至れり尽くせりのレッスンです。●どのプロセスも、さすがトップの料理人、注意深く一度聞いたら即、手が陽子さんと同じように動いて、どんどん形になってゆきます。ポイントポイントが、懇切丁寧に教授されていました。まわりも固唾を飲んで見守りました。圧倒的人気を誇る稀代のパティシエールと、飛ぶ鳥バサバサ落とす勢いの天才料理人が教え教えられた貴重なひと時。さて、この続きがどうなったかは、ある誌上で公開いたします。少し先になりますが必ず告知いたしますので、どうぞお楽しみに!!

ユニークなお菓子教室が京都にはあります。よそにはない京都ならではの洋菓子を習いに、「のぞみ」に乗って京都に行きましょう!

2006年10月 2日, dans 京都 スイーツ京都 和食06後半 |

2006年10月 1日 (日)

■祇園さヽ木 移転オープンおめでとう!


SasakisanSasakisan2本日10月1日、「祇園さヽ木」さんが建仁寺近くに移転開店なさいました。おめでとうございます! お祝いのお花にあふれて、すばらしいスタートを切られたことと思います。開店に先立ってお伺いした時の写真をお見せします。
1_1462_144カウンターは椅子席になって、16席です。カウンター板はマホガニーで、10メートル以上あります。幅も広くゆったり食事ができます。そして、今回の移転に当たって何か目玉をと、佐々木さんが導入したのはピッツァ釜です。クレーンで吊り上げての設置と大変に大掛かりなことだったようですが、真ん中で燃え盛るピッツァ釜は存在感を放っています。これからどんな焼き物がメニューに加わるのでしょうか。
11_6512_6013_42佐々木さんと二番手の木田さんが釜の点検をしています。消防署の認可が出るまで時間がかかったといいます。そして、真新しい檜のまな板にも注目してください。この分厚いこと! なんというゴージャス感でしょう。カウンターの奥には小さな坪庭をはさんでお部屋があります。テーブルは8席、落ち着ける雰囲気です。
Zashiki1Zashiki2Zashiki4Zashiki32階は違う入り口から入れて(=顔がささない)、お座敷席があります。掘りごたつ式の畳のお部屋です。古いおうちを改装なさったわけですが、細部まで丹念に作られたいいお宅だったそうで、大工さんはできるだけ残せるものを残すようにとおっしゃったそうです。欄間が美しかったので尋ねると、「迎賓館建設の時に余ったものを利用した」とか! 窓の外には建仁寺の伽藍が見えて、見事な借景となっています。「借景、すごいね」と言ったら「いや、借金すごい」と佐々木さんは間髪を入れず返してきたけれど、でも何億円かの借金、できることがかっこいいい~~!!!!!
21_2222_1823_10カウンターとテーブル席の間の坪庭はこんなです。そこで、お顔写真の撮影です。こんな新店を立ち上げて、ひたすらすてきだと思うのですが、「心臓バクバクや」とおっしゃるのです。いいや、不安なことなどありません!! さらに破竹の勢いで佐々木さんは進みます。
Noren3Noren2Noren1エントランスはこんな感じです。階段を上がってゆくのです。完成早々のある日、撮影させていただいたのでした。
Sakeこのたびの移転オープンを記念して作られた松竹梅のお酒「祇園さヽ木」。美しい空間でこれからパワフルなお料理を引き立ててゆくのです。
「祇園さヽ木」 京都市東山区八坂通り大和大路東入ル 電話075-551-5000 昼夜営業、ひと月前から予約受付。





飛ぶ鳥落とす勢い、泣く子も笑う今最高の祇園の割烹へ、「のぞみ」に乗って行きましょう!

2006年10月 1日, dans 京都 和食06後半 |

2006年9月27日 (水)

■パティスリー エクスキーズ


1_1412_1393_1284_112開店からおよそひと月、8月31日にオープンした「パティスリー エクスキーズ」のご紹介をします。京都でもさまざまなパティスリが開店していますが、中でもこちらは本当に久しぶりの、トップレベルのお店です。まずシャンデリアが吊るされた店内が美しいです。入って正面には彩りよく生菓子を収めたショーケース、窓際のイギリスのアンティーク家具の上には香ばしい焼き菓子が並んでいます。ちょっとしたプレゼントにすてきなクッキーも、華麗にプレゼンテーションされています。さらに店主の浅見倫子(ともこ)さんがパリで食べ歩き、買い集めたお菓子の粋なパッケージや缶などが店内の雰囲気作りに役立っています。
11_6112_5613_38生菓子では繊細なムースが優美な口当たりでおいしいです。こちらは赤いフランボワーズのムースです。ショコラのムースも、もう本当にうっとりする香りと深い味わいです。そして、ケーキひとつひとつの名前を、自作の小さな黄金色の額縁に入れていたりと、見せ方も凝っています。焼き菓子のおいしさも格別です。いい素材を惜しげなく使っていることが香りだけでもわかります。「焼きたてをどうぞ、」とマドレーヌをひとつ手のひらにのせてくれました。熱々で、リッチな香りに包まれてすっかり幸せな気分になりました。
21_1822_1523_9店主の浅見倫子さんはリボンが大好きなのです。お店作りに当たって、何がなんでも「シャンデリアとたっぷりのリボン」だけは欲しかったそう。それでこんなに多種多彩にリボンが揃っています。リボンだけでなく、小さな造花やビーズ飾りのための材料がいろいろ見えていました。お菓子の箱もいずれオリジナルを作っていきたいということです。
31_1132_6たとえば赤いリボンで飾ったら、こうしてミニローズをあしらってくれます。なんとも愛らしいpaquet-cadeau、プレゼント包みです。

41_1パティシエールの浅見倫子さん。幼少の頃からお菓子作りが好きでしたが、「ミディ・アプレミディ」の津田陽子さんの教室に通って初めてお菓子作りの本当のおもしろさに目覚めたと言います。そして「津田先生と同じところ」を目指してパリのコルドン・ブルーで学んでディプロムを得て、名店「ラデュレ」でみっちりスタージュをしてきたという希望の星です。物静かでしとやかなのに、芯が強くてやりたいことは明確、これからめざましい発展をしてゆくに違いない人です。
「パティスリー エクスキーズ」 京都市中京区木屋町三条上ル上大阪町518 電話075-757-4963 11:45~20:45 年内は休みなしで営業 (木屋町通を三条から上がって、初めて東に入れる路地の中ほど、南側にあります。「河久」さんを目指してください。)
1_1432_142浅見倫子さんは隣接している和食の名店、「河久」のお嬢さんなのです。料理屋さんに生まれ育ったから、「食べ物には意地汚いです」と笑います。絶対においしいものでなければ許せないのです。おいしいものに囲まれて育ち、おいしいものを追求する人生。才能はちゃんと生まれるべき家を選んで生まれて来るのです。わたしは取材後に、すごく久しぶりに「河久」さんに伺って満月弁当をいただき、ご両親や兄上にもご挨拶いたしました。すばらしいお嬢さまです! と言わずにはいられなかったのです。
11_6212_5713_3914_3115_2521_1922_1631_12満月弁当の部分拡大写真もお見せします。3150円で、お味よく、ボリュームもあります。お味噌汁と、デザートも付きます。土瓶蒸しはごちそうになりました。感謝<(_ _)>

「のぞみ」に乗って、繊細優美なフランス菓子を食べに京都に行きましょう! おみやげには素朴で味わい深い焼き菓子をたっぷりと!

2006年9月 27日, dans 京都 スイーツ京都 和食06後半 |

2006年9月23日 (土)

■割烹いいもり


1_1362_1343_1234_1095_946_827_738_629_5310_4611_5712_52どっかーんと新鮮な魚を食べさせてくれる、魚介尽くしのおまかせ料理の「割烹いいもり」です。ご主人の飯森裕一さんは富山の魚屋さん出身ゆえ、絶対においしい魚でお客さんをもてなしたいのです。場所も、最近ちょっと周辺ががさっとしてきたとはいえ、たまらなくいいところです。祇園町北側の奥まったお店、わたしにとっては非常に懐かしいところです。その話は後ほどするとして、お料理です。夜の8000円のコースより、●先附。秋鯖と白ばい貝に、土佐酢ジュレ。酸味でさっぱり始まりました。●お椀は香ばしい道明寺に小かぶらに松茸、くちこ。菊花がひらひらときれいです。●長皿に、どどーんとお造りです。2人前の盛り付けで、鯛、秋刀魚の焼霜、甘海老、帆立、剣先いか。とろと白海老は寿司仕立てです。ねっとり甘い白海老とか、香りのいい秋刀魚とか、たまらんおいしさです。冷酒とよく合います。ひたすらお魚を堪能します。●胡麻豆腐と汲み上げ湯葉の蒸し物、エリンギ。生ものの後にとろりと優しいひと品です。●のどぐろの塩焼きにからすみ添え、ガラス皿は、小松菜としめじと大徳寺麩の煮びたし。のどぐろはこの時期にして旨み強く、自家製からすみ、柔らかで塩気がおだやかでおいし~い! ●ぐじの中骨でとったおだしの鍋は、ばさっと水菜があしらわれて出てきます。あわびとぐじ、薄くて繊細美味な松山揚げ入り。●穴子ご飯は山かけで。●水茄子の漬物も自家製。●最後にきなこアイスクリーム、プリン、梨、柿の盛り合わせ。白ワインのジュレと。この充実の内容でこのお値段は控えめです。たった5席のカウンターで、本当に焼きたて、切りたて、できたてを数秒で目の前に供されるというのもすてきです。細い路地のアプローチも雰囲気も祇園そのものでいい感じ。とりわけわたしにとってひどく懐かしいのは、ここはかつて「祇園さヽ木」がスタートした場所だからです。初めて伺った時、5席のカウンターで、佐々木さんがすぐ目の前にいらして、めちゃくちゃに威勢がよくて、ダイナミックな料理を出されるなあとびっくりしたものです。今でこそ、食事だけはお金のことも考えずにどこにでも出かけますが、10年前は一度の食事にひとりで2万円って、やっぱりかなりなことでした。それでも、これ絶対食べ続けたいと思ったのが「さヽ木」さんのお料理だったのです。まさか後で食の編集者とかライターになるなんて思いもしなかった頃に、お金全部使ってもとにかく京都に通おうと思わせてくれた「さヽ木」さん。その後、すぐ近くに引っ越されて倍の10席となり、それでもさらに取り難くなった予約をなんとか確保しては毎月通いました。その「さヽ木」さんだった物件も今は空。10月1日、建仁寺そばに移転オープンされるからです。めざましい発展! 10月1日、解禁になればそちらの新店情報も速報いたします。で、「いいもり」さんに話を戻すと、佐々木さんの豪快さとはまた違い、とても誠実なお仕事をされています。ほっこりいいものをいただいたと感動させられるコースです。お昼がまたすごいです。夜とほとんど変らない内容で4000円です。何度かいただいていますが、このお料理でこのお値段でいいの? というほどのお得感でした。
22_1421_16「割烹いいもり」 京都市東山区祇園町北側347-100 電話075-533-3030 17:30~20:00LO 昼は3日前までの予約で営業 日曜休み 昼夜ともに要予約 予算 は昼4,000円~、夜6,500円~(税サ別)



31_1033_434_4一緒に出かけた「リビング京都」の藤田晶子さんといつもの「カルバドール」に移動してきました。今日も晶子ねえさまはおしゃれです。思わず目を引かれるお洋服に小物いろいろ、ついつい「どこで買った? それの赤なかった? なんぼした?」と聞かずにはおれません。わたしは、がんばって秘密にしているのですがやっぱり大阪人なのでした。 赤いジャックローズのロング版をまずいただき、(晶子ねえさまはウオッカとグレープフルーツのカクテル、)それからシャルトリューズのカクテルをいただいてすっきりさわやかに♪ さわやかになったところで、「津田会」(というのがあるのです)の帰りと、津田陽子さんや柏木由紀ちゃんたち4人が入ってきて隣に座ってしまったからひと騒ぎ。そうこうしているうちに陽子さんが呼び出した「室町和久傳」緒方俊郎さんも加わりました♪ 「カルバドール」の店主・高山さんはいつもすらっと美しくスタイリッシュだけど、緒方さんが初めてこのお店を訪れた時、何て言って迎えたか発表しちゃいましょうか? 「いらっしゃいませ、京都へはご旅行で?」 あああ"~。  私服でいらしたから、「和久傳」の若き俊英とは認識できなかったのですね。でもその後、緒方さんもこのお店をとても気に入られたようでよかった☆

富山の海の幸が京都で堪能できます! お腹を空かせて「のぞみ」に乗って、京都に行きましょう!

2006年9月 23日, dans 京都 和食06後半 |

2006年9月10日 (日)

■祇園さヽ木 8月


1_1192_1183_1114_1025_856_757_678_579_4910_4211_4612_43予告まで出しながらアップするのが遅くなりました。伺ってから2週間近くたってしまいました。祇園町北側のお店は9月3日までの営業で移転準備に入り、8月末に伺ったこの時が、わたしにとってはこのお店での最後の食事となったのでした。●梅のジュースがベースの冷たい先附。貝柱、名残のじゅんさい。梅のジュレが口当たりよくていい香り。しゃりしゃりと山芋やきゅうりのさいの目切りがアクセントです。●「ただの枝豆とちゃいますから」と枝豆。香りと甘みがすごかったです。●毛蟹と海老。のたうちうまい。(海老はあわびの替え)。●お椀の柄は夏仕様の朝顔。●すっぽんと冬瓜のお椀。濃厚なスープです。一番だしで少し割っています。●たこの柔らか煮。●まな板皿でどーんと向附。太刀魚、鯛、車海老、とろ寿司。●3人で行ったので、わたしにひとり分の盛り付けです。海老を初めにいただいているので、その分をうにに差し替え。●中とろのヅケ。●海老の頭を焼いたもの。●ぐじ焼き、ぎんなんと。ぐじ、すこぶるうまい。これひと皿のためだけでも来てよかった!
21_1122_823_524_425_226_227_228_1コースの中盤です。強烈な魚の美味が続いた後で、●ほっとする野菜のひと皿。南瓜ピュレを固めたものに、白ずいき、茄子、鷹ケ峯とうがらし。なにげなく見えるひと品ながら、ものすごいおいしさでした。●おばけのように大きな松茸です。●大きさがわかるように、お隣のお客さまのビール瓶を借りました。巨大な松茸です。●この松茸を、目の前で切って鍋に投入。ダイナミックな料理ぶりをカウンターの客全員で注目します。●目の前で作られた、鱧と松茸のお椀仕立てです。この組み合わせのお椀自体は珍しくないのですが、これはとんでもなくおいしかったです。できあがるまで刻々と見つめて期待が高まった上、佐々木さんの気合が入っているからです。
31_632_433_134_135_136_137_138_139最後のお楽しみ、ご飯です。●秋の、秋刀魚ご飯に当たりました。ラッキ~~! おいしそうに焼けた秋刀魚がご飯の上に整然と並んでいます。「198円の秋刀魚やろなんて言わんといてや~~」と言いつつ、全員にプレゼンしてまわる佐々木さん。ほぐして、大根おろしを混ぜ込み、すだちをかけて、必ず佐々木さんご自身でよそってくださいます。この時いい子にしていないといけません! 5分遅れた、ちょっと騒々しくした、そんな理由で「あんたには白いご飯な」「今日はロー○ンのおにぎりやで」と何度言われたことでしょう。いつも一膳でお腹いっぱいなのに、秋刀魚ご飯、あまりにもおいしくてお代わりしました。●お漬物も抜かりなくおいしいです。水茄子は食べたらまた補充されて・・・いくらでもいただきます。●不思議なデザートでした。白いのは、杏仁豆腐・・・ではなくて、杏仁風味のわらび粉のとろとろ。それがかかった桃と巨峰。夏の桃と秋の巨峰の出会いもんです。●佐々木さんは今日もほがらか、ようしゃべります。盛り上げます。食事以上に、これがこの店のよさなのです。●このお店とも今日でお別れです。
本当に毎月毎月、幸せにしてもらいました。こちらに伺う日は朝からうきうき、取材であちこち回る日でも、できるだけ試食で胃をいっぱいにしないように気をつけて、体調万全、お腹激空きで臨めるようにいたしました。季節ごと、お椀はどんなかしら、ご飯は何かしらと楽しみでした。単に食事をするというのではなくて、オペラにでも行くような感じ、2時間ほどの時間をすべてすっかりゆだねて、全部忘れて楽しみました。そして感謝したいのは、毎回一緒に行ってくださった人たちです。何度も一緒に食べた人もいるし、自分のお店の営業を休んで来た人もいたし、あるいは営業時間を変えて参加した人もいました。東京からの来客を迎えたことも度々です。誰かの誕生祝いをしてあげたこともあるし、わたしが誕生日をしてもらったこともあります。いずれも、ここでの幸せな時間を共有した、特別に大事な人たちばかりです。みんなありがとう<(_ _)>
40いつもの「カルバドール」に移動してきました。ミチさん、カズヤさんと一緒です。そう歳が離れているわけでもないのに、この人たちといると両親に愛されているひとり娘みたいな気分になってすっかり安心です。この方々が日本からお仲間の皆さんと出かけたインド旅行の話がおもしろかったのです。●インドでは、都市部でも、そこらじゅうに野良の動物がいる。●とりわけ野良牛や野良山羊が多い。●たとえば四条河原町みたいなところで、道の真ん中にどーんと野良牛が寝そべってたりする。そのため渋滞もするが、どうしようもない。●犬はインドではかわいい動物ではなく、会った犬のどれもが貧相で、生きてて申し訳ない、という風情だった。●かわいくてなつこいのはむしろ山羊で、首にリボンを巻いて大事にされている山羊にも遭遇した。犬よりも山羊を日常的にかわいがるって・・・想像しにくいのだけど、さすが違う国なんですね。

2006年9月 10日, dans 京都 和食06後半 |

2006年9月 4日 (月)

■せせらぎすへら


1_1122_1113_104祇園の縄手通と川端通をぶち抜く形でアルミの外観のスフェラ・ビルはあります。縄手側、川端側どちらにも入り口があり、上の外観は川端側からのものです。「せせらぎすへら」という風が吹き抜けるこのひろーいスペースで、きちんとした和食がいただけるなんて考えられるでしょうか。長らく赤チャリで前を突っ走りながら、不思議なスペースだなあと思っていました。それが昨年夏に初めてお茶を飲みにお邪魔してみて、これは雰囲気ばかりのお店ではなくて本気でやっていらっしゃるんだとわかり、(認識するのが遅かったです、)改めて食事にも伺いました。そして充実ぶりに驚いて即、まずカフェとして「dancyu」で、そして和食店として「あまから手帖」で取材をさせていただいたお店です。

11_4312_4113_2814_2415_2016_1817_1418_1119_1120_9お昼は「正午の茶事」、11:30~14:00にこんなお料理がいただけます。少し前までコース仕立てのお昼がありましたが、今は「せせらぎ点心」1800円と、それにお造りなどがつく「せせらぎ膳」2600円の2本立て。これは9月のあるお昼の「せせらぎ膳」です。●赤チャリで到着後、まずペリエ。●真俯瞰だとこんなです。●お造りはよこわにつぶ貝、生湯葉、ルッコラ添えです。●丸いお重に、一段目には取肴がいろいろ詰められています。ずいきの胡麻和え、田楽、だし巻き、万願寺唐辛子、れんこんととうもろこし揚げたのなどなど、どれも見事にお味が決まっていました。●二段目にみょうが御飯。これがまたみょうがの香りとしゃりしゃりした口当たりがよくて、これだけ何杯でもいただきたいような御飯でした。●赤だしはお揚げとじゅんさい入り、山椒の香りがばっちり効いてました。●きゅうりと大根のお漬物に、●じゃことしば漬を合わせたもの、これもシンプルながらおいしかったです。●デザートに、葛きり。黒蜜が絡み、きな粉がいい香りです。カフェならではのメニューということであれこれ制約もおありでしょうが、それでも料理長の西村清伸さんは本当にきちんとしたお料理をしていらっしゃいます。さらにサーヴィスのスタッフの方も非常に親切です。ほんと、お店って外見だけで判断してはいけません。こんなハコでこんな内容という意外性、カフェの風情でこれだけのお料理を出していらっしゃるのがすごいです。

21_822_523_224_2和食のおいしさと並んで、こちらの大きな売りのひとつに「嘯月」のお菓子がいただけるということがあります。予約をした上で洛北のお店に行くしかない(いきなり伺っても店頭にお菓子はありません、)茶事用の生菓子がこのスペースで味わえるのです。●木箱ごとプレゼンされて、●中には3種類の生菓子が収められています。「想いぐさ」「涼風」といった銘の麗しいお菓子です。●お薄と共に、こぼれ花というのをいただきました。初秋の萩の花を表現したものです。餡がきめ細やかでいい香りです。「嘯月セット」は1100円、1日10~20個の限定で、これを目指して出かけるなら予約が確実です。

31_332_21階にはスフェラ・ショップがあります。デザインの美しい家具やオリジナル洋食器やキッチンツールのお店です。スフェラモチーフのオリジナルの手ぬぐいはちょっとしたおみやげに素敵です。4色あって各525円。わたしはもちろん赤をいただきました♪
「せせらぎすへら」 京都市東山区縄手通り新橋上ル西側弁財天町17 電話075-532-1070 11:30~13:30LO、17:30~20:30LO止(懐石コース)、22:30LO(一品料理)、喫茶は11:00~22:30LO 水曜休み

2006年9月 4日, dans 京都 カフェ京都 和食06後半 |

2006年9月 1日 (金)

■祇をん ちんねん


1_1072_1063_1014_955_796_737_648_559_4710_4011_4212_4013_2714_2315_1916_17籠城明けの夕食に、お味噌屋さんの利子さんと「祇をん ちんねん」にお邪魔しています。利子さんこそこの隠れ家のようなお店を教えてくれた人で、伺ってコースを一度いただくなり感激して即取材をお願いしたのが1年少し前のことです。このサイトでは6月1日にも一度ご登場いただいています。酒肴が3品、●まずはガラスの器で登場し、●中はくらげといくら。●まん丸の蓋物に、●汲み上げ湯葉とうに。●羽根形の器に、おくらと蒸しあわび。●お造りはこんなスタイルで。●平目ととろ、五山のモチーフのお皿です。●どーんと伊勢海老の炭火焼き。ミソもおいしい!●コースに組み込まれている祇をんなべ、夏は鱧です。豆腐、水菜、松茸。●鱧しゃぶをします。オプションですっぽんスープ仕立てです。●最後はうどんを投入し、●ぐつぐつになったら引き上げていただきます。●デザートにさっぱりとマンゴーとパッションフルーツのソルベ。●白ワインはこれでした。●赤い提灯と「炭火割烹」の暖簾が目印です。ご主人の増田貴友さんは言葉数は多くないけれど、段取りよくささっと調理してはにこにこと食べるわたしたちを見守っていてくださるという感じで、おいしいお料理と温かな人柄で和ませます。カウンター6席の小さな作りが心地がよく、1卓のお座敷部分は先日から掘りごたつ式に改装されていて、お店をよりよくしようというご主人の気持ちが店内にあふれています。また、増田さんのかつての修業先は洋食、フレンチ、高級寿司店など多岐にわたり、それが今のメニューの幅の広さに結びついています。酒肴は気が利いており、伊勢海老の焼きものは禁断の旨さだったし、すっぽんスープのお鍋にも深く満足しました。締めのうどんがまたたまらんおいしさでした。和メニューだけでなく、実はハンバーグも作るし以前客に乞われてスパゲティを出したこともあると。柔軟でいらして、客の望むことをどんどん実現してはメニュー数を増やしているようです。上の写真の料理は「ちんねん」さん基本の6000円コースです。だしをすっぽんに、などのオプションをつけていただいているので、実際の値段はもう少ししていますが。でも1万円以下でこれだけのお料理がいただけるのは価値があります。最近では「ひと通り食べて飲んで1万円くらいでお願い」という注文をされる方が多いとか。祇園で2万3万のお料理を食べ慣れている方々が、ごく気軽においしいものをいただけるお店として使われているのですね。
「祇をん ちんねん」 京都市東山区祇園町南側570-123 電話075-561-5288 18:00~21:30LO 日曜休み

2006年9月 1日, dans 京都 和食06後半 |

2006年8月19日 (土)

■御幸町 つばき/オステリア・バスティーユ


おいしくてお得で、大切なお昼のひと時を幸せに過ごせるお店を2軒。
まず「御幸町 つばき」。7月1日に料理長が野口大介さんになられてから一度夜に伺い、非常に好感を持ちました。オーナーの小峯充靖さんの接客もとてもこなれて、感じがいいのです。初出はこちら。お昼はおきまりのみです。楽しみに出かけました。
1_932_933_884_795_696_657_578_50●お昼は2コース、この日は「かぐら」をいただいています。一部お皿の内容が変更になっています。●蓮根豆腐 辛子割醤油 ●鱧の落とし 梅肉ソースで ●賀茂茄子 揚げ煮、上に大根おろし ●すずきの唐揚、パリパリに揚げたたでと ●丹波地鶏とごぼうの炊き込みご飯 ●おつゆとお漬物がついて、●トマトのコンポートは定番デザートです。これで2630円、ご飯はひとりで伺ってもお客さんごとに炊きたてなのです。なんだか申し訳なかったような気もするほどお得でおいしいお昼でした。スタッフの皆さんが若くて気合が入っているのも清々しいです。昔はひたすら大人なもの、老成したものにしか目が行かなかったのに、年々自分が歳を取るほどに(*_*)、若い勢いはすばらしい! 絶対応援するから頑張って! と、ない胸も痛むほど思うようになりました<(_ _)>
9_43「御幸町 つばき」 京都市中京区御幸町三条上ル丸屋町318-3 電話075-211-3938 12:00~14:00LO、17:00~22:30LO 火曜休み 昼夜ともに予約が望ましいです。

オステリア・バスティーユ」、何度かお話しした、大好きなお店です。こぢんまりしているのだけど居心地よくて、お料理おいしい+サーヴィス的確+お値段控えめといいこと尽くめ、はやるに決まっています。しばらく前のお昼に、山科の33年来の親友Rと行きました。くつろいで、楽しかったお昼です。
2_923_874_785_671_92日替わりプレートランチ900円より、茄子で巻かれた豚挽肉のテリーヌ(これはオプション) ●自家製パン、塩気が効いてワインに合います。ワインこの日は飲まなかったのだけど。●スープは+400円で注文できます。この日はコーンポタージュの冷製。これが感動的なお味でした。枝豆と生ハムが風味を添えていました。 ●メイン料理、若鶏のソテー プロヴァンス風。外パリパリ、中はふんわりしっとりの鶏。ハーブの香りも効いて、熱中して無言でいただきました。サラダもリゾットもたっぷり添えられています。リゾットといってもお米ではなくて、エブリ麦というものです。皿まで舐めたいほどおいしかった♪ これが千円しないでいいのでしょうか?? この日はふたりとも急いでいたのでカフェもデセール(いつものブランマンジェ)もいただかずにおいとましてしまいましたが、それでも思い出したらしみじみおいしかったな~、とうれしくなるお昼でした。
「オステリア・バスティーユ」 京都市中京区蛸薬師烏丸東入ル北側 メゾン高見1F  電話075‐222‐0788 11:30~14:00LO 土日祝~15:00LO、18:00~21:30LO 火曜休み 昼の予約は2500円以上コースのみ可、夜は予約を。全席禁煙◎

2006年8月 19日, dans 京都 フレンチ京都 和食06後半 |

2006年8月10日 (木)

■陶然亭


1_782_813_774_675_556_537_478_439_3710_3311_3312_31東京から扶桑社の編集者である坂口明子さんがいらっしゃいました。「春京都」「夏京都」と続く京都ムックのシリーズの秋版、「秋京都」の撮影のためです。わたしは「夏京都」以来お世話になっていますが、明子さんというお名前の通り、とても朗らかで感じがよくて、一緒にいると楽しい気持ちになれるのです。この夜は、「秋京都」でランチ取材をさせていただいた「陶然亭」で、1万円のコースをお願いしました。
●冷製の先附、ずいきと海苔のおひたし、上に海ぶどう ●向附はとり貝、鱧、あこう ●冷製茶碗蒸し、鱧と松茸 ●賀茂茄子と小芋、新れんこんと糸うり、あんかけ仕立て ●ぐじの梅だれ焼き ●生姜の風味豊か、渡り蟹の具足煮 ●新ごぼうのおかき揚げ ●お漬物もおいしくて ●鱧のお茶漬けで締め ●デセールにクレームブリュレ。
夏らしく冷製のもので見た目も涼やか、気持ちも体温もクールダウンした後に、どんどん盛り上がって、だしのおいしいお茶漬けでしみじみ美味に締めるというバランス最高のコースでした。どのお皿も、上品で、静かに、しかし確実においしいのです。これはひとえにご主人の渡邉敏朗さんのお人柄なのだと思います。もの静かで、とても仕事熱心でいらして、技術も確か。騒ぐことなくすっとおいしい皿を差し出して食べるのを見守っていてくださるという感じで、わたしはこういう方に頭が下がります。というかかなり反省します(苦笑)。
わたしの仕事、きちんと取材を終えて原稿ができてナンボなのに、アポ入れがきれいにできたというだけでスケジュール表を誰かれなく見せてまわって「すごいでしょ~すごいでしょ~、わたし天才でしょ~~!」と、取材をする前から大騒ぎして褒めてもらいたがる・・・(-_-;)・・・恥ずかしい。でも40軒とか50軒を、限られた取材日数内でアポを組んだ時はすごい達成感があるのです。みんなわかってね。いつも無理を聞いていただくお店の方々、本当にありがとうございます。
で、「陶然亭」さんのお料理に話を戻すと、先附は軽やかで爽やか、お造りもたっぷり、鱧は落としでも焼霜でもなく生でごく細く造ってあって食べやすくて美味、次の茶碗蒸しではまた違う食感で鱧が登場してうれしく、あつーいお椀がわりのあんかけは糸うりやれんこんがシャキシャキと、茄子や小芋のとろっとした食感といいコントラストでした。ぐじ焼きはひたすら香りよく旨み強く「陶然」とする味、渡り蟹は押し黙って没頭していただきました。おかきをまぶして揚げたごぼうの旨みときたら、思わずどうやってこのお味を? と尋ねてしまいました。鶏と炊き合わせてごぼうに旨みを染みこませているとのことで、「その鶏はわたしが食べてます」とご主人がおっしゃったので一瞬笑いました。最後のお茶漬けは細かく刻んだ紫蘇の葉や強めに煎った胡麻がいい香り。おだしがかかってはんなりと開いた鱧は、先の造りや茶碗蒸しの具の鱧とはまた違う食感ですてきでした。本当においしい、いい食事をさせていただきました。店内に「唐長」の唐紙がふんだんに使われているのも華麗です。料理屋さんが連なる通りとはあえて何筋か離れた新門前通にお店を構えていらっしゃるのもまた、格別の風情と思うのでした。
Lexterieur_9「陶然亭」 京都市東山区新門前通大和大路通東入ル西之町227-3 電話075-561-8024 11:30~13:00LO・14:00閉店、17:30~21:00LO・22:30閉店 日曜と月曜の昼休み 要予約 昼3000円~、夜5000円~。

2006年8月 10日, dans 京都 和食06後半 |

2006年8月 7日 (月)

■祇園にしむら


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東京から同業のタケシさんが秋の京都の取材にいらっしゃいました。この人とは東京で会うことはほとんどなくて、時々京都で会っては夕食→飲みとなる友人です。一緒においしく食事するまではいいんだが、お酒が入るほどに本領発揮で陽気になりすぎるのが問題か?? ともあれ、彼と一緒ならとびきりおいしいお店を選びましょう。迷いなく「祇園にしむら」さんでの夕食となりました。
●胡麻豆腐 ●鱧と松茸のお椀 ●向附は鯛とトロ ●名物鯖寿司 ●酒肴のお皿、○枝豆ととうもろこしの天ぷら ○子持ち昆布 ○干瓢酢味噌和え ○鱧の子 ○いんげん豆の胡麻和え ●鱧玉子とじ 松茸、ねぎ、三つ葉、春菊、下に玉ねぎ ●あわびの肝 ●箸洗いのお椀、あわびと帆立しんじょう、下にわかめ ●万願寺唐辛子と賀茂茄子の炊き合わせ ●鯛茶漬け ●お漬物も全部自家製 ●ほうじ茶をいただき、 ●マンゴーと桃 ●熱々でなみなみと玉露 ●精悍な西村元秀さん。
ひと皿ごとに、「なんておいしい」「今まで食べてきたものは何だったのか?」というフレーズが頭の中をぐるぐるしました。どれも何の衒いもないのに、実に味が深くて旨い。ジミというのではないのだけれど、全然奇抜ではない、非常にまっとうなものを、99とか100%の旨さでもって出してきてくださるのです。胡麻豆腐はすべらかでただただ心地よくいただき、鱧と松茸のお椀は、鱧がまろやかな口当たりで明らかに他と違っていました。吸い地の味わいときたら、これ一生飲み続けていたいと思いました。お造りもまず見て美しくてシンプルにおいしい。包丁技ですね。鯖寿司は鯖の絶妙な締め加減に寿司飯との相性のよさも完璧(この時期ならではの締め方の塩梅があるのでしょう)。酒肴いろいろも楽しかった♪ 新作・鱧の玉子とじも、おだし・鱧・玉子・松茸と野菜がそれぞれの味を引き立てていて絶句しました。そしてあわびの肝! 酒蒸ししたあわびを漉して塩と醤油だけで味付けた、とかる~く西村さんはおっしゃるのですが、ちょっとこの犯罪的なおいしさ、のたうってしまいました。お箸ですくって舐めては冷酒を飲んで、わたしは大酒飲みではないけれど、「後は野となれ」な気分になってこの肝を味わいました。最後はこのお猪口に冷酒を注いで飲んだのでした。で、箸洗いの小さなお椀ですが、あわびがどーんと入って迫力の味、おだしに貝の味が染み出してまた倒れそうな美味。ちょっとヤバいおいしさの後にはすっきりと万願寺唐辛子と賀茂茄子がきて、これがまた野菜の味をそのまま生かして、ジミなのにハデに旨いという矛盾を感じさせる皿でした。続く鯛茶漬けの、またとてつもないおいしさ・・・。昆布締めにした鯛には胡麻だれが絡み、張ったおだしが圧倒的に味わい深かったです。「おいしいおいしい」って、ライターとしてはアホなフレーズで、原稿に書いたら許されないのだろうけれど、でも「おいしい」を連発するしかないコースだったのです。どの皿も非常に大人な味で、けれんなくぴたりと決まり、「これ以上のものはないだろう」と思わせてくれました。最後の、玉露が熱々というのも新鮮でした。低温で味わうはずのお茶なのに、熱くて極上のお茶の香味が楽しめて、お抹茶で締めるのとはまた違うインパクトがありました。非常に満足。店主の西村元秀さんは29歳でこのお店を持たれたというのだから、(そして初めから老成した料理を作っていらっしゃいましたから)本当にすごい方です。天邪鬼とか異端児とか言われるけれど、「人とつるまずわが道を行く」スタイルなわけで、話せば気さくだし言いたい放題を聞くのは楽しいし、料理に対する考え方は非常に真摯だし研究熱心だし、わたしは西村さん大好きです。年齢的には彼の方が年下というのに、昔からこちらの料理をいただくたびに大人の味、ずっと年上の人が作る味と思えてしょうがなくて、今も何だか年上の、すごく腕の立つ輝かしいお兄さんという気がしています。
Lexterieur_8 「祇園にしむら」 京都市東山区祇園町南側570-160 電話075-525-2727 17:00~21:00LO 日曜休み(4月は営業) 要予約。

2006年8月 7日, dans 京都 和食06後半京都 祇園にしむら |

2006年8月 6日 (日)

■京料理 修伯


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東京から「フィガロ・ジャポン」の編集者であるアサカちゃんが来ています。長年お世話になっていますが京都特集で組むのは初めてのことです。和食なら断然「修伯」を! という希望。暑い中で秋の料理の撮影の後、東京にいる時のスタイルそのままにおしゃれなアサカちゃんが現れました。お腹激空きで来たかな?
●カトラリーがセットされて、●フォアグラとあわびが、ぶどうの香りの板状のジュレですっぽりと覆われています。 ●トマトとかぼちゃと冬瓜、野菜のジュがしみだしただしに浸されています。 ●グラスで白ワインを所望したら、こんなに選択肢がありました。●お椀。鱧の骨とふかひれでとっただしに、胡麻豆腐、おこぜ、ふかひれ、松茸。大ボリュームです。●鮎の焼き寿司。塩がばしっと効いたパリパリの骨せんべいと共に、めちゃくちゃに香ばしい鮎。●炭火焼きのとり貝も巨大です。オーストラリアのピンクソルトとすだちで。●造り。鯛昆布締めにいさき、●口入れるなり溶けるトロ ●からすみの下には焼きうに! ●とろりと美味な海老 ●賀茂茄子とラングスティーヌ、香りのいいあんかけ仕立て。 ●すっぽんスープ、コンソメを少し加えて味わいをより重層的に。 ●みようがとお揚げのご飯に、山椒の香り豊かな鱧を載せてお茶漬けに。 ●デザートは好きなものを好きなだけ。●アサカちゃんは桃のパルフェに ●マンゴーの天ぷらなど3種類を選び、 ●わたしは抹茶ソルベをのせた白いんげんのお汁粉をいただきました。
「修伯」のコースは今回も大迫力でした。2002年の開店当初から、店主の吉田修久さんの意気込みは違ったのです。とにかくお客さんを喜ばせたい、びっくりさせたいという気概にあふれて、やることなすこと仰天させ感動させ時々は呆れさせ、話題を巻き起こさずにはいられない人だったのです。今では貫禄も出てきましたが、開店当初のまだ少年ぽさが残るような様子ときたら愛さずにはいられなくて、わたしは勝手に弟分と思っておりました。彼の方ではわたしをおねえさんとは思ってなかっただろうが。(-_-;)
小皿ずらりの華麗なお造りにデザート食べ放題、薪窯ご飯、イケメン揃いのスタッフのサーヴィスなどであっという間に話題を呼び人気沸騰となったのに、彼はその人気に安住することなくこれでもかと次々アイデアを出してきました。食材もどんどんいいものを使うようになり料理の質もグレードアップ、それに伴って値段も段々に上げていったのに客は離れるどころか以前にも増して席が取りにくいというイケイケ状態。料理だけでなく昨年秋にはカウンターを檜に入れ替えたりのリニューアルも。食べ歩きも大好きで、わたしより東京の新店を知っていたりするとんでもない人なのです。実はわたしはこちらで食事をするよりは取材で訪れる回数の方が多くて、(だってハデでユニークで書くこといっぱいあってヴィジュアル的にも誌面映えするんだもん、)いつもゴメンナサイな気持ちでいるのですが、ちゃんと食べに伺ってやっぱりよかったです。カトラリーがセットされた先附でやはりフレンチ出身である技術を感じ、椀だねというより高級食材の山盛り盛合わせといった趣のお椀にびっくりし、生ものののおいしさに一瞬別世界にすっ飛び、しかし野菜の味わいにも目の覚める思いをし、すっぽんスープでまた陶然・・・と非常にハイテンションな食事のひと時でした。
Lexterieur_7「京料理 修伯」 京都市東山区下河原通高台寺塔之前上ル金園町392 電話075-551-2711 12:00~13:00LO、17:30~19:30LO 月曜休み 要予約。全席禁煙◎ お昼5千、7千、1万円、夜が1万、1,2万、1,5万円。

2006年8月 6日, dans 京都 和食06後半 |

2006年8月 3日 (木)

■京都新店情報 3軒


■「はふう 御所南店」 8月4日オープンLexterieur_5Linterieur_22_693_654_575_476_487_418_379_3210_2911_29

瀟洒なカウンターで思いきりおいしい肉をいただける「はふう」が、夷川通に明日、新店をオープンなさいます。フィレステーキやサーロインステーキ、肉のおさしみにハヤシライスにカツサンド・・・本店と変わらないメニューが楽しめます。赤と黒でまとめたインテリアがシックです。黒い椅子の中に赤椅子が一脚あってとても粋♪ 先日プレス向けのオープニングのディナーをいただきました。赤い椅子に座らせていただいてうれしかったです♪ オーナーの酒井好美さんは本当にすてきな方です。ご実家が精肉商であられるので、「手に届くお値段で極上のお肉をたっぷり」が実現しているのです。
「はふう 御所南店」 京都市中京区夷川通富小路西入ル俵屋町303 電話075-254-2884 11:30~13:30、17:30~21:30 水曜休み

■「春秋山荘 蕎麦 高月」 7月5日オープン
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高台寺の「馳走高月」が手打ち蕎麦のお店を出されました。山科の毘沙門堂のほど近くに佇む、けやき造り・葦葺きの民俗資料建造物「春秋山荘」をすっかりリニューアルされたのです。山科駅から車でほんの数分の距離なのですが、深山の風情の中、豊かな自然を愛でつつ、「高月」ならではの懐石仕立てのお蕎麦がいただけます。お蕎麦は繊細で独特の食感。どうぞ出かけてお試しください。お昼と夜はコース仕立てですが、14:00~16:30の間は予約不要で蕎麦だけ気軽に注文することも可能です。写真はお昼のコース「蕎麦百菜」3600円です。
「春秋山荘 蕎麦 高月」 京都市山科区安朱稲荷山町6 電話075-501-1989 11:30~13:30LO、14:00~16:30LO、17:00~20:30LO 月曜と第2,4火曜休み 4月と11月は月曜のみ休み

■「まる藤」 7月27日オープン
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木屋町の「竹島」さんで修業された藤田悟志さんが大和大路団栗下ルに開かれた割烹です。夜でも驚くべきお値段でコースを出されます。おだしのお味など、お値段とは結びつかないクオリティです。一品での注文も可能で、これからとてもはやるお店になることでしょう。「山利商店」の中村利子さんがお味噌を納入していらっしゃるお店で、写真は開店2日後に利子さんといただいたお料理です。うなぎ寿司→まぐろ寿司に替えていただき、さらにご飯が割愛されていますが、これはわたしが取材の1日の後、試食で膨れたお腹で伺ったからです・・・ごめんなさい。最後の締めにした赤だしは、お味噌がやっぱりいいのです、本当においしいものでした。夜のコース3650円。
Lexterieur_6「まる藤」 京都市東山区大和大路通四条下ル3丁目博多町66-3 電話075-533-1350 12:00~14:00、17:30~23:00

2006年8月 3日, dans 京都 肉京都 蕎麦京都 和食06後半 |

2006年7月31日 (月)

■樋口会@室町和久傳


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鷹が峯の、400年続く専業農家で14代目として年間30種類ほどの野菜を作っている樋口昌孝さん。その野菜は京都のみならず日本全国の料理人の垂涎の的であることで有名です。この樋口さんを中心に、気鋭の若手料理人の店で「樋口会」という食事会が月に1~2度催されています。すでに数年続いているとか。献立は、樋口さんの野菜と、旬の素材を使うという条件で料理人に一任されています。今回わたしは久しぶりに2度目の参加です。移転後の「室町和久傳」での樋口会は今回が初めてだそうです。
●毛蟹とトマトにジュレ。すだちの香りのだしのジュレ。●2皿目はあわびでしたが、わたしは替えていただいてこれは揚げ湯葉と松茸。●鯛の造り、オクラのたたきのネバネバをからめつつ。●料理長の俊英・緒方俊郎さん。ミニ三脚を立てているのはもちろん樋口会のお父さん役、「京都DigiStyle」でも有名な北俊彦さんです。●鱧とみょうががどっさり出てきました。これは鱧しゃぶにしていただきます。●だしに浸されて供されます。だしのお味だけでしみじみ●ガラス瓶から取り出した素材を切る緒方さん。何かというと・・・ ●きゅうりと山芋のお漬物、味噌風味。赤白の味噌に、さらに秘密物質入りだそうな。●炭火で焼いた枝豆。●玉子麺にうに。おつゆでいただきます。●デザートに桃と、●くず焼きしょうが風味。●お茶をいただいて終わりです。●樋口さんのお誕生日は7月26日。遅れましたがお誕生祝いのケーキです。おめでとうございます!
野菜を多用して軽やかに仕立てたコースでしたが、編集者やカメラマン、TVディレクターなど10人ばかりが集い、始終なごやかで笑いに満ちた食事会でした。お呼びいただいて感謝。

2006年7月 31日, dans 京都 和食06後半 |

2006年7月30日 (日)

■上賀茂 秋山(4)


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「上賀茂 秋山」さんをお薦めしまくっていたら、行ってきた方々が異口同音に「よかったよかった」とおっしゃる。それでまたわたしも伺いたくなったのでした。夏のお料理はどんなでしょうと、楽しみに出かけたのです。数日前の夜のお料理です。
●ぐじの昆布締め、水茄子、シークワサーのジュレの短冊状、アスパラ、ラディッシュにきゅうりのピュレ。底にぐじ頭のにこごりも。涼やかな先付。●ながれこのしんじょう、糸うり。●造りは岩牡蠣、鱧焼霜、まぐろは山かけ、海苔と海ぶどう。●岩牡蠣はミルキーでとろりと美味。●黒米粥。枝豆、生の細かい山芋入りで梅肉風味。●3人分が華麗に供されて、●まずとり貝の藁あぶりに土佐酢ジュレ、●鷹峯唐辛子に、湯葉とうに。●鮎を焼くご主人の秋山直浩さん。●3人分がこんな風にプレゼンテーションされて、●2尾いただきました。焼き加減ばっちりです。●太刀魚に、焼きトマト、賀茂茄子、玉ねぎ。野菜の甘味と旨みが際立っていました。●小鍋が、新ごぼう、穴子、みょうが。ここでまた盛り上がります。●薪釜で炊かれたご飯、土鍋の蓋が取られた瞬間です。この湯気見てください。優秀な二番手、大西学さんがにこにことご飯をよそってくださいます。●おこげのおいしさったらない! ●お漬物も自家製です。●桃と巨峰。お腹いっぱいなのにするりといただいて、美味で幸せ! ●ずんだあずき。枝豆をつぶして衣にした、香りよいお菓子です。これは夕方、秋山さんの奥様である貴江さん(ほんとかわいらしい方です)がひとつひとつ丁寧に作っていらっしゃったものです。●最後におうすをいただきました。
夏の涼感の演出も見事に、いつも通り楽しませてくださいました。お料理が品よく決まっており、秋山さんのそこはかとないおもしろさ、明るさが本当に和ませてくれるのです。そして、ビールや日本酒もいただきましたが、ひとり1万円くらい・・・いいのかなあ、このお値段で。ほんとええお店です!
Sidecar_1いつもの「カルバドール」にいます。「秋山」さんで夕食を一緒に楽しんだのは、わたしを先日載せてくださった京都リビング新聞社の敏腕編集長である藤田晶子さんと、聡明な記者である橋本美代さんです。美代さんの方は多忙な日々であるのにチェロの練習を続けているという殊勝な人で、弱点は「やむを得ず」靴を買い過ぎるというのがかわいい☆ 迫力の編集長、ほんとかっこいい藤田さんとは、「『捨てる!』 なんて無理よね!!」と、買い物~収納への意欲~しかし慢性的なもの溢れ状態をどうするか? という人生の大問題について語り合ったのでした。「買い物というのは、常にやむを得ないものである」ということで満場一致。欲しいとか欲しくないというものではなく、「要るもの、必然」という結論♪ 
サイドカーのロングは爽やか、グラスは店主の高山さんがこのカクテルのために買われたという昭和初期の粋なものでした。この日もまた皆さんのおかげで格別楽しい夜を過ごしたのでした。

2006年7月 30日, dans 京都 和食06後半 |

2006年7月29日 (土)

■祇園さヽ木 7月


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先日伺った7月下旬の「祇園さヽ木」さんです。夏の気分に満ちたコースです。●塩をあてただけの生の水茄子に、鱧の焼霜を合わせて。新れんこんと。●花火の華麗なお椀です。●蓋を取ればまた美しい。●水晶鱧と白きくらげ、本当に涼やかです。●今日も18:30にはばしーっと全員がカウンターに揃っていました。すごい集客力です。おや、寺町二条あたりのバーテンダーのお顔も見えていますね! ●まな板皿にどーんと、お向こうは今月も迫力の登場です。とり貝は塩とすだちで、車海老はわさび醤油で、あまてかれいは肝ポン酢で。トロ寿司は刷毛で醤油をつけて。●中トロと赤身の間あたりのまぐろ寿司。●秋刀魚を炙ったお寿司。この時期にここまでおいしい秋刀魚があるとは! ●野菜の炊き合わせ、冷製。冬瓜、鷹峯とうがらし、ずいき、小芋。生ものの後でとてもさっぱり。●太刀魚、最高!! 脂いっぱい、じんわり旨みが迫り来る感激の焼きもの。●割りたてのうにに、クリアなすだちジュレ。下にはシャリシャリの長芋、上にネバネバのオクラと、いろいろな食感が楽しい。●最後の熱々のひと皿。鱧と松茸、パーフェクトなお味!! ●ご飯は紅鮭ご飯。紫蘇の葉の香りも豊か。●水茄子は切り立てを後から添えてくださいます。●シャンパーニュのジュレをかけたメロン、マンゴー、桃。
Carte_2本当に今月も幸せになれるコースでした。カウンター5席の頃から通っていますが、全く飽きさせないのですね。おいしくて季節感豊かで盛り上がりがあって、ようしゃべる佐々木さんを見てるだけでも楽しい♪ 人気沸騰イケイケ状態、この秋、3店舗目へと引越しもなさいます。刷り上ったばかりの名刺、掲載許可をいただいたので、ここに載せます。10月に新店舗で営業開始のご予定です。
この日はゴージャスメンバーが集いました。「ミディ・アプレミディ」の津田陽子さんと「御室 さのわ」の井上和子さん、寺町二条「C」のバーテンダーの方と、東京からは、わたしのこのサイトのカスタマイズを手伝ってくれている京大出の才媛・「ミディアミクス」の畑礼子さんも参加しました。ほんと楽しかった・・・
Calvador_7その余韻のままに寺町二条の「カルバドール」に移動したら、あら、さきほど祇園にいたはずの店主の高山寛之さんがもうカウンターに立っています。お腹パンパン状態でしたが、シャルトリューズをシュワシュワにしてもらい、おかげで爽やかに締めくくれたのでした。皆さんに感謝。

2006年7月 29日, dans 京都 和食06後半 |

2006年7月16日 (日)

■啐啄つか本


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●丸芋をすって葛と寒天で寄せたものに、うにと生海苔のジュレ ●お椀は牡丹のようにきれいに開いた鱧に梅肉、おくらと ●造りはとり貝と中トロ ●お凌ぎに穴子焼き寿司。柔らかく炊いた穴子を香ばしく炙って、胡麻や大葉の香りも効いた寿司飯と。上品なあんかけ ●焼き物は新とうもろこしとすずき。新玉ねぎのすりおろしと ●新小芋、たこと賀茂茄子の炊き合わせ冷製 ●れんこん饅頭、アスパラ、大根おろしと。優しいあんかけ ●蒸しあわび、じゅんさい、ずいき、加減酢のジュレと ●お漬物 ●鯛と生姜のご飯 ●マンゴーとさくらんぼ ●宮崎のマンゴー、あまりにおいしくてお代わり。
先斗町の名店、「啐啄(そったく)つか本」です。お邪魔してからすでに2週間たってしまいましたが、しみじみ美味なコースでした。ご主人の塚本英雄さんは34歳ですが、実に大人な料理を作られます。人生のさまざまな場面でしばしば思うことですが、本当に年齢なんて関係ないのですね。技術や経験はもちろん大事で必要なものですが、「イケてる人」というのは、どんな分野においてもぱっと本質を掴んで、年齢や経験の年数に関係なく一流の仕事をします。経験の足りなさによる破れ目が仮に見えても、それを補うだけの勢いや輝きがあります。ついでに、こういう人は他の分野のことに手を染めてもやっぱりその道のプロほどのレベルだったりして、「アングルのヴァイオリン」て言うのでしょう、つまり何をしてもセンスがあるからばちっと決まるのです。かっこいいなあ。
話を「つか本」さんに戻すと、今回のコースは夏らしく冷製のものが多数盛り込まれ、でもほっこり温かいものもタイミングよく供され、ひたすら流れに身を任せて幸せなコースでした。この日の締めは炊き込みご飯でしたが、塚本さんが手打ちするお蕎麦もおいしいのです。もともと関東のご出身、料理屋さんに生まれた塚本さんですが、和食を志して18歳で上洛していくつかの名店で修業、高級料亭でも勤めましたが、しつらいなどよりはとにかくダイレクトにおいしいもので客をもてなしたかった。それで自分ですべて目の届く、カウンター5席のみ(テーブルはあるが稼動していない)のお店を開店されたのですね。
以下ミニ自慢です。(すみません!)このお店、門上武司さんと「あまから手帖」のおかげで、2004年に初めてメディア露出をさせていただきました。門上さんが仕入れていらした情報で、あまから手帖の聡明にして敏腕なる編集長代理・島田勤子さんと3人で伺い、満場一致で「すばらしい!」となりました。即、愛想は悪いが写真はピカ一!の巨匠ハリーをキープ、「あまから手帖」2004年6月号(「関西和食の未来像」)に掲載となりました。その後大ブレイク! こんないいお店はいずれ必ず話題になるものですが、それでもいちばん初めに立ち会えたというのはジャーナリストとしては圧倒的にうれしいことです。それも先斗町の路地の奥の、雑居ビルの2階、まずおいしいものがあるなんて想像もできないような場所でこんな驚きの美味・・・。
今回一緒に伺ったのは、同じフランス組、「ル・プチメック」の西山逸成さん。西陣でおよそフランスにも存在しないようなフランスそのもののブランジュリ&カフェを経営しています。数年前に取材で彼のフランス修業時代の顛末を聞いてから大好きになり、というより尊敬するようになり、以来時々一緒にご飯をしてもらっています。「つか本」さんにはもう何度か一緒に行ってますが、旨いものがわかる彼が、塚本さんのお料理で和食の本当の楽しみを知ったというのです。「ル・プチメック」の話もいずれまた。
Pontochorouji「啐啄つか本」 京都市中京区先斗町
にありましたが、その後移転されまして、現在祇園にお店があります。(075-525-8808)

2006年7月 16日, dans 京都 和食06後半 |

2006年7月13日 (木)

■祇園おかだ


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数日前の晩、祇園にて。夏らしい軽めの一品料理をあれこれ注文したのでした。●お通し。焼き茄子、瓜、海老に生姜風味のジュレ(涼感たっぷり、気が利いています。)●小芋冷製(柚子の香りが爽やか、口当たり柔らかくておいし♪) ●たこの柔らか煮 ●鯖のきずし(酸味もばっちりの締め加減、たまらんおいしい~♪) ●ぐじ焼霜(ねっとりおいしい~♪) ●とうもろこしかき揚げ(口の中でほぐれてすごくいい香り、塩気もジャストに効いています♪) ●湯葉あんかけ(くやさしくいたわられるような味わい。うんま~い♪) ●賀茂茄子田楽(八丁味噌と白味噌半々で、うにをトッピング。ほっこりうまい♪)●こちととろのお寿司を1貫ずつおしのぎに。●はもしゃぶ(上品なおだしで鱧をしゃぶしゃぶ。早松茸、ごぼう、水菜が香味を添えます。見事な美味でした♪♪) 
品書きにはびっしりと季節の一品料理が並び、さらに朝、岡田さんが仕入れていらした「本日のおすすめ」が別書きされているので焼いてもらったり炊いてもらったり。おびただしいメニューから決めかねたらコース仕立てをお願いする手もあって、こちらは8000円から2千円刻みの3コース。お酒飲みにもご飯食べにもうれしいお店です。たったひとつ難点は・・・タバコを吸う客がいたらつらい。なので伺う時は、いつも隅っこの席にしていただいています。
「祇園おかだ」 京都市東山区祇園町南側570-6 電話075-551-3200 17:00~24:00 日曜祝日休み 要予約。

★メンテナンス前のココログの不調のさなか、写真も全部添付できない不完全な状態でしたが、数時間のみこの記事をアップしておりました。その時、この食事の同席者のことやその発言についても書いておりました。それはまったくの冗談&非常にユニークな発言として載せたものだったのですが、表現が及ばず、「感じの悪いもの」として気分を害された方がいらっしゃいました。それがわかった瞬間に取り下げましたが、お読みいただいた方、そして発言者の方に大変申し訳ないことをいたしました。お詫びして反省いたします<(_ _)>

2006年7月 13日, dans 京都 和食06後半 |

2006年7月 8日 (土)

■御幸町 つばき


Camelia「御幸町 つばき」は昨年10月に御幸町三条上ルにオープンした和食屋さんです。開店後しばらくしてからお昼と夜に一度ずつ伺い、モダン&シンプルなインテリアの中で気を張らず食べられるお店、という印象でおりました。それがこのたび、7月1日付で新しい料理長が就任されて、お料理が変わったのです。新料理長である野口大介さんは、「高台寺和久傳」、「京都和久傳」、現在地に移転後の「室町和久傳」と11年以上にわたって「和久傳」に勤められた方。俊英・緒方俊郎さんの片腕として長年働いてこられた、輝くキャリアの持ち主です。今後は「和久傳」というブランドから離れて、新たな試みに挑みながら力を発揮されることでしょう。この「御幸町 つばき」はコースもお願いできますが一品料理が主体です。
1_472_483_454_395_316_297_25●蓮根豆腐 500円。蓮根のすりおろしがしゃりっと心地いい、先付の品。 ●もち豚と夏野菜の冷しゃぶ胡麻ぽんずかけ 850円。赤ピーマン、おくら、スナップえんどうなど野菜の旨みともち豚がとてもよく合っていました。●賀茂茄子と鴨焼目 山椒醤油がけ 1200円。山椒の実がたっぷり、ピリっとアクセントになって後を引く味わい。●鮎うるか焼き 1700円。お酒が合います! ●冷鱧梅白髪素麺 1000円。糸のような極細の素麺に鱧を合わせて、冷たいだしをはったもの。夏の味です。●とまとコンポートをひと口食後に。ほんのり甘いトマトは白ワインやコアントローなどで風味付けされています。●手書きの品書きも美しいものでした。いくつかは「和久傳」のお料理を彷彿とさせながら、しかしいずれも野口さん自身の料理としようという努力が伺われました。何より、気軽なお値段で自由にあれこれいただけるのが魅力です。高級食材は使わないけれど、技術とセンスでおいしく食べさせるという気概が感じられて、気分よく食事ができました。前日までの予約でコースも可能で5250円と7350円。お昼は1580円と2630円でコース仕立てになっています。
御幸町 つばき」 京都市中京区御幸町三条上ル丸屋町318-3 電話075-211-3938 12:00~14:00、17:00~22:30 火曜休み

2006年7月 8日, dans 京都 和食06後半 |

2006年7月 5日 (水)

■祇園ゆやま


6月にオープンしたばかりの祇園の割烹、「祇園 ゆやま」さんへミチさん&カズヤさんと共に伺いました。JR東海にお勤めになる広報ご担当、M さんのご昇進祝いの会食に同席させていただいたのです。JR東海といえば長年お世話になっている新幹線です。人生の時間の何分の一かを過ごしていると言ってもいいくらい乗せていただいています。ここぞとばかり、わたしは京都への長年の愛や、新幹線大好き♪であることを述べたのでした。このブログにも時々写真を載せていますが、いつも8号車の一番前でテーブルを出してコンピュータを広げ、ショコラを食べていること、とても快適だから自分で余分にお金を払って必ずグリーン車に乗ること、そして「CREA」や「ミセス」などで今までJRの京都キャンペーンのタイアップページをさせていただいたことなど。「そうだ京都行こう!」ではなくて、わたしの場合「そうだ毎週京都行こう!」なんです!! なんて騒いで、うるさくしてしまいました<(_ _)>  「祇園 ゆやま」のご主人の湯山猛さんは先斗町の「ふじ田」のご出身でいらっしゃいます。皆さん以前からお知り合いでいらしたようで、リラックスしてお料理をお出しいただいた感じがいたしました。
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以下10500円のコースですが、多少オプション料理も入っています。●先付はブルーのグラスに長芋そうめん、蓮芋、蒸しうにに土佐酢のジュレ ●足付グラスは吸い物冷製、中にずいき、じゅんさい、とこぶし、フルーツトマト ●お椀は鱧しんじょう、とうがん、松茸 ●造りは明石の天然の鯛、みる貝、湯葉 ●鱧を炭火でさっと炙って塩とすだちで ●宮崎の岩牡蠣 ●宮津のとり貝を炭火でさっと炙って塩とレモンで ●鴨ロースの石焼 こちらの名物、石焼にした鴨のロース肉を湯葉で包んでいただきます。鴨だけでもシンプルでいいお味です。 ●お寿司:昆布締めにした甘鯛、とり貝、鱧の落とし ●鮎の塩焼き。笹の香りもいい感じでした ●賀茂茄子の利休煮。胡麻がたっぷり ●鰯の香梅茶漬け ●自家製黒糖のアイスクリーム。

Linterieur_1Boisson食事の後に、4人でいつもの「カルバドール」へ。清涼感がひときわ際立つジントニックを、シャワ~っといただいてすっきりいい気分になりました。

2006年7月 5日, dans 京都 和食06後半 |